EPFLが極低温電子顕微鏡でのリアルタイム観察を可能に!
Techable / 2021年7月22日 8時0分
タンパク質などの生体分子を近原子分解能でキャプチャできるイメージング技術「低温電子顕微鏡法(クライオEM)」が、2017年にノーベル化学賞を受賞しています。
最近では、新型コロナワクチンの標的となるSARS-CoV-2スパイクタンパク質の構造をマッピングするために使用されたりと、生命科学や医学、化学などで有用な同技術ですが、タンパク質のリアルタイム観察において弱点がありました。
こうしたなかスイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)の研究者らは、クライオEMの時間分解能を高める手法を開発しています。
マイクロ秒スケールでタンパク質の構造変化を捉えるクライオEMでは、サンプルをガラス質氷に埋め込むことで、染色、化学固定といった方法に比べてより生体内に近い状態で構造を画像化できます。
ただしタンパク質は、100万分の1~1000分の1秒以内の短いタイムスケールで絶えず構造を変化させているため、クライオEMでの観察は不完全なものでした。
今回EPFLの研究者らが開発したのは、マイクロ秒(100万分の1秒)のタイムスケールでタンパク質の構造変化を捉えられるクライオEM向けの手法です。
レーザーパルスでサンプルの「一時停止」状態を作り出す同手法では、ガラス化したサンプルをレーザーパルスで急速に溶融。氷が溶けて液体になるので、細胞内の状態と同じようにタンパク質は構造を変えられます。
その後、数マイクロ秒でサンプルは再ガラス化されて「一時停止」状態を作り出すことで、クライオEMの時間分解能をタンパク質の変化のタイムスケールに合わせました。
これまでむずかしかったタンパク質のプロセスへのアクセスを可能にする同手法は、生命科学の前進に貢献してくれそうです。
参照元:Laser improves the time resolution of CryoEM/ EPFL News
(文・山田洋路)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
阪大など、レーザー駆動中性子源で飛行時間計測装置の大幅な小型化を実現
マイナビニュース / 2024年7月18日 19時12分
-
ヒト体内でタンパク質がビタミンCを認識・輸送する仕組みを東大が解明
マイナビニュース / 2024年7月8日 17時28分
-
格子面それぞれの磁場を観察、原子分解能・ホログラフィー電子顕微鏡で成功
マイナビニュース / 2024年7月5日 16時12分
-
摘出皮膚※1の長期培養技術と立体的かつ動的な変化の観察(4Dイメージング)に成功
PR TIMES / 2024年6月27日 14時45分
-
ゲルから水溶液になりまたゲルに戻るハイドロゲル物質を岐阜大が“偶然”発見
マイナビニュース / 2024年6月24日 13時16分
ランキング
-
1世界規模でWindowsがブルスクに うちのPCには影響あるの?
ITmedia NEWS / 2024年7月19日 16時25分
-
2世界規模のWindows障害が情シス的にだいぶ恐怖なワケ ブルースクリーン多発事件
ITmedia NEWS / 2024年7月19日 18時18分
-
3「会社のWindows PCが突如ブルースクリーンに……」 世界中で報告相次ぐ 「仕事ができない」
ITmedia NEWS / 2024年7月19日 14時49分
-
4札幌市イオンモールの駐車場が子育て世代に優しいと話題 気遣いの“言葉”に「これ素敵すぎる」「涙が出ちゃった」と称賛の声
ねとらぼ / 2024年7月18日 8時0分
-
5コンテンツサービスで相次ぐ突然のクレカ決済停止の問題点 今後どう対応できるのか、議員と弁護士に聞いた
ねとらぼ / 2024年7月19日 12時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)