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国産バナメイエビの「スマート養殖」を目指す、4社共同の実証実験

Techable / 2021年10月12日 10時30分

バナメイエビは、世界で最も食されているエビであり、国内でもさまざまな調理法で提供されています。しかし、バナメイエビを養殖するための稚エビ(種苗)は海外から輸入することが多く、海外由来の特定疾病による被害が発生しているようです。そのため、養殖業者は、全滅することもある病気のリスクに悩まされているといいます。

そこでリージョナルフィッシュ株式会社、株式会社奥村組、株式会社NTTドコモ、岩谷産業株式会社の4社は、バナメイエビ養殖の最適な方式・条件を確立する実証実験を開始しました。

ちなみに、上記の特定疾病とは、まん延した場合に養殖水産動植物に重大な損害を与えるおそれがあるものとして農林水産省令で定められたものです。

実験概要

同実験では、リージョナルフィッシュが生産するバナメイエビの国産種苗を用い、最適な養殖方法を検討します。検証方法は、200トン水槽3基を用意し、同時に「閉鎖循環式養殖」と「バイオフロック養殖」を実施することで、各方式のメリット・デメリットを抽出するというもの。

バナメイエビ養殖で主流とされるこの2つの方式は、水の入れ換えを一切行わないため、病気発生のリスクを下げる利点があるとされています。しかし、実際の養殖場の規模ではこの両方式を比較検証した例がなく、どちらがより最適な方式かは明らかになっていません。そこで、ICTなどの活用により2つの方式を比較し、最適な養殖方式の選択および改良の方向性を模索しようというのです。

各社の役割

閉鎖循環式養殖とは、ろ過システムを用いて飼育水を浄化しながら循環利用する養殖方式。同実験において、閉鎖循環式養殖のシステム構築および養殖を担うのが奥村組です。実験を通じ、当該システムの各種機能の最適化を検証し、安定運用を目指します。

一方バイオフロック養殖とは、養殖水中に炭素源を添加することでバイオフロックと呼ばれる微生物の塊を生じさせ、微生物の力で水質浄化を図る養殖方式。同実験では、リージョナルフィッシュがバイオフロック養殖を実施するようです。

これらの水槽では、NTTドコモのICTブイをベースとした水質遠隔監視システムで、水温・溶存酸素・塩分・pHなどの水質を測定します。測定データは、「ウミミル」アプリを通してスマートフォンでも確認可能。また、他社センサーデータ(アンモニアなど)をAPI連携にて「ウミミル」で提供するといいます。

岩谷産業は、高濃度酸素溶解装置を用いて、水槽の溶存酸素濃度を最適な状態に制御。陸上養殖において不可欠な効率的な酸素供給を実現することで、収量増加を目指します。

なお、今回使用されるバナメイエビの国産種苗は、リージョナルフィッシュが世界で初めてゲノム編集に成功して生産・提供しているもので、同実験を通じてさらなる品種改良を進めるとのこと。リージョナルフィッシュはバナメイエビの種苗の他、「22世紀鯛」と名付けたタイもゲノム編集技術を活用して開発し、2021年9月に提供を開始しています。

PR TIMES
リージョナルフィッシュ株式会社

(文・Higuchi)

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