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マルハニチロとシンガポールのUmami Bioworks社が協業。細胞性水産製品の開発加速・商業化目指す

Techable / 2023年9月6日 12時0分

シンガポールに本社を置く、細胞性水産物のパイオニア企業・Umami Bioworksは、マルハニチロ株式会社(以下、マルハニチロ)と協業契約を締結しました。

これにより、水産物の細胞培養技術の確立に向けた共同研究を開始し、細胞性水産製品の開発加速および商業化を目指します。

世界的な水産物需給の乱れ、日本の生産量も減少傾向

国際的に水産物の需要が増加する一方で、過剰漁獲や海洋汚染による漁獲量の減少や品質の低下により、供給不足が深刻な問題となっています。

特に日本では、水産物自給率が約55%と低水準で推移している現状に加え、1990年~2021年の国内漁業生産量(養殖を除く)が、マイナス約65%と減少傾向に*1。この状況は、消費者だけでなく、日本の水産業界や漁業者、そして経済全体に大きなリスクをもたらしています。

*1 Statistics Japan 「STATISTICAL HANDBOOK OF JAPAN 2022」より

協業の背景

こうした中、細胞性水産物が世界的に注目されおり、細胞性食品への世界的な投資は2022年までに28億ドルに達したようです*2。

Umami Bioworksでは、新たな幹細胞生物学・機械学習・自動化を組み合わせ、細胞性水産物の自動生産プラットフォームを構築。水産業関係者が、魚介製品を安定供給できること、消費者が、美味しくて栄養価が高く、手頃な価格の魚介類を入手できることを目指しています。

また、国際自然保護連合(IUCN)に登録された絶滅危惧種の乱獲に代わる持続可能な選択肢を提供することで、海と地球の再生にも取り組んでいます。

マルハニチロは、2021年8月以降、国内企業と細胞性水産物の共同研究開発に取り組んできました。

今回は、技術面および法整備を含めた世界的な事業環境の変化を見据え、新たに海外企業との協業を図ることにより、研究開発体制の拡大充実と早期事業化への歩みを加速させるべく、協業へと至ったようです。

*2 Good Food Institute「2022 STAE OF THEINDUSTRY REPORT」より

細胞性水産物の開発・商業化、新種開発も

今回の協業では、マルハニチロが国内外において持続可能な水産物の供給量を確保するためリーダーシップをとり、日本の細胞性水産物産業の基盤を築くことを目指して、Umami Bioworksへ出資を行います。

Umami Bioworksでは、細胞性水産製品の研究・開発・商業化を推進。初期の段階ではマルハニチロの協力により、開発の加速を目指すとともに、細胞性水産物の商業化に向け多角的な研究協力も行う予定です。

将来的な目標は、スケーラブルで持続可能な水産製品の開発と、商業展開に向けた細胞培養生産システムの最適化。特に、グローバルに重要な新しい魚種の開発に取り組む方針です。

協業の先に……

Umami Bioworksは、日本市場向けの細胞性製品生産パイプラインを確立することで、マルハニチロの日本国内での細胞培養の基盤を開発し、持続可能で安定した地産地消の水産物供給を市場に提供します。

また、同社の日本進出のベースとして、同社の技術とアプリケーションの開発をより深い消費者ニーズと洞察を持つ日本へもたらす技術、商業の出発点となることを目指すとのことです。

マルハニチロにおいては、ますます希少になっている水産資源に対する漁業と養殖に加えて3つ目の持続可能な生産方法を得ることになるでしょう。

参考元:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000121725.html

(文・Higuchi)

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