AIが鉄リサイクルを効率化 高精度な等級査定や異物検出で脱炭素対応へ
Techable / 2022年6月7日 9時0分
大和工業株式会社(以下、大和工業)と株式会社EVERSTEEL(以下、EVERSTEEL)は、画像認識を用いた鉄スクラップの自動解析AIシステムを共同開発。 2021年11月末からの4ヶ月間にわたる技術検証で一定の成果を得ています。
そして6月より、同システムの実践的な検証を開始。等級査定および異物検出を高精度化することで、脱炭素実現に向けた鉄リサイクルの効率化を目指すとのことです。
鉄スクラップの品質を守る検品人材が不足大和工業は、カーボンニュートラル社会の実現に資する鉄リサイクル事業を推進しています。鉄リサイクルにおいては、原材料である鉄スクラップの高品質化が重要ですが、鉄スクラップという特性から品質のばらつきはつきものとか。
そのため、大和工業では現場の熟練工による徹底した検品作業で原材料品質を担保してきましたが、近年では熟練工の高齢化や人材不足が深刻だといいます。
こういった背景から、鉄スクラップの効率的な選別を可能にするAIソリューションを持つ東京大学発スタートアップのEVERSTEELと協業を開始。EVERSTEEL社のベースラインAIモデルを活用し、等級査定と異物検出の精度向上を目指しています。
鉄スクラップの種類・品質・存在割合を算出等級査定においては、スクラップ分類エンジンを活用しました。
鉄スクラップは、種類・品質により20種類以上に分類されます。スクラップ分類エンジンは、スクラップのサイズや厚みを認識し、種類・品質・存在割合を正確に算出できるとのこと。
製造する鉄鋼材に応じて適切な品質のスクラップを使用することが、効率的なリサイクルにつながるようです。
異物検知で品質低下を防止異物検出には、不純物検出エンジンを活用しています。
鉄リサイクル時の大きな課題が異物経由で混ざる非鉄金属による品質低下。たとえば、0.1%単位の非鉄金属混入により、溶解後の加工工程において表面割れなどが起こるようです。
そこで、独自の異物データセットで異物を正確に検知する不純物検出エンジンを活用しました。
海外展開も視野に、精度向上を目指す21年11月末からの検証では、従来の画像単位での等級査定技術に比べ、等級査定および異物検出において高精度の検出成果を確認。今後さらなる精度向上を目指し、開発を進める構えです。
また、鉄スクラップの高品質化は世界共通の重要課題になっていることから、同技術の海外展開も視野に入れているといいます。
PR TIMES
株式会社EVERSTEEL
(文・Higuchi)
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