体の中を泳いで薬を届ける極小ロボット! ヒトデの「ある部分」を模倣して実現
Techable / 2021年11月30日 10時0分
スイス連邦工科大学チューリッヒ校の研究チームは、ヒトデの幼生の動きを真似する極小のロボットを開発しました。
マイクロロボットが医療を変える多くの研究者は、マイクロ(極小)ロボットの実現が医療に革命を起こす可能性があるとして注目しています。
マイクロロボットは、私たちの体の中を泳ぐように移動し、特定の器官に薬を届け、最小の外科的処置を実行するように作られています。その設計には、バクテリアや藻類などの天然微生物が参考にされることがよくあったとのこと。
今回同大学が開発した新しいマイクロロボットの特徴は、独自の超音波システムを搭載しているという点。これは、ヒトデの「ある特徴」をロボットが模倣することで実現したといいます。
ヒトデの「繊毛」から着想をマイクロロボットが模倣したのは、ヒトデの表面に生えている揺れ動く細い毛。これは「繊毛」と呼ばれていて、ヒトデの幼生は、数十万本の繊毛に覆われています。
繊毛は並んで生えており、協調するように前後に揺れ動きながら、周囲の水に乱気流を作り出します。これらの繊毛が、新しいマイクロロボットを設計する上で重要な要素となりました。
研究チームはフォトリソグラフィという技術を利用して、繊毛の束を備えたマイクロロボットを設計。次に超音波を利用して、繊毛を振動させました。マイクロロボットの繊毛は、1秒間に1万回以上揺らすことができ、その速さはヒトデの幼生の約1000倍だといいます。
繊毛が高速で振動することで、前後に渦が発生。前方の引く力と後方の押す力によって、ロボットが前進するという仕組みです。
同大学教授のDaniel Ahmed氏は、このマイクロロボットを実際の医療に応用することで、胃の腫瘍などの治療が可能になると考えています。ロボットを使って薬を腫瘍細胞へ直接送ることで、効率的に薬を使用できるだけでなく、人体への副作用も軽減される可能性があるといいます。
しかし、体内でロボットを操作する場合、適切な場所に導くためにリアルタイムで鮮明な画像が必要となります。研究チームは、これを大きな課題として、今後さらなる研究を進めていくようです。
Finding inspiration in starfish larva
(文・Takeuchi)
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