総勢145社が大阪に集結!関西発「未来のウエルネス」実現に向けてネットワーキングイベント開催
Techable / 2023年7月27日 12時0分
7月12日、大阪商工会議所は、グランフロント大阪のコクヨ梅田ショールームにて「未来のウエルネス(※)実装ネットワーキング」と題したイベントを開催しました。
ウエルネス分野は、2025年大阪・関西万博の「大阪ヘルスケアパビリオン」でも大きなテーマとして掲げられており、注目度が高まっている領域です。
当記事ではイベント当日の模様を報じながら、活況な様相を見せる関西のウエルネス分野の最前線をお伝えします。
※日常生活の中で、カラダやココロ、アタマの状態の変化に気づき、必要となる行動変容が促され、無理することなく運動や睡眠、食事などの習慣が改善される状態
(引用:大阪商工会議所 プレスリリース)
今回のイベントには、ウエルネスビジネスの構築を目指す企業が全国から集結。参加の目的に応じて以下のように分類されていました。
コンテンツ企業:ウエルネス関連のプロダクトを有し、実装(実証)場所を探している企業
空間企業:ウエルネス関連プロダクトの実装を通して、空間の付加価値向上を目指す企業
シーズ企業:ウエルネス関連プロダクトを取り入れ、自社ビジネスの拡張を模索する企業
イベントの開会挨拶には、大阪商工会議所でスポーツ産業振興委員長を務める山田 邦雄氏(ロート製薬株式会社 代表取締役会長)が登壇。『万博が間近に迫るなか、日本の新しい産業としてのウエルネス産業を、ここ大阪から巻き起こしていきたい』と、イベントへの高い期待感を示しました。
会場には総勢145社328人(速報値)が足を運び、至るところで活発に意見が交わされる様子は、参加企業のモチベーションの高さを感じさせるものでした。
医療・ヘルスケア分野も多様な事業展開へ同イベントの大きな目的の一つが、「事業共創に向けたネットワーキング」です。実際に、優れたプロダクトを持つスタートアップとのコラボレーションを期待する声が大企業からも挙がっていたといいます。
今回の開催場所を提供したコクヨ株式会社は、『この空間(ショールーム)や実際のオフィスで、スタートアップのコンテンツを使った実験に取り組みたいと思ってイベントに臨んでいます』と語り、自らも空間企業として参加しました。
一方、ウエルネス関連のプロダクトを持つスタートアップにとっても幅広い事業展開のきっかけを得ることは重要なテーマです。
株式会社ORPHEは、センサーを内蔵した「スマートフットウエア」などのウエアラブル機器と、取得したデータを活用するプラットフォームを開発する企業。同社は、速度、歩幅などの歩き方の特徴(歩容)を数値化して、健康指標の一つとして活用する取り組みを行っています。
『当社の製品は、スポーツや医療の現場などに向けて提供しています。センサーから取得できるデータは、未病段階の予防やメンタルヘルスの測定といった分野にも幅広く応用できます』と語り、新たな提携先の開拓を目指しています。
株式会社OUIは、スマートフォンのカメラを利用して眼の診断ができる医療機器「Smart Eye Camera」を開発しており、同機器はすでに訪問診療や遠隔診療などの現場で導入されています。
『われわれの技術を使えば、簡単なオペレーションで早期発見・早期治療につなげることができます。目の病気が重要な問題となる移動交通に関わる業界や、パソコン作業で目を酷使する機会が多い業界など、幅広い企業と実証実験をできないかと考えています』と、新たな展開も視野に入れていました。
暮らしをアップデートするウエルネスビジネスまた、医療やヘルスケアの分野にとどまらず、多様な業界に属する企業が参加していた点も、今回のイベントならではの光景でした。
空間企業として参加した西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)は、『長引くコロナ禍の影響もあり、従来の鉄道事業だけでなく、生活を支えるビジネス展開にも力を入れていく必要があります。インフラ企業として、健康長寿社会に貢献し、Well-beingな暮らしを提供する。そうした考えのもと、さまざまなパートナーと一緒に取り組めるきっかけにできれば』とイベント参加の意図を明かしました。
同社の発言からもわかるように、ウエルネス関連のプロダクトは、日常のさまざまな場面で私たちの暮らしと関わってくるものです。
たとえば、株式会社CyberneXが開発する「脳波を測れるイヤホン」は、耳から取得した脳波から、リラックスや集中といった脳の状態を可視化して、独自のサービスへと応用しています。
自社で運営するリラクゼーションサロンで、施術を受けているユーザーがどんな状態なのかを分析し、その情報を見たセラピストが施術の具合を調整するといった活用をおこなっており、今後は他企業の商材を利用した際のリラックス度やストレス度の測定にも活用の幅を広げる考えです。
また、指の静脈で個人認証を行う「血流認証スマートロック」を開発するバイオニクス株式会社は、住宅市場向けに新たな付加価値の提供を検討しています。
『血流認証とあわせてバイタルデータを取得する技術を開発しています。玄関の鍵を開けると同時に体の状態をスキャンすることで、毎日の暮らしの中で簡単に体調をチェックできます。手軽な健康管理を通じて、健康寿命の延伸に貢献したいと考えています』とコメントを寄せました。
昨今、各地で「スマートウエルネスシティ」の構築に向けた取り組みが進んでおり、健康で幸福度の高い暮らしに貢献するウエルネスビジネスは、期待の大きい分野だと言えます。
そうした背景も手伝い、今回のイベントは熱気に満ちており、今後ますます市場規模が拡大することを予感させる魅力的なコンテンツが数多く見られました。
とくに、バイタルデータを活用して身近なサービス領域をアップデートする取り組みは、「未来のウエルネス」がどのような姿となるのか、イメージを大いに膨らませるものでした。
その一方で、ウエルネスビジネスの市場が、今後大きな成長を遂げるためには、会社の規模や業界の枠組みを超えた連携が必要になることを、多くの企業が指摘していました。その意味では、今回のイベントが、垣根を越えたパートナーシップを生み出すきっかけとなるかもしれません。
関西発のウエルネスビジネスが、日本さらには世界を巻き込むうねりを生み出すことができるのか。今後の動向に要注目です。
(取材/文・和田 翔)
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