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水原一平被告なぜ禁錮4年9か月に?検察と弁護人が“握った”か 賠償金約26億円の今後の返済は?【Nスタ解説】

TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2025年2月7日 21時5分

TBS NEWS DIG

大谷翔平選手に対する銀行詐欺などの罪に問われ、禁錮4年9か月が言い渡された水原一平被告。

法廷では、大谷選手が被告と妻のファーストクラスの飛行機代も払っていたことなど、新しい事実が明らかにされました。

最長で禁錮33年の罪が4年9か月に…検察側と弁護人が“握った”か

日比麻音子キャスター:
今回、水原被告は▼大谷選手の口座から約26億円を不正送金した「銀行詐欺罪」、そして▼約6億円の所得を2022年度に申告しなかった「納税申告虚偽記載罪」となりました。

アメリカ連邦地裁の判決では▼禁錮4年9か月、そして▼大谷選手への約26億円の賠償が命じられました。

そもそも、銀行詐欺罪は30年以下の禁錮、納税申告虚偽記載罪は3年以下の禁錮となるものでした。単純に足して最長33年という禁錮もありうる罪だったなか、連邦検察が水原被告に求刑していたのは▼禁錮4年9か月、▼保護観察3年、▼賠償金の支払いです。

一方、水原被告の弁護人は「禁錮1年6か月が妥当」と情状酌量を求めていましたが、なぜ今回は禁錮4年9か月という判決になったのでしょうか。

米・カリフォルニア州弁護士 鈴木淳司さん:
水原被告は2つの罪を認めているわけですが、仮に陪審裁判に行った場合には、最大の33年とはいわなくても、20年程度の評決、判決になったと思います。

ただ今回、水原被告氏は弁護人を通して直ちに司法取引を始めました。検察に協力したり、裁判所や検察の力をまったく使わなかったり、カードを返還したりもしています。

私は禁錮8~12年程度が相場だと思っていましたが、そういった水原被告の最大限の協力により、連邦警察は最低の最低で4年9か月を求刑してきたという流れになっています。

日比キャスター:
求刑の時点で、検察側と弁護人はすでに“握る”というか、相談をしていたのですね。

米・カリフォルニア州弁護士 鈴木淳司さん:
おっしゃるとおりです。もともと罪だけ見ると8~12年の禁錮ですが、水原被告はこれだけ協力しましたし、今までに罪や犯罪歴もなく、誰にも迷惑をかけていないということを強調したのだと思います。それで、日比さんがおっしゃったように“握る”という形にしたのでしょう。

日比キャスター:
“握る”というのは、アメリカにおいてはよくあることなのでしょうか。

米・カリフォルニア州弁護士 鈴木淳司さん:
私も自分で事件を担当していますが、たとえば罪が10個あるときに、1個だけ認めるから他の9個についての分は考えないでくれというようなこともあります。

今回のように異なった2つの罪が問われている場合にも、できるだけ初期段階から協力するような形で減刑を求めるのは多々あることです。

弁護士「(約26億円の賠償は)ほぼ不可能」

日比キャスター:
そして水原被告には、約26億円の賠償が求められています。返済はどうなっていくのでしょうか。

米・カリフォルニア州弁護士 鈴木淳司さん:
私は実際に、水原被告よりも桁が多いような事件の弁護人もしたことがありますが、回収はほぼ不可能だと思います。これまで水原被告が押さえられた持ち物のなかに財産があれば支払われるのですが、かなり難しいと思います。

ハロルド・ジョージ・メイさん:
市民感覚からいうと、禁錮33年という話が出ていたなかで、水原被告がいろいろ司法取引をしたり認めたりということがあったとしても、約85%ダウンの4年9か月になるのが非常に不思議です。

水原被告は巧妙な手口で、繰り返し繰り返し詐欺を働いてしまいました。デビットカードを無断で使ったり、ベースボールカードを盗んだり、しかも国税庁にも嘘の申告をしています。検察側がいうような、抑止力のメッセージに本当になるのでしょうか。

米・カリフォルニア州弁護士 鈴木淳司さん:
それは、まさに私も感じていることです。この手の犯罪は一人で行うことができず、胴元や、胴元だけではなく後ろに大きな組織があると思います。

政府としては、麻薬などもそうですが、大きな組織を壊滅させるためには、できるだけ政府側の承認をしてくれる人を集めることが重要になってきます。

水原被告氏のやったことは金額も大きく、メイさんがおっしゃるように非常に悪質だとは思いますが、検察側の見方としては、一つの駒に過ぎなかったのではないかという感想を持ちました。

山内あゆキャスター:
ギャンブルの胴元の捜査も、ちゃんと進んでいるのでしょうか。

米・カリフォルニア州弁護士 鈴木淳司さん:
連邦の警察や検察というのは表に出ないように捜査するので、なんともいえませんが、そういう組織に繋がるような情報が出てきている可能性は十分に考えられるでしょう。

その情報が仮に水原被告から出てきていたとすれば、検察側としてもここまで(禁錮の年数を)落とすというインセンティブになったと思います。

出所後は「強制送還」の可能性も

日比キャスター:
水原被告には、強制送還の可能性も指摘されています。

鈴木弁護士いわく、水原被告が強制送還による不利益を訴えた場合は「家族や社会との繋がりなどを考慮し、アメリカの滞在が認められる可能性もある」とのことですが、今後どうなっていきそうでしょうか。

米・カリフォルニア州弁護士 鈴木淳司さん:
連邦の刑務所で禁錮4年9か月ということは、85%ぐらいの刑期を終えると出所できます。

そうすると、出所の半年ぐらい前に移民局が水原被告のところに来て、自発的に日本に帰るか、それとも強制送還を争うかということを聞いて帰ります。

そこで「自発的に帰る」という選択をして署名すれば、出所した段階で、もしかしたら保護観察をしない状態で日本に帰る可能性も十分にあります。私のクライアントでもそうしている方はいます。

一方、強制送還を争うとなった場合は、水原被告は永住権を持っています。5年間アメリカに永住権を持って住んでいて、過去7年間ずっとアメリカに永住権がなくても住んでいたという事実や家族関係を疎明すれば、強制送還を止められる可能性はあります。

==========
<プロフィール>
鈴木淳司さん
米・カリフォルニア州弁護士
30年近く米で商事・刑事等の裁判を多数経験
マーシャル・鈴木総合法律グループに所属

ハロルド・ジョージ・メイさん
日本コカ・コーラ副社長やタカラトミー社長などを歴任
現在パナソニック社外取締役 アース製薬社外取締役など

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