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大型フェリーの無人運航実証に成功! 人やモノを運ぶ海運業の活性化に期待

Techable / 2022年1月19日 12時0分

島国である日本の重要な産業のひとつ海運業には、海難事故防止や人手不足解消などの課題があります。その解決策のひとつのとして注目されているのが“無人運航船”です。

そうしたなか日本財団は、無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」を推進中。1月17日(月)、同プロジェクトの一環として、三菱造船株式会社(以下、三菱造船)および新日本海フェリー株式会社(以下、新日本海フェリー)と共に実施した大型フェリーの無人運航検証に成功しました。

約240kmを高速運航すること約7時間

今回の検証では、全長222mの大型フェリー「それいゆ」を使用。「それいゆ」は2021年7月1日の運航開始以降、無人運航実証に向けデータを蓄積してきた新造船です。

検証にあたり、赤外線カメラで夜間にも他船を検出できる物標画像解析システムや、自動避航機能を含む自動操船システム「SUPER BRIDGE-X」、回頭や後進を伴う高度な自動離着岸操船システムを開発。また、故障予測技術として、機関室の遠隔監視技術や高度なサイバーセキュリティーシステムも開発しています。

これらを「それいゆ」に搭載し、北九州市新門司から伊予灘の約240km、約7時間の航路を最速26ノット(時速約50km)という高速運転で運航。回頭や後進を伴う高度な自動入出港もこなし、無事成功したとのことです。

同検証で活用された各システムは、今後の船舶の自動化・無人運航化に寄与し、より安全で効率的な海上輸送の実現に向けた大きな一歩となることが期待されています。

「MEGURI2040」について

ここで、冒頭に記した無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」について少し紹介しましょう。

そもそも無人運航技術は、自動運転と比べ開発途上にある領域です。世界的にみても、船陸間の通信環境整備などの技術面や多額の開発資金がかかるという経済面での理由からその開発・実証は進んでいないといいます。

そこで、世界的にも高い水準の技術を有する日本の民間企業を集め、IoTやAIなどを活用して無人運航船にかかる技術を開発しようということに。こうして発足した同プロジェクトは、2025年までの無人運航船実用化を目指しています。

同プロジェクトは、2020年2月より5つのコンソーシアム(複数の民間企業体)と共同で、無人運航船の開発に取り組んできました。今回実証に成功したのはコンソーシアムのひとつ「スマートフェリーの開発」プロジェクト。三菱造船と新日本海フェリーの2社がコンソーシアムメンバーです。

コンソーシアムとしては、株式会社日本海洋科学ほか29社が参画する「無人運航船の未来創造 ~多様な専門家で描くグランド・デザイン~」や、丸紅株式会社ほか3社が参画する「無人運航船@横須賀市猿島」などがあります。

「無人運航船@横須賀市猿島」については、先日Techable(テッカブル)でも紹介しました。こちらは、小型観光船の無人運航実証に成功しています。小型観光船ということで、離島航路の確保などに期待されているとのこと。今回の大型フェリーとの実用化目的は違いますが、どちらも大いに意義のあることでしょう。

PR TIMES
日本財団「MEGURI2040プロジェクト」

(文・Higuchi)

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