スタートアップ必見。組織の特徴別に考える30名規模までの失敗しないオフィス選び
Techable / 2023年6月6日 18時41分
コロナ禍をきっかけに働き方もオフィスの在り方も大きく変化した昨今。フレキシブルオフィスも内装付きオフィスも、契約形態しかり空間の特徴しかり、ますますバリエーションが増え、多様化してきています。
では、どのようにオフィスを選べば失敗しないのでしょうか?
ここでは会社メンバーが30名規模であることを想定した最適なオフィスの選び方について、ベンチャー・スタートアップをはじめとするオフィス移転の支援をおこなっている株式会社ヒトカラメディア・ワークデザイン事業部 企画営業チームリーダー 上岡貴弓様に解説していただきます。
タイプごとにオフィスの特徴を捉えよう以下の図をご覧ください。これは、企業が求める働き方のニーズを縦・横の軸で示し、空間などの具体的なニーズをハッシュタグとして図にプロットしたものです。まずはこちらの図を見ながら、それぞれの特徴を把握しましょう。
【自社カルチャー醸成】企業文化、コミュニケーションを高めたい
【ソロワーク】アウトプットの品質や効率を高めたい
【他社とのコラボレーション】社外プレイヤーとのコラボを促進させたい
【チームワーク】エンゲージメント、帰属意識を高めたい
ここに、【内装付きオフィス】【多拠点型フレキシブルオフィス】 【単一拠点型フレキシブルオフィス】【一般オフィス】という4つのオフィスタイプを重ね合わせていくと以下のようになります。
自社カルチャーの醸成に注力するなら、内装付きオフィス上記の図を踏まえたうえで、それぞれのオフィスの特徴と、どんな会社がそこに適合するかを解説します。
まず、【内装付きオフィス】の特徴は、一般オフィスと同じように専有空間を持てることです。
たとえば、社内交流イベントを開催したり、全社ミーティングを定期的に開催したりするなど、自社カルチャーの醸成に注力したい場合は、内装付きオフィスが有力候補となります。
ただし内装付きオフィスと一口に言っても、コミュニケーション重視か、業務効率重視かなどによりオフィスごと設計志向に差がありますので、見極めが必要です。
業務効率を高めるなら、多拠点型フレキシブルオフィスアウトプットの品質向上や効率UP、業務効率の向上を求める場合は【多拠点型フレキシブルオフィス】が有力候補になることが多いように思います。
シリーズ展開されている多拠点型フレキシブルオフィスでは、会議室のほかWEB会議スペースや集中ブースなど、リッチな設備を有している施設が多く見受けられます。
また、施設の受付で来客対応してくれるなど秘書サービスがあるところも。できるだけ作業に集中できる環境が整えられていることが多いのが特徴です。
そのほか営業マンなど外出するメンバーが多い会社では、アポイント先からの移動含め、効率よく働けるという点も活用例として見受けられます。
単一拠点型フレキシブルオフィスは、コミュニケーションが生まれやすい一方で、【単一拠点型フレキシブルオフィス】の強みは、施設内でのコミュニケーションの発生のしやすさです。
キッチンやカウンタースペースがあったり、ランチから軽いミーティングまで対応できるオープンなスペースがあったり。また、明確な施設コンセプトのもとコミュニティマネージャーが入居者を紹介してくれるなど、人と人との接点を生み出す仕掛けを密に設計している施設が多く見受けられます。
さらに、他の施設と差別化できるエッジのある空間デザインであることも多く、それ故に“気の合う”入居者が集まるコミュニティが生まれやすいことも特徴です。
全方向を極めたい場合は、一般オフィスでイチから設計をどの観点においても、オフィス機能を極めようとすると、広さや立地制限、内装が限りなく自由に設計できる【一般オフィス】が最適になってきます。
ただし、内装工事は、自社で業者選定ができずオーナーが業者を指定する場合もあり、それによってコストや工事期間が変わってくるので注意が必要です。
また、移転を考えている物件に“何年ほど入居しそうか”というのを予め想定しておくことも大切です。
入居してから2年で移転することになった場合(※入居時の内装工事や退去時の原状回復を考えると実質使える期間は2年を切ってしまいます)、内装にかけたお金や手間が勿体ないことになってしまいます。
会社の採用計画や事業計画に基づき、入居期間を想定したうえで、いま一般オフィスを選ぶことが最善なのかどうか慎重に判断しましょう。
若手層はオープンな対面環境の充実を求める傾向さらに、オフィス選びを深く考えてみます。実際に訪問した企業様の声を集めて分析した結果、社員の成熟度の分布を考慮したオフィス選びが重要だということが分かってきました。
若手の割合が多い組織の場合、「在宅勤務によって伸び盛りの若手社員が落ち込んでしまう」という悩みに直面するケースを多く耳にします。
この問題を解決するには、エンゲージメントを高めることがポイントとなります。自然体で自分自身のことをオープンに話せる対面時間を充実させること、具体的には雑談が生まれる環境が必要です。
たとえば、みんなでピザを頼んでランチができる広いラウンジがあったり、ドリンク飲み放題のカフェバーが併設されていたり・・・。コミュニケーションを促す環境があることで、自然と交流が発生し、エンゲージメントを高めることができ、出社する理由が生まれます。
これに関しては、オンラインの場よりもオフライン環境のほうが適した環境を生み出しやすいでしょう。テレカンブースがたくさんあっても、若手社員はそこに魅力を感じづらいのです。
もちろんオンラインでも実現できますが、ざっくばらんに何でも話せる環境づくりの工夫が必要です。
ベテラン層は業務効率を重視する傾向一方で、ベテラン層が厚い組織は、業務効率を重要視する傾向がありました。
自分のテリトリーをしっかりと把握し業務を遂行するベテランともなると、アウトプットこそがコミュニケーションの主題となってきます。
求める環境も前者とは異なり、しっかり“アウトプットor自身のミッション”に集中できることを重要視します。具体的には、静かで広い作業エリア、機能性の高いモニターやチェア、心地よいBGMと良い香りが重要、というような声が挙げられます。
また、自宅からアクセスしやすい場所、おいしいランチが食べられる場所、といったニーズも高まります。となると、オフィスとしてはクリエイティブを高める機能が揃い、パフォーマンスが最大限発揮できる環境がおすすめです。
目的に合わせて場所を使い分ける、ABW志向のオフィスが適しています。
価格以外の特徴も理解して判断することがカギフレキシブルオフィスや内装付きオフィスは、5年前ではほぼ事例のなかった新しいオフィス移転先です。よって、特徴をしっかり押さえずに価格やイメージだけで選んでしまうと、まだまだミスマッチが起こりうる選択肢と言えます。
数多くのフレキシブルオフィスが登場したことで、各社価格競争になっている市場背景もあり、価格優先で選んでしまうと“安く移転できた”で終わってしまうことも。
実際にオフィス選びの現場ではお客様から「思ったよりも機能を使いこなせていない」「席数はそんなに必要なかった」などの声も耳にしていますので、慎重に選ぶことが重要になってきます。
つまり、それぞれのオフィスの価格以外の特徴を理解したうえで、精度の高い判断をすることが満足のいくオフィス移転を実現するカギとなるのです。
会社の成長にも直結する“オフィス選び”オフィスは企業の未来を左右する大きな要素。【フレキシブルオフィス】や【内装付きオフィス】という種類だけを頼りに選ばずに、企業のワークスタイルとそれぞれのオフィスの特徴を理解し、より精度の高いオフィス選びをおこなうことが大切です。
価格や立地条件はもちろん重要な点ですが、企業カラー、メンバーの現状、今後の展望などの細かな部分を踏まえて擦り合わせることが日々のパフォーマンス、ひいては会社の成長に直結すると言えますので、情報をしっかりとインプットしたうえで、意志のある選択をすることが重要です。
※この記事は、ヒトカラメディア公式ブログ内で執筆した「【2022年版】30名までの企業の失敗しないオフィス選びとは。」を加筆・修正したものです。
<著者プロフィール>
上岡貴弓(うえおか・たかゆみ)
株式会社ヒトカラメディア
ワークデザイン事業部 企画営業チームリーダー
不動産領域のスタートアップでセールス、マネジメント職を経て2017年にヒトカラメディアにジョイン。企画営業職としてスタートアップ・ベンチャー企業をメインとしたオフィス移転に数多く携わる。オフィス移転をきっかけに、働く場と働き方からいきいきとした組織と個人を増やしたい。
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