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Galaxy Z Fold3/Flip3の特徴と、サムスンの狙い

Techable / 2021年8月18日 8時0分

サムスン電子は、オンラインの新製品お披露目イベントで、フォルダブルスマホの最新モデルとなる「Galaxy Z Fold3 5G」と「Galaxy Z Flip3 5G」の2機種を発表しました。

同社のモバイル通信部門の社長を務めるTM・ロー氏は、2機種を指し、「これがモバイルとっての新しいスタンダードで、新しいメインストリームのスマートフォンになる」とその狙いを語っています。

ロー氏のコメントの通り、サムスン電子はGalaxy Zシリーズ2機種を、やや特殊な端末という位置づけから、メインのフラッグシップモデルの1つに“格上げ”しました。サムスン電子はこれまで、春にGalaxy Sシリーズ、秋から冬にかけてGalaxy Noteシリーズを投入してきましたが、2021年は後者のNoteシリーズの発表を見送っています。代わりに標準的なフラッグシップモデルの座についたのが、Galaxy Zシリーズ2機種だというわけです。

フォルダブルスマホをスタンダードにしようという意気込みは、2機種の価格からも伝わってきます。特に驚かされたのが、縦折りのフリップ型端末であるGalaxy Z Flip3 5G。同端末の米国での価格は999ドルで、フォルダブルスマホとしては初めて1000ドルを下回る安さで発売されます。日本に投入するかどうかや、価格が円換算でいくらかになるのかは不明ですが、少なくとも、昨年発売された「Galaxy Z Flip 5G」より割安になることは間違いないでしょう。

米国での999.99ドルという価格は、春に発売された「Galaxy S21+」と同じ。この機種は、日本ではauのみの取り扱いになりますが、価格は13万8730円、下取りを含めた実施価格は7万9810円です。ミドルレンジモデルのスマホが増えている中、これでもまだ高めであることは事実ですが、重要なのは、フォルダブルスマホがハイエンドモデルと同価格で買えるようになるということ。TM・ロー氏がスタンダードと述べていたのはそのためで、ハイエンドモデルの上に位置づけられていたこれまでのフォルダブルスマホより、普及が見込めそうです。

単に折りたためるだけでなく、Galaxy Z Flip3 5Gは折り曲げた途中でヒンジをカチッと止めておくことができ、机やテーブルの上に置いたまま撮影が可能。自動的に動画を撮る機能などに対応しています。

先代のモデルとなるGalaxy Z Flip 5Gからの進化点としては、防水に対応したことや、折りたたんだときに使用するサブディスプレイが大型化していること、メインディスプレイが120Hzのリフレッシュレートに対応していることなどが挙げられます。Snapdragon 888を搭載したフォルダブルスマホとしては、破格の安さと言えるでしょう。

一方のGalaxy Z Fold3 5Gも、価格は1799.99ドルと前モデルから200ドルほど安くなりました。とは言え、日本円換算でもまだ20万円弱。決して安い端末とは言えませんが、Galaxyシリーズの最上位モデルとして、フォルダブルスマホで初めてSペンに対応しました。Galaxy Noteを発表しなかったのはこのためで、事実上、Galaxy Z Fold3 5GがGalaxy Noteを兼ねているからです。

フォルダブルスマホのディスプレイは折りたたむため、一般的なスマホより柔らかなディスプレイガラスが採用されていますが、サムスン電子はSペン側に衝撃を吸収する機構を盛り込むことで傷がつく問題を解消。画面中央でもきちんとペンの動きを認識するよう、ディスプレイに内蔵するデジタイザは2つに分割したものを一元的に管理する仕組みを取り入れています。

Sペンに対応しただけでなく、Galaxy Z Flip3 5Gと同様、フォルダブルスマホとして初の防水に対応。メインのディスプレイは7.6インチ、折りたたんだときに使うカバーディスプレイは6.2インチとサイズは変わっていませんが、サイズがややコンパクトになるなど、フォルダブルスマホのスタンダード化を意識していることがうかがえます。

また、メインディスプレイ側はノッチレスになりました。画面内にインカメラを埋め込み、撮影時に透過する仕組みを採用したためです。画面埋め込み型のインカメラは日本で発売された楽天モバイルの「Rakuten BIG」などに搭載されていますが、こちらもフォルダブルスマホとして初。動画や写真を画面いっぱいに表示した際に妨げにならず、Sペンを使う際にも広々と画面を使うことができるため、まさにフォルダブルスマホに最適な技術と言えるでしょう。

フォルダブルスマホをフラッグシップモデルの中心の一角に据えたサムスン電子ですが、本格的に普及するにはまだまだ時間がかかりそうです。特に日本では、19年10月の電気通信事業法改正以降、ハイエンドモデルの売れ行きに急ブレーキがかかり、ミドルレンジモデルの比率が大きくなっています。999.99ドルからと言っても、割引の規制が強い現状ではまだまだ手が出せない人は少なくありません。

一方で、フォルダブルスマホは、カメラやディスプレイの性能を強化する以上に、ユーザーにとって分かりやすい進化であることも事実。カメラやディスプレイの性能を単純に強化するだけのハイエンドモデルにはなびかなかったユーザーを引きつけるだけの魅力もあります。その意味で、Galaxy Z Flip3/Fold3 5Gの2機種は、ハイエンドモデルのすそ野を広げる1台になりうる可能性を秘めていると言えるかもしれません。日本での発売も今から楽しみです。

(文・石野純也)

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