アート作品の価値をブロックチェーンで守るスタートバーン、国際展開を本格化
Techable / 2021年5月12日 16時0分
スタートバーン株式会社は、「アート×ブロックチェーン」を主軸にさまざまな事業を展開中。ブロックチェーンの耐改ざん性と透明性の高さにより、アート作品の真正性担保および二次流通などの際の正しい価値評価を実現しています。
そんな同社が世界中のアート作品の価値を守るべく、アート市場を牽引する主要諸国ならびにアートのための土壌が整備されていない諸外国において事業を展開していくことがわかりました。そこで今回は、同社のサービスや事業展開についてフォーカスしてみようと思います。
スタートバーンのサービス同社は、2018年にアートの信用担保と流通・評価のためのブロックチェーンネットワーク「Startrail」を発表しました。これは、Startrail登録証を発行することで、対象の作品の売買・贈与・展示・保管・修復といった来歴情報を自動で記録し管理できるサービス。実物作品をはじめデジタルアート、VRアート、1点物などすべてのアート作品に登録証を発行することができます。
「Startrail」は、アート・Eコマース、オークションサービス、ギャラリー、真贋鑑定サービスなどあらゆるアート関連事業者が接続できるのが特徴。作品と共にStartrail登録証を流通させることで、すべての作品の来歴を自動記録し、二次流通や二次利用を容易に行える世界を実現していくことができるといいます。
そして2020年には、この「Startrail」を活用して構築された「Startbahn Cert.」を公開しました。これは、「Startrail」に記録される情報を手軽に確認できるICタグ付きブロックチェーン証明書「Cert.」の発行サービスです。「Cert.」は、作品情報を継続的に更新しつつ保全できるブロックチェーン証明書と、デジタル上の情報と実際の作品を紐付けて物理的な受け渡しまで管理できるICタグのメリットを併せ持つ仕組みと言えるでしょう。
その他、ペンタブレットなどのクリエイティブソリューション事業を展開する株式会社ワコムや京都芸術大学の学内ベンチャーである株式会社クロステック・マネジメント、香港・シンガポールなどを中心にブロックチェーン上でアート作品を取引するサービスを展開しているMaecenas Fine Art Ltd.などとの共同事業にも注力しています。
今後の展開は?そんなスタートバーンが、みやこキャピタル株式会社と株式会社東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)および複数の投資家を引受先とした第三者割当増資により、総額11.2億円の資金調達を実施。
今後は、「Cert.」を発行するユーザーに対する審査の徹底や作品と情報の紐付けを強化を図るといいます。また、これまで対応してきた絵画や彫刻などの実物作品に加えて、デジタルデータのみで構成されたデジタル作品への発行受付を開始。デジタル映像・音声データ・3Dデータのような形式のデジタル作品でも「Cert.」を発行できるようになりました。なお、「Cert.」が発行されたデジタル作品も、「NFTアート」に該当するようです。
この「NFTアート」は、複製が容易に行われてしまうデジタルコンテンツにおいて証明することが難しかった「所有権」を明確にする「NFT(非代替性トークン)」が付与されたアート作品として昨今注目されています。しかし、既存のNFTサービス同士の互換性がないことから、サービスを横断した二次流通・利用が難しいという課題もあるようです。
そこで、同社は「Startrail」の仕組みを生かして、NFTを導入したい事業者に向けたパッケージ提供を開始。また、すでにNFTを導入しているマーケットプレイスに対しても、サービス横断で互換性を持たせるためのソリューション「Startrail PEG」を提案していきます。
さらに、最新アートニュースなどを伝えるウェブメディア「Tokyo Art Beat」のアップデートも予定。今秋には、ウェブサイトとアプリをリニューアルし、アプリではiOSに加えてAndroidへの対応を予定しているとのことです。
PR TIMES
(文・Higuchi)
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