AIが3次元空間マップから動的物体を検知するモニタリングソリューション
Techable / 2021年6月22日 8時0分
ソニーネットワークコミュニケーションズスマートプラットフォーム株式会社(SNCSP)とSREホールディングス株式会社(SRE HD)およびSRE AI Partners株式会社(SRE AIP)は、モバイル回線などを活用した実環境におけるデータ収集と、収集データに基づく実環境へのAIサービス展開に向けて、2020年8月に戦略的提携を締結。
そしてこのたび、SRE HDおよびSRE AIPが開発した3次元空間認識技術と、SNCSPが提供するIoT事業者向けの回線およびその管理プラットフォーム「MEEQ(ミーク)」を活用したモニタリングソリューションのプロトタイプを開発しました。
通信量100分の1以下同ソリューションの仕組みとしては、ステレオカメラまたは深度センサーを用いて入力映像から3次元空間情報を取得し、細かいキューブで構成される3次元空間マップを生成。そのマップの変化から動的物体の場所を特定し、クラスタリング・ノイズ除去処理を行うことで動的物体のマップ上での体積・位置・速度などを検知するというものです。
この仕組みにより、AIが3次元空間マップから侵入者などの異常を検知し、その一定時間の映像だけをクラウドに伝送・保存することができます。つまり、従来のように監視カメラの映像をすべて伝送する必要がなくなるというわけです。これにより、ネットワークカメラでの監視において課題となっていた通信量を100分の1以下に削減できるといいます。
また、データ伝送時にSNCSPのネットワークとトリプルキャリア(NTTドコモ、ソフトバンク、KDDI)回線を使用できる「MEEQ」を活用することで、多数あるIoTカメラで観測された映像や抽出された3次元空間情報などのデータを安全に集約し管理できるようです。
導入ハードルの低さもポイント同ソリューションには他にも、従来型の画像認識AIを用いた監視ソリューションと比べ、利便性などにおいていくつかのメリットがあります。例えば、動的物体を検知するAIの性能の安定性。3次元空間情報の取得に暗所に強い深度センサーを使用することで、AIの性能が日中に比べ劣化するということがないといいます。
また、従来型のリアルタイム物体認識AIと比べ、必要とする計算量を90%以上削減できるため、入手容易な小型端末を利用できる上、AIが物体を画像から検知するための学習データの準備が不要なため、手間とコストを削減しつつ簡単に導入できるのもメリットのひとつでしょう。
今後は、通信量の少なさや導入ハードルの低さを強みとして、監視・見守り用途での提供はもちろん、物流業界での倉庫やトラック荷台の充填率測定などの業務支援ツールとしての提供も視野に入れているとか。というのも、物流業界では、ID情報を埋め込んだRFタグから充填率を読み取る方法がありますが、把握できるのは庫内にある在庫の種類と体積のみ。同ソリューションでは、3次元空間情報により配置状況まで読み取ることが可能だからでしょう。
3社は、プロトタイプのプロダクト化に向けたさらなる機能拡充を進め、幅広い産業におけるDXに貢献したいとしています。
PR TIMES
(文・Higuchi)
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