「生存者はいないと考えている」アメリカ・ワシントン近郊で旅客機と軍用ヘリが空中衝突 夜通しの救助作業も死者は28人に【news23】

TBS NEWS DIG

アメリカの首都・ワシントン近郊で乗客乗員64人が乗った旅客機と軍のヘリコプターが空中で衝突し、墜落しました。地元の消防当局は、会見で「生存者はいないと考えている」と話しました。

これは、アメリカの会社「アースカム」が公開した映像。その画面右下。旅客機とみられる機体が地上に向かって降下している様子がわかります。そして、その後、画面の左側から飛行してきた別の機体と衝突。爆発する様子が確認できます。

付近の川には墜落した機体の一部が…。また、別の画像には、激しく破損している様子も確認できます。

目撃者
「バンバンと音が聞こえて。レーガン空港の南側から煙が上がっていました。信じられず、ショックを受けました」

場所は、首都・ワシントンのホワイトハウスにほど近いレーガン・ナショナル空港。アメリカメディアによると、現地時間の29日午後9時ごろ、旅客機が滑走路へ着陸しようとしたところ、アメリカ軍のヘリコプターと衝突しました。

事故直後、空港の管制官は…

事故直後管制官の音声
「33番滑走路、進入時に衝突が発生。当面の間、運航を停止します」

記者
「首都・ワシントンの近郊です。レーガンナショナル空港では緊急車両が対応にあたっている様子が確認できます」

機体は空港近くのポトマック川に墜落。川沿いには警察や消防など多くの車両が密集しているのが確認できます。

記者
「午前1時15分をすぎたところです。ポトマック川の上空をヘリコプターが飛行しています。捜索活動を行っているものとみられます」

妻が旅客機に乗っていたという男性は…

妻が旅客機に搭乗
「今、この瞬間にも、妻を川から引き上げてくれると祈っています。妻は私に『あと20分以内に到着する』とメッセージを送っていました」

その後、妻からのメッセージは途切れ、男性は「何かが起きたと悟った」と話しました。

旅客機はアメリカン航空の機体で、乗客60人、乗員4人が搭乗。旅客機にはカンザス州で開かれていた全米フィギュアスケート選手権に出場した選手や、ロシア出身のフィギュアスケートの元世界チャンピオンで現在はアメリカでコーチをしている夫妻が乗っていたということです。

また、衝突した軍のヘリコプターには兵士3人が乗っていたということです。

先ほど、現地の消防当局らは、現時点で「生存者はいないとみている」と発表しました。

現地の消防当局
「現時点で生存者はいないと思われます。そして、27人の遺体を航空機から、1人の遺体をヘリコプターから収容しました」

現場の気温は0度近く。およそ300人態勢で捜索と救助活動が続いています。

事故はなぜ起きたのか。映像では、画面右側を飛行していた旅客機とみられる機体が旋回していて、その後、別の機体と衝突していました。

飛行情報を公開するウェブサイトを見ると、北上する機体が空港方面へと舵を切った際に前方から来たヘリコプターと急接近。その後、情報は途絶えていて、この辺りで衝突した可能性があります。

事故当時の映像を見た専門家は。

航空評論家（元日本航空機長） 小林宏之さん
「TCASという衝突防止装置、民間機は当然、装備していますけど、軍用のヘリコプターが装備していたのかどうか、装備していたとしても作動させていたのかどうかが一つのポイント」

また、「衝突した時の高度」にも注目して、こう話します。

航空評論家（元日本航空機長） 小林宏之さん
「映像を見ると、かなり低い高度。TCASはあまり低い高度で指示を出すと（飛行機が）降下してしまったら地上に激突してしまう可能性がある。ある高度以下では働かないシステムになっている」

このほか、▼管制指示がどうであったのか、▼軍用のヘリコプターが管制の指示にしたがって飛行していたかどうかもポイントだとしています。

トランプ大統領はSNSで…

トランプ大統領
「なんでヘリコプターは避けなかったんだ？なんで管制塔も、ヘリに指示を出すんじゃなくて『航空機を見たかどうか』なんて聞いたんだ。防げる事故だっただろ」

これまでに日本人の被害情報は入ってきていません。

林官房長官
「日本政府としても情報収集を行っているところです。現時点までに、邦人の生命・身体に被害が及んでいるという情報には接しておりません」