【コラム】格安SIMのmineoから使い放題×通信速度を選べる新プラン、“お昼”だけ要注意のワケ
Techable / 2022年3月18日 13時0分
オプテージが運営する格安SIMサービスのmineo(マイネオ)は、3月7日に「マイそく」と呼ばれる新料金プランを開始しました。
これまでのMVNOは、データ容量ごとに料金を分け、複数の選択肢を用意するのが一般的でしたが、マイそくはこうした既存の料金プランとは設計思想が大きく異なります。マイそく内にも2プランありますが、いずれもデータ容量は使い放題です。
通信速度により料金が異なる「マイそく」2プランの差は、データ通信の速度にあります。
1つ目が月額990円の「スタンダード」で、こちらは速度が1.5Mbps。もう1つが「プレミアム」で、月額2200円と料金は2倍強高くなりますが、通信速度も3Mbpsにまで向上します。データ容量で料金差をつけるのではなく、通信速度ごとに料金を設定しているのが、マイそくの新しいポイントと言えるでしょう。
一般的なMVNOの場合、990円だとデータ容量は4GB前後になります。2000円を超えると、20GB前後の中容量プランになるのがこの市場の相場です。
これ以上のデータ容量を使いたい場合で、かつ多少速度に制限があってもいいと考えるなら、マイそくはお得な選択肢と言えるかもしれません。プレミアムコースの場合は、他社でも比較的データ容量が多いため、ある程度の速度で残量を気にせず使いたい人向けと言えそうです。
ほぼ何もできない平日12時~13時ただし、速度以外にもう1つだけ制約があります。それが正午から午後1時までの時間帯。
この時間帯のみ、どちらのプランを選んでも、通信速度は32Kbpsに制限されます。完全に通信が止まってしまうわけではないため、電話などをするぶんには問題ありませんが、32Kbpsまで速度が落ちると、一般的なWebサイトを見るのも厳しいでしょう。
事実上、メッセンジャーアプリを使ったテキストのやり取り程度しかできないと考えておいたほうがいいかもしれません。
大手から回線を借りているMVNOゆえの制限この時間帯にのみ制限がかかるのは、MVNOのビジネスモデルと大きく関係しています。正午から午後1時にかけては、会社勤めの利用者が一斉にスマホを使い始めることもあり、データのトラフィックが集中します。
MVNOは、ドコモ、KDDI、ソフトバンクといった大手キャリアから回線を帯域単位で借りていますが、この時間帯はキャパシティを超えてしまうことが多々あります。データ通信が使い放題になるマイそくの場合、とくにトラフィックが発生しやすくなることから、混雑時に制限をかけたというわけです。
帯域の量をピーク時に合わせて借りれば解決するのでは……と思われるかもしれませんが、それも難しいの実情です。この1時間で非常に高いトラフィックの山ができるため、すべてを吸収しようとすると、ほかの時間帯の帯域がスカスカになってしまいます。
1時間のためにそのコストを払うとなると、料金に跳ね返ることになります。現状のように、990円なり2200円なりの低価格でサービスを提供しようとすると、どうしてもお昼の1時間はある程度の制約を設けざるをえません。
逆に言えば、その他の時間帯は比較的帯域に余裕があるため、速度を一定程度まで絞れば、使い放題のサービスを提供できるということです。
使い放題×通信速度別は次の主流になるかマイそくの導入に先立ち、mineoは昨年、既存の料金プランにオプションとしてつけられる「パケット放題Plus」というサービスを提供していました。
このサービスは、高速データ通信をオフにした場合の速度が1.5Mbpsになるというもの。実質的に、マイそくのスタンダードプランに近いものと言えるでしょう。ここでデータを取り、1.5Mbpsあればアプリなどが十分使えることを確認したうえで、マイそくの投入に踏み切った格好です。
お昼の1時間の制限がかなり厳しいため、万人にオススメできる料金プランではありませんが、昼休みの時間帯に働く接客業の人や、時間帯をずらして交代でお昼休みを取ってるような人には、お得な料金プランと言えるかもしれません。
デュアルSIM端末であれば、この時間帯だけ、楽天モバイルなどの低価格な回線にデータ通信を切り替えるという手もあります。
大手通信キャリアに対抗する形で、昨年、一斉値下げに踏み切ったMVNOですが、結果として、低価格・低容量の料金プランが横並びになってしまったことは否めません。数十円単位だったり、1GB単位だったりの差別化では、ユーザーが選択する際の決め手になりづらいはずです。
そんななか、使い放題を軸に通信速度別に料金を設定したmineoのマイそくは、違いが際立った料金プランと言えます。このような料金プランが、次の主流になるのかは注目しておきたいところです。
(文・石野純也)
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