地球規模のスマート農業に対応する農業ICTプラットフォーム「CropScope」
Techable / 2021年6月8日 15時0分
日本電気株式会社(NEC)とカゴメ株式会社は、2020年4月より露地栽培農業支援ソリューションとして農業ICTプラットフォーム「CropScope」を共同展開しています。そしてこのたび、各種機能を追加すると共にAI営農アドバイスサービスの汎用性を強化しました。
リスク・コストを低減し、安定生産をサポート「CropScope」を構成するのは、AIを活用した営農アドバイスサービスと、センサーや衛星写真を活用して農作物の生育状況や圃場環境(土壌の状態)を可視化するサービス。ビジネスモデルの一例として、カゴメがトマト一次加工品メーカーに対し同サービスを提供し、トマト一次加工品メーカーがトマト生産者に対して同サービスを活用した営農支援を行うというものが挙げられます。
営農アドバイスを行うAIは、熟練者の栽培ノウハウを習得し、水や肥料の最適な量と投入時期を指示します。そのため、栽培者の熟練度に関わらず、収穫量の安定化と栽培コストの低減が期待できると共に環境に優しい農業を実践できるといいます。また、AIが習得したノウハウは、技術継承や優秀な熟練栽培者の営農の再現にも活かされ、新規就農者の営農支援や産地の拡大にも貢献するようです。
このAI営農アドバイスサービスと可視化サービスにより、栽培現場での安定的な生産や栽培リスクおよびコストの低減を実現。上記の例で言うならば、トマト一次加工品メーカーは、客観的なデータに基づいた全体最適な収穫調整により、調達リスクの低減や投入資源の最小化を図りつつ、安定的な調達と調達コストの低減が実現できるというわけです。
強化ポイントと今後の展開「CropScope」はこれまでポルトガルなどでの運用を行ってきましたが、加えてオーストラリアでの実証実験も実施。北半球とは異なる南半球における土壌や品種、灌漑設備などの栽培条件での土壌水分シミュレーションや熟練栽培者のデータを取得しました。これにより、北半球から南半球まで、環境が異なる状況下においても熟練栽培者と同等の収穫量が実現可能となるとのことです。
また、世界各国のユーザーの声をもとに、アプリケーションの利便性向上を図っています。例えば、土壌水分変化などの圃場異常の通知機能、営農判断の優先順位を圃場ごとにシンプルにリスト化する機能、蓄積データを活用し営農改善や振り返りに活用できる圃場間比較分析機能などがその一例です。
なお、「CropScope」の対応作物は、トマトの他、じゃがいも、玉ねぎ、にんにく、とうもろこし、小麦、大豆などさまざま。今後も、世界各地の土壌に適した作物の効率的かつ安定的な生産をサポートするツールとして、グローバルに展開していくとのことです。
日本電気株式会社
(文・Higuchi)
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