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三井物産、インドEVバス事業に参入。なぜいま“EVバス”なのか、その背景に迫る

Techable / 2024年1月22日 18時0分

2023年12月27日、三井物産はPinnacle Mobility社がインドで展開するEVバスブランド“EKA Mobility”に段階的に85億ルピー(約140億円)以上の共同投資を計画していると発表した。

Pinnacle社は欧米向けにも実績豊富

Pinnacle Mobility社は、インドPinnacle Industries社と世界最大級のオランダEVバスメーカーであるVDLグループの合弁会社で、EVバスブランド“EKA”の開発・製造を目的として設立された。Pinnacle Industries社自体は1996年、Sudhir Mehta氏によって設立。車載シートやインテリアの製造から始まり、欧米企業向けの受託製造で業績を拡大、2015年にはVDLグループと提携、Pinnacle Mobility社発足に至る関係性を築き、そしてこの取り組みに三井物産が参画した形だ。

EKA Mobilityはすでに500台以上の電気バスと5,000台以上の電気小型商用車を受注しているという。

インドのEVバス事情、三井物産の狙い

インド政府はバスのEV化を促進しており、先進自動車技術(AAT)製品の製造を促進するため“Auto PLI政策”で承認された企業にはEVバスの販売に応じてインセンティブを提供している。そしてEKA Mobilityはすでにこの制度に承認されており、販売に向けて着々と準備を進めていることが分かる。

日本の国土面積の9倍の国土と世界一の人口を擁するインドには現在220万台程度のEV化されていない通常のバスが普及しているが、これを300万台に増やす必要があると言われている。なかでもEVバスは、2023年12月時点でおよそ5,000台程度しか普及しておらず、またインド政府は2024年中に1万台、2027年までに5万台に到達することを目指している。

インドでは交通インフラ自体が未整備な土地が多く、当然通常のEV車のために必要となる充電設備などのインフラも乏しく、EV車普及の上で課題になる。しかしEVバスは決まった道路を走るためEVインフラの整備がしやすい。つまり、インドにおいてEVバス事業はEV車と比べても需要とインフラ整備の観点からハードルが低いと言える。ここに現時点から投資し市場参入する三井物産の判断は素晴らしい。

競合はいるものの・・

インドには、すでにEVバスビジネスを先行している企業、GreenCell Mobility社がある。

GreenCell Mobility社はEVバスを用いてインド25都市間をEVバスで繋げる“NueGo”というe-MaaS(サービスとしての電動モビリティ)を提供開始しており、評判は上々だ。しかし先述した通り、インドのEVバス需要は旺盛でありGreenCell Mobility社のみで満たせるものではない。

インドにおいて長年の製造実績のあるPinnacle Industries社、すでにEVバスを開発・製造するVDLグループの技術、そこに三井物産社の資金を加えたEKA MobilityはインドのEVバス市場で成功できるのか、市場の注目が集まる。

文・はっさく(@hassakumacro)

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