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ファンケルがストレスと腸内細菌の関係に新知見。腸内環境を整えることがストレス対策につながる

Techable / 2023年3月24日 13時0分

株式会社ファンケル(以下、ファンケル)は、脳におけるストレス反応と腸内細菌との関連について測定、分析を行い、腸内細菌が心理社会的ストレスに対する脆弱性と関連している可能性があるという結果を公表しました。

健康な人での心理社会的ストレスに関わる脳活動と腸内細菌の関係性について、これまで研究報告はなく、今回の本研究が初めての報告となるとのことです。

また、今回の研究成果は、うつ病などの精神疾患を含むストレス関連疾患の早期発見や、腸内環境へのアプローチによる日常的なストレスの緩和、さらにはストレス関連疾患予防の貢献につながると考えられるといいます。

高ストレス反応とうつ病で腸内細菌が酷似

ファンケルでは、以前から、ストレスが心と身体の健康に及ぼす影響に関する研究を進めています。今回の研究では健康な人を対象に、心理社会的ストレスを感じている際の脳におけるストレス反応と腸内細菌の関連について、さまざまな測定と分析をしました。

その結果、脳のストレス反応と腸内細菌には関連があり、ストレス反応が高い人ほど、腸内細菌のバランスがうつ病患者のそれと部分的に類似していることが確認されたということです。

これらの結果から、うつ病などの精神疾患がなくとも腸内細菌が心理社会的ストレスに対する脆弱性と関連している可能性が示唆されました。

脳活動、心拍数などでストレスを測定

今回の研究は、次のような方法で行われました。

ストレスについては、脳活動、心拍数、主観的ストレスについて、25歳から45歳の健康な右利きの男性60人を対象とし、3種類のストレスに関する実験条件(*)を設定し、それらを行っている間の脳活動と心拍数を計測。脳活動については、oXy-Hb(酸化ヘモグロビン)の濃度を測定しました。

また、実験条件を設定した後に「どのくらいストレスを感じたか」といった主観的ストレスも測定しました。

*3種類の実験条件とは、以下の通り

①レスト条件:PCの画面を見ているだけ

②非ストレス条件:心理社会的ストレスをかけずに暗算を行う

③ストレス条件: 心理社会的ストレス(時間制限などを含む)をかけられた状態で暗算を行う

暗算の成績は、ストレス条件の方が非ストレス条件よりも有意に悪かったことが分かりました。また心拍数と主観的ストレスの測定結果については、共に、ストレス条件>非ストレス条件>レスト条件の順に、心拍数や主観的ストレスが有意に高かったことを確認しました。

ストレスが高いほど、酪酸菌などが減少

一方、腸内細菌については、測定の前日または当日に採取した便から分析したところ、心理社会的ストレスに関連する脳活動が高い人(ストレスを感じやすい人)ほど、腸内細菌の中で大腸菌などがふくまれるProteobacteriaのグループの占有率が有意に高く、酪酸菌などがふくまれるFirmicutesのグループの占有率が有意に低いことが分かりました。

この傾向は、ストレスに対して脆弱であるうつ病患者の腸内細菌のバランスと類似しているとのこと。

これらの結果から、心理社会的ストレスと腸内細菌の間に関連があり、心理社会的ストレスを感じやすい人ほど、うつ病患者と腸内細菌のバランスが部分的に似ている可能性が示唆されました。

腸内細菌の研究を通じてストレス関連の疾患予防を

心理社会的ストレスは、2019年以降新型コロナウイルス感染症の拡大により増加傾向にあります。

ストレスの慢性化はうつ病や不安障害などにつながることが知られていますが、ストレスとの関連が特に強いうつ病は年々増加しているものの治療の効果が現れにくく、予防的観点からのアプローチが重要であると考えられています。

ストレスを感じているときに腹痛など胃腸の不調を感じやすい人が多いように、脳と腸と腸内細菌はお互いに関係が強く、心理社会的ストレスに影響を及ぼすことが知られています。

しかし、ストレスに関わる脳機能と腸内細菌に関する研究は、うつ病患者を対象としたものが多く、健常者についてはあまり知られていませんでした。

しかし健康な人の間でもストレスの感じ方には個人差があることから、ファンケルは健常者におけるストレスと脳と腸内細菌の関係を検討することは、ストレスに関連のある疾患予防につながると考えました。

そこで本研究にて、うつ病との関連が強い心理社会的ストレスと、それに関わる脳活動について、健康な男性を対象に前頭葉における心理社会的ストレス反応と腸内細菌の関係を検討するに至ったとのことです。

なお、この研究は論文としてまとめられ、国際学術誌“Neurobiology of Stress”に掲載されました。

ファンケルでは、今後もこれらの成果を生かした新たなサービスや製品開発につながる研究を続けていくとのことです。

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001021.000017666.html

(文・Motohashi K.)

 

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