ニコンら、AIで動物画像を検出するアプリ開発。野生動物のモニタリング調査で活躍
Techable / 2022年7月14日 11時0分
株式会社ニコン(以下、ニコン)と公益財団法人日本自然保護協会(以下、NACS-J)は、AIを活用して撮影画像から動物を検出するアプリを開発。精度検証の結果を発表しました。
膨大な時間がかかる画像選別自然環境のモニタリング調査を実施しているNACS-Jは、センサーカメラを使った動物の調査もおこなっています。
センサーカメラは熱を発する動物の動きに反応して撮影しますが、風に揺れた植物に反応してしまい、動物を写していないというケースもあるようです。
こうして収集した画像は、目視作業によって動物が写っているかどうかを判断します。ところが、調査で撮影される画像が年間数万枚におよぶ活動地もあるとか。これでは、膨大な労力と時間がかかってしまいます。
2万枚以上の画像データ活用こうした課題を解決すべく両者は、2018年よりセンサーカメラ画像に対する動物検出技術の共同研究をスタート。約2万2500枚の画像データとニコンが有する画像解析技術を活用して、同アプリを完成させました。
そして2021年4月、NACS-Jが生物多様性の復元と持続的な地域づくりを目指す「赤谷プロジェクト」に取り組む群馬県みなかみ町にて精度検証を開始。
検証では、撮影した画像のなかから「動物が写っていないもの」を正確かつ効率よく判断できるかを主として検証しました。
「動物が写っていないもの」を判断できるか検証では、イヌワシ・クマタカ・ツキノワグマなどの生息地にもなっている“赤谷の森”にセンサーカメラを設置。そのうち2000枚以上が撮影された8地点、計3万809件の画像データをアプリで処理しました。
結果、アプリが「動物が写っていない」と判断したデータは3万108件。それらを人がチェックしたところ、動物が写っていなかった画像データはそのうち2万9983件で、正解率は99.6%となりました。
また、従来ならば約1週間かかっていたという約3万枚のチェックと整理を2日間に短縮し、大幅な労力削減を実現しています。
ちなみに、検証の主目的ではありませんが、「動物が写っているもの」の判別と「動物の種類」の判定にも挑戦。動物が写っている画像の判別における正解率は21.0%、種類の判別に関しては正解率74.1%となったようです。
PR TIMES
「赤谷プロジェクト」
(文・Higuchi)
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