「新米が出てもお米が高い」のはなぜ?背景に“消えたコメ”…「備蓄米」放出で今後の価格は【ひるおび】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年2月4日 15時7分
“令和のコメ騒動”から半年。新米が出てもお米の値段は高いまま…
政府の「備蓄米」放出で今後価格はどうなるのでしょうか?
米の流通に詳しい宇都宮大学助教の小川真如氏に聞きます。
なぜコメの高騰が続いている?
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コシヒカリの小売価格(1袋5キロ/東京・総務省小売物価統計調査)を見ると、2024年12月では5キロで4018円。
当初は「新米が出れば落ち着く」とされていましたが、新米が出ても高値が続いています。
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宇都宮大学助教の小川真如氏は、
「コメは順調に取れたが、集荷競争が起きている」といいます。
今の時期、米業者は新米と古米、両方の流通を行っていますが、現在古米の在庫が不足し去年の半分程度となっています。
さらに、米農家に直接買い付けをする業者や消費者もいるので、コメの確保競争が激化しています。
米業者の中でも「高すぎる」と思いつつも、仕入れなければいけない状況になってしまっているのです。
“消えたコメ”はどこに
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農水省によると、2024年のコメの生産量は679万トンと、前年より18万トン増えている状況です。
一方、JAなどの集荷業者の集荷量は前年と比べると約21万トン減少しています。
なぜ生産量が増えているのに集荷が減ってしまったのか、この“消えた21万トン”については農水省も問題視しており、調査に乗り出しています。
江藤拓農水大臣は
「どこかでスタックして(積み上げて)いると考えざるを得ない」と話しています。
ーー何が起きていると考えていますか?
宇都宮大学助教 小川真如氏:
「集荷しているお米の量」はあくまで農林水産省の調査であって、調査の範囲は大規模な卸や大規模な集荷業者に限られています。
ですから農林水産省がこれまで調査してこなかったような中小規模の集荷業者や卸などが大きくお米を集めているのではないかと見られます。
ーー新米と古米は合わせて売っているんですか?
宇都宮大学助教 小川真如氏:
合わせて売るというか、やりくりするという感じですね。
国民が欲しい分ぴったりを生産しても、流通は滞ってしまいます。流通の段階においてはある程度コメに余裕がある状態で円滑に流通させることができます。
それが今手元に不足しているという状況です。
ーー「新米が出たら価格が元に戻りますよ」というのが、戻らないのはどういうことですか?
宇都宮大学助教 小川真如氏:
やはり「集荷競争の過熱」だと思います。
卸もこれだけコメ不足が話題になりましたので、翌年集められないと自社のブランド信用に繋がります。実際、卸も「高いな」と思いながらも、無理しても集めないといけないという事態がお互い発生しているような状況です。
そうした中、卸や消費者でも直接生産者にコメを買い求めるという動きも増えてきていますので、コメを集めるプレイヤーが増えて、競争が激化している状況にあります。
“令和のコメ騒動” 国がようやく動き
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政府は1月31日、「備蓄米」を放出する方針を決定しました。
集荷業者(JAなど)に備蓄米の一部を売り渡します。 1年以内に同じ量を買い戻すことを条件に放出するということです。
「備蓄米」とは不作災害の付託災害などの緊急時に備えて国が保有しているコメで、約100万トンあります。
きっかけとなったのは1993年におきたコメの大凶作です。消費者がスーパーに殺到する事態となり、1995年に法律で国によるコメの備蓄を制度化しています。
これまでの運用では、
▼生産が大きく減ったとき
▼局所的な流通の混乱時(東日本大震災や熊本地震など)
に放出するもので、流通の不調を理由とした備蓄米の利用は初めてとなります。
コメ全体の供給量を増やし、価格を正常に抑える狙いがあるということです。
なぜ“今”備蓄米を放出?
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小川氏によると、今のままでは・・・
▼消費者にとっては「高値が続く」
▼生産者にとっては「コメ離れ・国産米離れにつながる」
▼卸業者にとっては「高値で買うと高値で売り抜けるかのリスクがある」
国産米の高値を背景に民間のコメ輸入が増加して、輸入米が国内需要に影響することを心配したタイミングではないかということです。
今後価格はどうなる?
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ーー備蓄米の放出によって値段は下がりますか?
宇都宮大学助教 小川真如氏:
具体的にどのくらいの量かが決められたわけではないので直接的な影響は言えないですが、出れば、少なくとも卸間の米の競争は冷えるのではないかと思っています。
コメンテーター 中村仁美:
うちはお弁当もあるので、1日合わせて5合ぐらいは食べるんですよ。前回お米がなくなったときに本当に困って、そこからうちはふるさと納税で定期的に届くようにしました。
でも、採れてるのに高い理由が何かちょっとまだ納得できないというか、備蓄米まで出さなきゃいけないほどなんだなっていうのが不思議ですよね。
コメンテーター 土屋礼央:
これで高いときに売れちゃうと、これを悪用して毎年ストックしちゃうとかあると困りますね。流通のやり方も考えなきゃいけない時代かもしれませんね。
弁護士 八代英輝:
JAを通さない独自ルートも最近はかなり多いですし、今まで価格転嫁できていなかったのも一つの理由でしょうし、大手の飲食チェーンやスーパーがコメ不足になることを懸念して年間の量を確保してしまっているのも一因なのかなと感じます。
恵俊彰:
一番不安なのはお米がなくなることですが、それはなさそうですか?
宇都宮大学助教 小川真如氏:
生産量はあるということなのでどこかにはあるのと、今回生産調整で各地域お米を増やす動きにあります。ですので、今年は足りると思っています。
また、今年の新米は少なくとも去年の新米よりは安くなると私は見ています。
(ひるおび 2025年2月3日放送より)
==========
<プロフィール>
小川真如氏
宇都宮大学助教
国内の農業・農学を中心に幅広く研究
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