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自動運航船の遠隔監視・遠隔操船に関する共同研究・検証がスタート

Techable / 2021年6月3日 16時0分

国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所(うみそら研)と沖電気工業株式会社(OKI)は、自動運航船の安全および船員負荷低減を目指し、遠隔監視・遠隔操船に関する共同研究の契約を2021年6月1日に締結しました。

両者は、「フェーズⅡ 自動運航船」において、周囲状況の確認技術と遠隔操船技術の構築および自動着桟システムの安全性向上を実現すべく研究・開発に取り組む構えです。

船の周辺映像を遠隔地に伝送

今回の契約に基づき、うみそら研の海上技術安全研究所(海技研)とOKIは、2022年3月31日までの共同研究を通じて「船舶用俯瞰映像システム」の確立を目指します。

そのために今回は、広島県因島付近を航行する海技研の小型実験船「神峰」に、OKIの俯瞰映像モニタリングシステム「フライングビュー」を搭載。同システムから得られる「神峰」の周辺映像をモバイル回線でつないだ東京の海技研構内のコックピットに伝送し、遠隔監視・遠隔操船を行いながら、他船や周囲障害物との距離把握方法、夕刻・夜間・波浪ありなどの環境条件を想定した影響把握と対策を検討していくといいます。

ちなみに「フライングビュー」は、4台の魚眼カメラと映像合成部・表示部で構成されるシステムです。耐環境性に優れ、自動運航船の周囲360度を自由な視点から俯瞰することができるのが特徴。カメラ映像の合成を映像処理能力の高いFPGAで行うため、小型・省電力でありながら高画質のリアルタイム映像処理を実現します。

2025年までの実用化を目指す

近年、船舶運航におけるICT化が求められており、各国の自動運航船開発は加速しているようです。日本においても、2017年に閣議決定した「未来投資戦略 2017」で2025年までに自動運航船の実用化を目指すことが明記され、2018年に国土交通省が「自動運航船の実用化に向けたロードマップ」を策定。

冒頭で記した「フェーズⅡ 自動運航船」とは、このロードマップの中で示された2段階目の自動運航船です。定義としては「陸上からの操船やAI等による行動提案で最終意思決定者である船員をサポートする」とあります。ちなみに、フェーズⅠは、IoT 技術を活用した最適航路の提案やエンジン異常の通知などで船員をサポートする自動運航船。

フェーズⅠ・Ⅱともに船員に最終意思決定権があり、テクノロジーによってそれをサポートするという形ですが、次のフェーズⅢは、離着桟から航路や気象条件の判断など最終意思決定者が船員ではない自動運航船となります。

PR TIMES

(文・Higuchi)

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