ドコモ、デジタル口座サービス「dスマートバンク」始動。口座の残高・履歴の確認をアプリで完結
Techable / 2023年1月24日 17時1分
ドコモは、デジタル口座サービスの「dスマートバンク」を2022年12月に開始しました。同アプリは、銀行口座を扱うためのもので、現状では、口座残高や出入金の履歴を確認することが可能。
「貯金箱」という仕組みもあり、これを使うと仮想的に口座を分けることができます。口座に残しておきたい貯金と、日々の生活で使う資金を1つの銀行口座内で管理したいときに役立つ機能。
貯金箱の代わりとして、ドコモの資産運用サービスである「THEO+docomo」にお金を預けることもできます。
銀行口座といっても、ドコモ自身が銀行業を始めたわけではありません。
dスマートバンクは、三菱UFJ銀行のAPIを使って実現したサービス。dスマートバンクから簡単に三菱UFJ銀行の口座を開設できるほか、既存の三菱UFJ銀行口座をdスマートバンクに紐づけることもできます。
口座はあくまで三菱UFJ銀行のもの。ATMや支店などは、すべて三菱UFJ銀行を使う形になります。dスマートバンクは、三菱UFJ銀行側の口座情報を参照するためのアプリと言えるでしょう。
こうしたサービスは、「BaaS(Banking as a Service)」と呼ばれています。銀行業を持たない事業者が、APIを通じて一部の自身の顧客に直接提供できるのが魅力です。
dスマートバンクの場合、ドコモがドコモの契約者に対し、あたかも銀行を始めたような形で金融サービスを届けることができるというわけです。
銀行を新規開設するためには免許が必要で、体制も整えなければならないため、時間やコストがかかります。
一方で、非銀行業が銀行の持つすべてのサービスを必要としているわけではありません。ドコモであれば、住宅ローンや企業への融資が必要かと言えば、そうではないでしょう。
あくまで、自社の持つ金融・決済サービスの使い勝手を高めるためのサービスだからです。このような場合、銀行をゼロベースで設立するより、既存の銀行が提供するBaaSを使ってサービスを立ち上げた方が、スピード感が上がり、リスクを抑えることができます。
APIを提供する側の銀行側の魅力は、これまでアプローチできていなかった顧客を取り込めるところにあります。
dスマートバンク開始時にも、三菱UFJ銀行側は、ドコモの8000万を超えるユーザーと、スマホを介した接点が持てる可能性があることを魅力に挙げていました。
既存の銀行とは異なるユーザーを抱える事業者はドコモに限らず、BaaSは徐々に広がりつつあります。例えば、ヤマダ電機の「ヤマダNEOBANK」は、同様にBaaSで実現したサービス。
こちらも、銀行業そのものではなく、住信SBIネット銀行のいち支店として提供されていますが、ヤマダ電機で銀行口座から引き落とされる「ヤマダPAY」を利用すると、利用額の1%がポイントとして付与される特典があります。
また、ヤマダNEOBANKでは住宅ローンも提供されていますが、これも、住宅関連事業を展開するヤマダ電機グループとの相性がよさそうです。
また、第一生命保険は、1月11日に「第一生命NEOBANK」と「楽天銀行 第一生命支店」の2つを開始しました。
前者はヤマダNEOBANKと同じ住信SBIネット銀行、後者は楽天銀行を活用したBaaSのサービス。ドコモやヤマダ電機とは異なり、2つの銀行からサービスを選べるのが特徴と言えるでしょう。
さらに、東日本旅客鉄道(JR東日本)も、ビューカードとともに「JRE BANK」を2024年春に開設する予定。こちらは、楽天銀行のサービスを活用したBaaSのサービスになります。
サービスインまでの敷居が低く、決済事業などとの相性もいいBaaSを使ったデジタル口座ですが、銀行として見ると、機能が限定されてしまう側面もあります。
特にドコモのdスマートバンクについては、サービス立ち上げ直後ということもあり、機能面ではやや物足りなさが残るのも事実です。
先に挙げたように、残高や履歴の確認はできる一方で、銀行アプリとして不可欠な振込には非対応。振込までしたいときには、三菱UFJ銀行のアプリが必要になってしまいます。
三菱UFJ銀行側のアプリには、振込やパソコンからのログインなどに必要になるワンタイムパスワードを発行する機能が備わっていますが、dスマートバンクにはこうした機能もありません。
ドコモが発行するdアカウントがあれば簡単にログインできる反面、機能がかなり限られてしまっています。三菱UFJ銀行側が提供するAPIに依存してしまうため、ドコモ側が必要なサービスをタイムリーに始められないおそれもあるということです。
実際、筆者も三菱UFJ銀行の口座を持っていたため、サービス開始直後にdスマートバンクの利用を始めましたが、残念ながら、三菱UFJ銀行本体のアプリを超える利便性は感じられませんでした。
三菱UFJ銀行のアプリを使えばほとんどのことができてしまうからです。auじぶん銀行を擁するKDDIや、傘下にPayPay銀行のあるソフトバンクと比べ、銀行がないのはドコモの弱点。
その意味で、銀行としての基本機能は、さらなる拡充が必要です。ただ、それだけでは単なる銀行サービスの域を出ません。ドコモ色を出すには、同社の持つサービスとどこまで連携できるかも鍵になりそうです。
(文・石野純也)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「MATSUI Bank」、預金残高500億円・銀行口座数9万口座を突破
PR TIMES / 2024年11月11日 17時45分
-
楽天銀行×楽天証券口座連携サービス「マネーブリッジ」預金残高、6兆円突破!
PR TIMES / 2024年11月6日 18時40分
-
気になる!年収1000万円以上の世帯は、どのように銀行口座を使い分けてる?
オールアバウト / 2024年11月4日 11時30分
-
年収1000万円以上の世帯が利用している&貯蓄におすすめしたい銀行は?
オールアバウト / 2024年11月2日 19時30分
-
【高島屋】高島屋ネオバンク、「冬のトリプルチャンスキャンペーン 最大5,000円プレゼント!」を実施
PR TIMES / 2024年10月31日 17時45分
ランキング
-
1ビューカード、顧客との通話内容を録音したSDカード20枚を紛失
ASCII.jp / 2024年11月25日 17時5分
-
2HD-2D版『ドラクエ3』勇者「俺だけバラモス倒せなかった…」←なんで? 嘆きの声続出の理由
マグミクス / 2024年11月25日 17時25分
-
3メルカリ、不正利用へのサポート強化と補償方針を発表 ネットで意見「当たり前」「個人的には期待」「悪意のあるやつは排除して」
iza(イザ!) / 2024年11月25日 13時21分
-
4スタバ福袋当選発表に悲喜こもごも SNS「3度目の正直来た」「外れてうつになりそう」
iza(イザ!) / 2024年11月25日 12時11分
-
5「不要なスマホなどをdポイントと交換」 ドコモ、小型機器の買い取りに挑戦 都内の25店舗で
ITmedia Mobile / 2024年11月25日 16時21分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください