太陽光と空気からジェット燃料をつくる!? 砂漠地帯を有効活用できる可能性も
Techable / 2021年11月19日 9時0分
スイス連邦工科大学チューリッヒ校の研究チームは、太陽光と空気からカーボンニュートラルな液体燃料の生産が可能になる施設(プラント)を建設しました。
太陽光と空気で燃料を生産温室効果ガスの排出を抑えるカーボンニュートラルな燃料は、航空・海上輸送をサステナブルなものにするためには不可欠です。スイス連邦工科大学が建設したプラントは、大気中のCO2と水を直接抽出し、太陽エネルギーを利用して分解するプロセスを活用。水素と一酸化炭素の混合物である合成ガスを生成します。そして、この合成ガスを、灯油やメタノール、その他の炭化水素に加工することができるとのこと。
同大学のAldo Steinfeld教授は、「このプラントは、太陽光と空気をドロップイン燃料に変換するための熱化学プロセスを実現することに成功しました。また、太陽光の下でも安定して作動しています」とコメント。同氏によると、今後産業用途に利用するための準備も整っているようです。
砂漠を有効利用できるそれでは、太陽光と空気で燃料を生産した場合のコストはどのようになっているのでしょうか。ドイツのポツダムを拠点とするAdvanced Sustainability Studies研究所の試算では、商業規模で生産を行った場合、1リットルあたり1.2〜2ユーロの費用がかかり、常に太陽に照らされている砂漠地帯が生産地として特に適してるとのこと。
「農地が不足しているために、どうしても可能性が限られてしまうバイオ燃料とは異なります。太陽光と空気で燃料を生産できるこの技術により、世界の乾燥地の1%未満のみを使用すれば、ジェット燃料の世界的な需要を満たすことができるのです。食料や家畜の生産とパイの奪い合いをすることもありません」と同研究所のJohan Lilliestam氏は話します。
しかし、「ソーラー燃料」の弱点は大規模な初期投資が必要な点で、さらなる政治的な支援が求められているようです。 現在EUが提供する排出権取引などといった支援策は、マーケットの需要を刺激するのにまだまだ不十分。Advanced Sustainability Studies研究所は、今後航空燃料の割り当てシステムといった新たな支援策を政府に提案していくとしています。
Making aircraft fuel from sunlight and air
(文・Takeuchi)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
カーボンニュートラル社会実現へ…トヨタの水素エネルギー研究者が福島大学生に講義
福島中央テレビニュース / 2024年7月18日 16時6分
-
キケンな燃料輸送もう必要なし!「油の地産地消」 兵器大手がPRする新たな手法とは ?
乗りものニュース / 2024年7月17日 9時42分
-
ヤマハ発動機、鋳造工程に「水素ガス」導入でカーボンニュートラル実現へ 2025年より実証実験
レスポンス / 2024年7月10日 15時45分
-
水素エネルギー実証施設を森町工場に新設~製造工程のカーボンニュートラルを目指して、2025年より総合的な実証実験を開始~
Digital PR Platform / 2024年7月10日 13時0分
-
CO2を原料とする持続可能な航空燃料(SAF)合成技術開発に向けて小型スケールのSAF製造試験装置の設置を決定
PR TIMES / 2024年6月24日 10時45分
ランキング
-
1「スマホ熱中症」に要注意 絶対にやってはいけないこと/効果的な対策を紹介
ITmedia Mobile / 2024年7月20日 11時30分
-
2これが神客……ッ! JALの客室乗務員が“心の中”をあらわにする動画に「マジでこーゆー世界がいいよな」「ぜひしてあげましょう」
ねとらぼ / 2024年7月20日 12時30分
-
3これぞ理想の夏休み?祖父・父親・孫の3世代でゲームをプレイする任天堂、夏の新CMがエモい
インサイド / 2024年7月19日 19時40分
-
4米クラウドストライク、カーツCEOが状況説明もユーザーは恨み節 「配布前にテストしたのか?」「なぜ金曜日に」
ITmedia NEWS / 2024年7月19日 22時5分
-
5世界規模のWindows障害が情シス的にだいぶ恐怖なワケ ブルースクリーン多発事件
ITmedia NEWS / 2024年7月19日 18時18分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください