メルボルンの主要道路でAI活用の交通管理システム導入。渋滞解消・事故防止へ
Techable / 2022年4月25日 11時0分
メルボルンの主要道路にて「インテリジェント・コリドー(Intelligent Corridor)」という交通管理システムが導入されました。交通渋滞の緩和と安全性の向上を目的としています。
オーストラリアとオーストリアの合体事業この取り組みは、ウィーン証券取引所に上場する老舗テクノロジー企業Kapsch TrafficComとオーストラリアのメルボルン大学、ビクトリア州運輸省によるもの。Kapsch TrafficCom社は、世界50か国以上でモビリティ関連のプロジェクトを手掛けている企業です。
同社はこれまで、アルゼンチンのブエノスアイレスで有料道路の料金システムの導入や、インドのムンバイでCCTV(監視カメラ)を導入し、トラフィックの滞留時間を最小化する交通改善プロジェクトなどを実施しています。
インテリジェント・コリドーの期間は3年間の予定で、場所はメルボルンの中央を貫くNicholson Streetにおける2.5kmの区間。実験区間ではセンサー、AI、機械学習アルゴリズム、予測モデル、リアルタイムデータを活用して交通管理の改善を図るとのこと。
たとえばセンサーは、道路上のあらゆる場所に接続し、リアルタイムデータを取得することで監視するといいます。安全性の指標は、Advanced Mobility Analytics Groupが開発した交通安全ソフトウェアを利用して導き出します。
14年間で500人近くが交通事故で亡くなるメルボルンメルボルン大学交通工学科のマジッド・サルヴィ教授によると、メルボルンだけでも、2006年から2019年の間に492人が都市の交差点での衝突事故で命を落としているといいます。
その半数以上は、歩行者、自転車、オートバイの利用者だったとのこと。
同氏は「インテリジェント・コリドーは、最新のテクノロジーを使って交通をよりよく管理し、すべての人にとって道路をより安全にします」と述べています。
渋滞により年間165億ドルの損失もインフラ報告書のデータ(Infrastructure Australia - Infrastructure Audit Report 2019)によると、都市部の渋滞による遅れは、毎年165億ドル(約1.5兆円)もの損失をオーストラリア経済に与えていると計算されています。
サルヴィ教授は、インテリジェント・コリドーは都市の混雑によるコストを削減するロールモデルを世界中の都市に提供することになるだろうとも語ります。
今後3年間、プロジェクトのデータを継続的に取得し、成果を上げるために調整を繰り返す方針です。
Kapsch TrafficCom
(文・李 英孝)
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