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年間200万人が利用する“受付システム”企業が考える2023年のオフィスDXとは?

Techable / 2023年4月25日 16時30分

コロナ禍では積極的にテレワークを導入する企業が多かったものの、規制緩和などにより勤務スタイルをもとの「出社」に戻す企業が増えてきました。

それに伴い、オフィスでは対面での打ち合わせ機会が増えており、オフィス来訪者数もコロナ禍前のように復調しているといいます。

そこで今回は、年間200万人が利用する受付システム「RECEPTIONIST」を提供する株式会社RECEPTIONISTの代表取締役CEO 橋本真里子氏に、今後のオフィス課題について寄稿していただきました。

「やはり出社が大事」と感じる企業が国内外に増えた

パンデミックが落ち着きつつある2023年。Apple、Twitter、Amazonなどの海外の大手企業は、社内コミュニケーションの活性化やイノベーションを目的として社員に出社を求める発表を行いました。

これは海外に限られた話ではなく日本においても同様です。本記事をお読みになっている人の中には、TVニュースで表示されるターミナル駅の様子や自身の勤務スタイルから「元通り」を実感している人もいるのではないでしょうか。

出社比率の回復に伴い、受付業務が以前と同じように行われるようになった今、注目を集めているのが“受付システム”です。

私たちが提供する「RECEPTIONIST」は、オフィスのエントランスに置かれたiPad上で受付・来客の取次を行うクラウド受付システムです。

ゲストは内線電話の代わりに置かれたiPadのタッチパネルやQRコードを読み込むことで、担当者を呼び出します。社内ではビジネスチャットやアプリを通して本人に直接通知される仕組みです。

受付から受電した本人でない総務や同じ部署の人が、代理で対応する無駄な時間を割きます。

また、このシステムでは自動で来客の履歴を保存することが可能です。今回は、この利用データや最近の導入傾向を読み取ってわかった、「ここ数年で世の中が受付に対してどう向き合ってきたか」を解説します。

2020年、緊急事態宣言下のオフィスの来訪者は8割減

新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の拡大は、ビジネスにおける“人同士の対面”に大きな影響をもたらしました。

2020年4月から5月の緊急事態宣言の間、「人と人の接触を8割減らしましょう」という政府の進言通り、WEB会議が一気に広まり、当社の提供する受付システムを導入する企業の利用回数が8割減少しました。

しかし、実際に受付導入企業のうち「来客が1ヶ月に1度もなかった」企業は約1割。外部との商談や打ち合わせがWEB会議に移行しても、実際には配送業者や定期的に出入りするメンテナンスの業者などの来客がなくなるわけではなかったことがわかっています。

2021年はオフィスの再構築とともに受付の見直しが広まる

コロナがすぐに収束しないとわかると、企業は「安全にオフィスを運用するには」という考えに移行しました。

「出社には徐々に戻していきたいけれど、来客は減っているので今までの受付担当者にかけていたコストが適切なのか」

「受付に置かれた内線電話は不特定多数の来客者が使うが、コロナ禍では不衛生といえるのではないか」

「どうしたら従業員もお客様も安心してオフィスに戻って来れるか」

という疑問が新たに生まれ、今までは「内線の取次をする社員の負担を減らしたい」という現場目線だったものが、受付にかかわる人以外、ついには経営層にも注目されるものへと変化しました。

テレワークと出社を使い分けるハイブリッド勤務が広まることで、オフィスレイアウトの変更や内装のリニューアル、オフィスの拡張・縮小などの再構築も広まりました。

フリーアドレス化が進んだことも後押しになり、「内線電話を用いない受付」がオフィス構築と同時に検討されるようになり、大手企業からの問い合わせが増えました。

2022年の受付システム利用回数はコロナ前の水準に

さきほど「受付の利用回数が減った」とお伝えしましたが、2021年以降は徐々に来訪が戻り、2022年の1社あたりの平均利用回数が92.7%と、コロナ以前とほぼ同水準となっています。

ハイブリッドワークが普及しながらも、事業の成長やコミュニケーションを求めて徐々に出社日を増やす企業が増加している中、それに伴い対面での打ち合わせ機会も増えたことで、オフィス来訪者数が復調しているとわかります。

さらに、2022年の受付システム全体の年間利用回数は200万回を突破し、コロナ前(2019年)の120万回弱から大きく伸長しました。すでにRECEPTIONISTを導入している企業の対面機会が復帰したことに加え、新たにシステムを用いた受付体制を構築する企業が増加したことが要因です。

コロナ禍の新たな傾向

ここからは、コロナ禍で利用企業に起こった変化を2つ挙げていきます。

①上場企業が受付システムを導入

前述の利用回数の増加には、上場企業による受付システムの導入が2019年より4倍の増加となったことが大きく影響しています。もともとはITリテラシーが高く、受付だけに人員を割くことができないスタートアップ・中小企業の導入が中心となっていました。

しかし、コロナを機にビジネスチャットが普及するなど様々なDXが半ば強制的に進んだことで、企業では、受付対応にシステムを導入するという“DX化”を踏まえて「新たな働き方」を構築するケースが増えているのでしょう。

そのおもな導入・検討背景には、以下のようなことが挙げられます。

・コロナ禍において出社率を抑制する中、出社している限られた人数で受付対応をする必要があるため、効率的なフローにしなければいけない
・平等なテレワークの実現のため、「人に依存しない受付」を構築したい
・固定電話(内線電話)を撤廃するため、受付対応に電話を使わないフローに改善する必要があった
・経営統合をきっかけにABW(Activity Based Working)やフリーアドレスを進めることとなり、総務部門がすべての来客を取次ぐことが現実的ではなくなった

2022年12月時点で、受付システムは、日本取引所グループの上場企業3,869社のうち132社に導入されています。

その中には、企業が受付をシステム化し完全に無人に置き換えるパターンもあれば、有人の受付を構える企業が、受付担当者の人員を減らして記録と取次はシステムに任せるといったパターンもあります。

②オフィス以外の施設での受付システム利用増

さらに、私たちが意外に感じた新たな需要が生まれました。もともとはオフィス向けのサービスとして展開していた受付システムですが、

・守衛の受付業務を効率化したい工場
・フリーランス美容師が集まるシェアサロン
・完全予約制の医療クリニック

など、オフィスに限らず、もともと常駐で専任スタッフが対応していた様々な受付シーンにおいて、「システムを活用できないか」と問い合わせをいただくことが増えています。

当社が提供する日程調整ツールと同時に利用し、来社(来店)予約から受付までを簡略化するケースも増えています。

担当者がお迎えして丁寧なおもてなしをすることが主流だった受付でも、コロナとの共存・労働人口の減少・コスト削減などの背景から、DX化が進んでいる傾向にあります。こうした取り組みは、今後より広く波及していくでしょう。

RECEPTIONISTが考える今後のオフィス課題

冒頭にもあったように、2023年は今まで通りの働き方に戻りつつありますが、今後も大手企業を中心に、安全安心な受付の見直しは増えると予想しています。

こうした流れの中で発生しそうな課題が、“スペース管理の課題が顕著に現れる”ということです。

ハイブリッドワーク前提で一定の出社率を想定したワークプレイスに見直した企業で徐々に出社勤務が増えると、その分会議も増加します。

そうすると、今まで問題なく使えていた会議室やWEB会議ブースの予約率が増加し、以下のような課題が表面化すると予想されます。

・前の予約が時間通りに終わらない
・会議室の予約がなかなか取れない
・すぐのWEB会議を打診されたが今空いているスペースを探しにくい

そのため、出社に戻るからには、今まで以上に限られたスペースを効率的に使わなければなりません。

実は、会議室の予約は内線電話や紙の受付表を用いていた受付と同様に「会議室を総務に予約してもらわなければならない」などのアナログな作業が多く、「予約がダブルブッキングしてしまう」といった不便が生まれやすい分野です。

当社はビジネスのコミュニケーションの無駄をなくし、効率化を推進する企業としてこの課題にも向き合い、会議室予約管理システム「予約ルームズ」を提供し、より便利に開発を続けてまいります。

<著者プロフィール>

橋本真里子
株式会社RECEPTIONIST 代表取締役CEO

三重県出身。大学卒業後、上場企業5社以上で受付業務を経験したのち、2016年に株式会社RECEPTIONISTを設立。11年間、120万人もの接客経験を通して確立した独自のノウハウを活かし、受付システム"RECEPTIONIST"と、日程調整・会議室管理の3つのコミュニケーションサービスを開発・提供。「ビジネスコミュニケーションのアップデート」を目指す。

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