問診はタブレットで、電子カルテの下書きはAIで。医師の負担軽減と診療の質向上を目指す実証
Techable / 2021年11月11日 9時0分
昨今、多くの医療機関では、日々の問診や診療、診断、ワクチン接種など幅広い業務に対応する医師や看護師の負担が大きな課題となっています。特に、コロナ感染患者を受け入れている医療機関において、その課題は深刻なようです。
そこで立ち上がったのが株式会社プレシジョン、富士通Japan株式会社、独立行政法人国立病院機構名古屋医療センターの3者。プレシジョンが開発するAI診療支援「今日(こんにち)の問診票」と、富士通Japanの電子カルテシステム「FUJITSU ヘルスケアソリューション HOPE LifeMark-HX」を連携した実証実験を、名古屋医療センターにて開始しました。
AIで問診+医学教科書の検索「今日の問診票」では、タブレット上で問診を行い、患者が入力した問診内容からAIが電子カルテの下書きを作成します。問診内容は、患者の回答内容に応じた質問が表示される仕組みで、より詳しく確認すべきポイントを聞きだせるようになっています。また、診療に合わせて問診票をカスタマイズすることも可能です。
電子カルテの下書きを作成すると同時に、約2,000名の著名医師の監修による医学情報データベース(医学教科書)を検索。症状や所見、鑑別診断、治療方法など、診療に関わる詳細情報を電子カルテシステムの画面に表示する機能も搭載しています。これらの情報を、医師の診療やカルテ作成、看護師の問診などに活用することで、医療従事者の負担軽減や外来診療の効率化、診療の質の向上などが期待できるようです。
この「今日の問診票」は、さまざまな電子カルテと連携が可能。今回の実験では、富士通Japanの「HOPE LifeMark-HX」と連携します。なお、実証期間は2021年11月10日~12月31日です。
現場の経験から生まれた「今日の問診票」今回の実証実験は、プレシジョンが「富士通アクセラレーター第9期」に採択されたことをきっかけに実施が決定しました。
プレシジョン代表取締役の佐藤寿彦氏は、現役の医師であり、その経験を活かしながらサービスを開発中です。佐藤氏によると、日本では、診療支援(医療教科書)を上手く使うことで診断エラーは24%から2%に低下するとも言われているようです。医療教科書の活用が適切な診療に必要であることが伺えますが、実際のところ、過去の蓄積に加えて毎年大量の論文が発表される医療の現場では、それらをすべて追いかけることは不可能だといいます。
そこで同社は、AI問診票とデジタルの医学教科書を組み合わせた「今日の問診票」を開発し、医療従事者をサポートしてきました。上記以外の「今日の問診票」の機能として、問診の回答漏れを検出できる入力チェック機能や、医学用語に特化したOCRでお薬手帳や紹介状をスキャナーしてカルテに転記する機能などがあります。また、病院が用意した端末はもちろん、患者自身のスマートフォンで問診に回答することも可能なようです。
PR TIMES
株式会社プレシジョン
富士通Japan株式会社
(文・Higuchi)
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