今秋発売予定の「Pixel 6/6 Pro」と、今月発売の「Pixel 5a(5G)」から、Googleの狙いを読み解く
Techable / 2021年8月24日 8時0分
グーグルは、秋に発売する「Pixel 6/6 Pro」の一部を公開しました。詳細は不明ながら、同モデルにはグーグルが独自に開発したSoC(システム・オン・チップ)の「Tensor」が搭載される予定。
その他のスペックは詳細不明ですが、外観も公開されています。それを見る限り、Pixel 5までのPixelとはデザインも一新されており、Pixel 6 Proには、光学4倍の望遠カメラも搭載されるようです。
Pixel 6/6 Proをチラ見せしていたグーグルですが、その前に投入するのがミドルレンジモデルの「Pixel 5a(5G)」です。同モデルは、8月18日に発表され、発売は26日を予定しています。端末の名称を見ればわかるとおり、同モデルは昨年10月に発売された「Pixel 5」の廉価版。Pixel aシリーズは、カメラ性能をそのままに、コストダウンを図った端末ですが、Pixel 5a(5G)もコンセプトは同じです。
例えば、SoCにはPixel 5と同じSnapdragon 765Gを採用。超広角と標準のデュアルカメラもセンサーはまったく同じで、AIによる処理で画質を高めています。ワイヤレス充電がなかったり、メモリ(RAM)の容量が少なかったりと、Pixel 5比でグレードダウンしている箇所もありますが、そのぶん価格は大幅に下がり、グーグル直販なら5万1700円で購入することができます。
3〜4万円台の端末が多いミドルレンジモデルとしてはやや高めではありますが、カメラ機能が上位モデルと同じで3年間のアップデート保証などもあり、お買い得感の高い端末と言えるでしょう。
ソフトウェアやWebサービスが本業であるグーグルがPixelを開発する狙いは、同社のサービスをハードウェアと掛け合わせることでユーザーに届けていきたいからです。わかりやすいのはカメラで、いくらAIの処理に優れていても、光を取り込むためのセンサーがなければ、カメラとしての機能は提供できません。他社のスマホに提供する手はありますが、センサー性能が端末ごとに異なるため、チューニングには大きな手間がかかるうえに、望んでいる画質を提供できるかどうかも不透明になります。
同様に、Pixelにアップデートで提供された通話スクリーニングの機能も、電話機能がなければ成り立たないサービスです。これは、Googleアシスタントを使ってかかってきた電話を選別する機能で、ユーザーの代わりにGoogleアシスタントが応答します。電話というハードウェアに密接した機能を使うだけに、こうしたサービスを提供しようと思ったら、自社でハードウェアを展開するのが手っ取り早かったということでしょう。
このようなハードウェアとAI、ソフトウェアの融合を突き詰めたのが、フラッグシップモデルのPixelと言えます。グーグルがPixel 6/6 Pro用に専用のSoCであるTensorを開発したのも、そのためです。AIの処理能力に優れたチップセットを自社で手掛けることで、グーグル自身が目指す世界観をより実現しやすくなります。
こうした事情をふまえると、秋に発売されるPixel 6/6 Proには、Tensorの高い処理能力を生かした新機能が搭載されることが期待できます。
一方で、ハイエンドモデルだけでは、スマホ市場でシェアを広げることができません。SoCを専用に作り起こしたことから、Pixel 6/6 Proは価格も高くなる可能性があります。日本でも、電気通信事業法が改正され、端末への割引に大きな制限がかかった結果、売れ筋の端末は多くがミドルレンジになりました。ソフトウェアやAIの力を広く行き渡らせようとしたときには、やはり価格のこなれたミドルレンジモデルが必要になります。
グーグルがミドルレンジモデルに力を入れているのはそのためで、特にiPhoneのシェアが高い国に対して、集中的に端末を投入している傾向があります。日本は、そうした国や地域の1つ。実際、Pixel 5a(5G)は昨今の半導体不足のあおりを受け、生産台数が絞られてしまった結果、日本と米国限定で発売されることになりました。グーグルによると、過去の実績も考慮していといい、Pixel aシリーズの売れ行きがよかった日本市場が優先されたそうです。
とは言え、その“メジャー感”に反し、国内でのシェアを見るとPixelシリーズはまだ高いシェアを取っている状況ではないことが分かります。Reno Aシリーズの投入で勢いをつけ、シェア上位を取るようになったOPPOや、現在急成長中のXiaomiと比べると、拡大のペースは緩やかな印象を受けます。ミドルレンジを投入する中国メーカー各社は、MVNOや家電量販店などに販路を広げていますが、シェアを拡大するうえでは、グーグルにもこうした対応が求められそうです。
(文・石野純也)
この記事に関連するニュース
-
「motorola edge 50 pro」レビュー、125W急速充電・Snapdragon 7 Gen 3搭載のミドルハイスマホ
マイナビニュース / 2024年7月9日 16時36分
-
佐野正弘のケータイ業界情報局 第130回 価格高騰でミドル~ミドルハイクラスに活路を求めるスマホメーカーを待つ“茨の道”
マイナビニュース / 2024年7月8日 11時30分
-
ITmedia Mobile人気記事より:ミドルレンジスマホでジワジワ広がる「カメラ画素数」競争(画素数は高ければ良いとも限らないのですが)
ITmedia Mobile / 2024年6月29日 14時5分
-
OPPO、カメラでAI編集機能を利用できる「OPPO Reno11 A」を6月27日発売
マイナビニュース / 2024年6月20日 11時14分
-
薄型軽量やデザインの魅力はしっかりキープ! OPPOの“全部入り”スマホ「Reno11 A」は円安でも4万円台
ASCII.jp / 2024年6月20日 11時0分
ランキング
-
1スマホの容量パンパン!じゃあ直付けSDカードリーダーで容量増えやしちゃえ
&GP / 2024年7月18日 6時30分
-
2妻の悲鳴を聞いて駆けつけたら…… 充電中のモバイルバッテリーが発火、真っ黒に焼け焦げたバッテリーに戦慄
ねとらぼ / 2024年7月16日 7時15分
-
3ナイキならぬニャイキ ロゴマーク「スウッシュ」を全身で表現する猫ちゃん
おたくま経済新聞 / 2024年7月18日 7時0分
-
4「笑み男」の正体はあの名作ADV!35年ぶりのシリーズ完全新作『ファミコン探偵倶楽部 笑み男』8月29日発売決定
インサイド / 2024年7月17日 22時41分
-
5「SNSの英知」 そうめんの巨大空き箱の“天才的な使い道”があまりにも予想外で話題に 「まねしよう」
ねとらぼ / 2024年7月18日 7時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)