戦後80年 ユダヤ人大虐殺について学ぶ「ホロコースト教育」の現場が直面する問題
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年1月31日 16時38分
今年は戦後80年です。人類史上最悪の犯罪と言われるナチス・ドイツによるホロコースト=ユダヤ人大虐殺。加害国ドイツでは「繰り返さないための教育」が続けられていますが、今、難しい問題に直面しています。
今回、私たちはドイツ・ベルリン郊外にある教育施設を訪れました。この日、高校生らが受けていたのはナチス・ドイツが行ったユダヤ人大虐殺について学ぶ「ホロコースト教育」です。
ホロコースト研究者 ミヒャエル・ヴァッハホルツさん
「なぜ、この写真が教材として、よく使われるのか分かりますか?」
高校生
「収容された人がカメラを見ていて、その視線が私たちに直接訴えかけてくるように感じられるからです」
ホロコースト研究者 ミヒャエル・ヴァッハホルツさん
「その通りですね。これは殺害される直前の写真で、当時は撮影すること自体が厳しく禁じられていました」
「ホロコースト教育」は、加害国として「過去を繰り返さないために」と続けられてきました。しかし、イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの空爆が始まると、被害者だったユダヤ人が「虐殺の加害者になった」と批判されるようになり、過去とどう向き合えばいいのか難しくなったといいます。
セミナーに参加した マヤ・ゾバラさん
「とても難しい問題で答えが分かりません。ただ一般的に戦争は良くないと言えるだけです。罪のない人が苦しむべきではないと思います」
一方で、教える側も複雑な問題を抱えています。
引率の歴史教師 マティアス・ムシェッリックさん
「ドイツ人ではない移民系の生徒は、ホロコーストの歴史を自分のことのようには感じません。ドイツ人の生徒は、私たちには責任があると言います。でもみんながそうではないので難しいです」
ドイツでは移民社会化が進み、ナチスが犯した罪を自分たちの歴史と捉えにくくなっているのです。
「生き残った多くのユダヤ人が、なぜ元の家に戻らなかったのかも話す?」
生徒たちはグループに分かれて、ユダヤ人が当時直面した厳しい現実について学んでいました。
イランにルーツを持つ ローゼ・ファラマルツィさん
「研究テーマは生き延びたユダヤ人が、元の家に戻ると全てを失っていたという問題です。財産とみなされたものは売られてしまい、奪われたのです」
歴史を繰り返さないために、どう伝えていけばいいのか?
イランにルーツを持つ ローゼ・ファラマルツィさん
「当時のことを理解できたし、忘れることのない出来事として捉えることができました。私たちはホロコースト自体への責任はないが、繰り返さない責任はあると思います」
加害国ドイツでは歴史を伝えていくための試行錯誤が続いています。
この記事に関連するニュース
-
「アウシュビッツ二世」欧州の急伸右派や元ナチス党員系政党の伸張に「ゾッとする」
読売新聞 / 2025年1月28日 22時10分
-
アウシュビッツ跡で追悼式典 虐殺生存者「世界は危機」
共同通信 / 2025年1月28日 9時36分
-
「虐殺の悲劇繰り返すな」アウシュビッツ収容所解放から80年 生存者ら献花で犠牲者追悼
産経ニュース / 2025年1月27日 18時21分
-
生存者減少、SNSで否定論=ホロコースト忘却の懸念―アウシュビッツ解放80年
時事通信 / 2025年1月27日 16時29分
-
ナチスへの復讐劇『手紙は憶えている』とイスラエルをめぐるジレンマ
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月17日 18時13分
ランキング
-
1メキシコ湾の呼称、グーグルマップで変更するのは「間違っている」 メキシコ大統領が非難
産経ニュース / 2025年1月31日 9時20分
-
2米国からロシアに武器密輸、キルギスで容疑者逮捕
AFPBB News / 2025年1月31日 11時55分
-
3米検察、水原被告の書面に反論 「大谷選手に不平」と批判
共同通信 / 2025年1月31日 19時27分
-
4トランプ氏、ワシントン空中衝突は「多様性」のせい
AFPBB News / 2025年1月31日 9時5分
-
5「フィギュア選手、衝突機に搭乗拒否され命拾い」…実は別の便、米メディアが訂正記事掲載
産経ニュース / 2025年1月31日 12時4分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください