米ペット市場活況、ケアアプリやウェアラブル機器で健康管理
Techable / 2024年4月29日 12時0分
アメリカでペット関連支出が伸びている。米国労働統計局の調査では、2013年のペット関連支出は578億ドルだったが、2021年には大台を突破して1028億ドルを記録。この数字は、同年のアルコールへの支出(738億ドル)や女性の衣料品への支出(879億ドル)より多い。
同国では特に犬の人気が高く、飼育している世帯は4900万世帯にも上る。ほかのどの動物よりも多く、2位の猫(2820万世帯)を大きく引き離している(参考)。
さらに言えば、アメリカの全世帯数は約1億3000万なので、10世帯につき3世帯以上が犬を飼っている計算だ。この数字は日本と比べてもかなり高い。2021年、日本における世帯数は約5191万で、約600万匹の犬が登録されていた。1世帯に1匹と仮定しても、愛犬がいるのは10世帯に1世帯程度にすぎない。
さて、アメリカでの“犬人気”を踏まえたうえで、関連するテックサービスのトレンドをみていこう。
犬を飼うとなると散歩や食事などの世話が欠かせないが、家族間で「散歩に行ったかどうか」や「食事をあげたかどうか」などその都度の情報共有を確実に行う必要がある。また排尿・排便や投薬、ときにはワクチン接種などについても記録し、健康管理もしっかり行いたいところだろう。こうした情報共有や健康管理を日常でシンプルに行えるDogLogというアプリがある。
愛犬の健康・食事・散歩などを記録できる「DogLog」DogLogは、2017年にLynn Marks氏と彼女の父親であるGideon Marks氏、彼女のきょうだいであるRon Marks氏によって設立された家族経営のスタートアップだ。
以前、彼女らは犬を飼っていて、愛犬に関する情報を共有するのに付箋やテキストメッセージを使っていた。愛犬が長時間散歩に出られなかったり、食事を2回あげてしまったりといった事態を防ぐためだ。そして、このような情報共有をもっと簡単にすべく、ペットケアアプリのDogLogを開発した。
DogLogは、食事や散歩など日々の世話から始まり、排尿や排便、体温や睡眠、そして投薬や歯磨きに至るまで、さまざまな記録をつけることができる。「食事」の記録ひとつ取っても、「通常の食事」「おやつ」「水」と細かく分かれている。
デフォルトではないタスク(例:爪切りといったもの)を自分で追加できる柔軟性も見逃せない。食事や散歩、動物病院に行くスケジュールなど、リマインダーも設定可能だ。
そして何より、家族などにアクセス権を与えれば、情報をリアルタイムで共有できるのだ。これで、散歩に行きそこねたり、食事をあげすぎたりといった事態を避けることができる。
家族以外への情報共有も簡単に行えるので、ペットシッターに愛犬の世話を任せたい場合も、食事・散歩・投薬などの申し送りに時間を取られることもない。
基本的な機能は無料。有料会員になるとワクチン接種や血糖値の記録などもつけられるようになるほか、データをエクスポートして獣医にも簡単にシェアできるという。
また、DogLogは利便性を提供するだけではなく、愛犬との日常を思い出深いものにもしてくれる。SNSのように、愛犬の写真をアップしたり、コメントをしたりする機能も備えているのだ。
便利なだけでなく、愛犬との生活に潤いも与えてくれるDogLogは、2024年現在ダウンロード数が13万件を超えている。
ウェアラブル機器でさらにユーザーを増やせるかDogLogはダウンロード数が13万回を超えたとは言え、犬を飼っている世帯数(4900万)を考えると、今後さらに伸びしろはありそうだ。家族間で愛犬の情報を共有するなら、なおさらである(家族のメンバーが各自のスマートフォンにアプリをダウンロードする必要があるため)。
そこで鍵になりそうなのが、ペット用ウェアラブル機器だ。DogLogは愛犬に関するさまざまな記録をつけられるものの、すべて手入力。人間がスマートウォッチで一日の心拍数や歩行距離などを自動的に記録できるのとは勝手が違う。入力を間違えたり、忘れてしまったりすることもあるだろう。
もしウェアラブル機器で自動的に記録できる項目が増えれば、さらに多くの新規ユーザーを取り込める可能性があるかもしれない。
ペット用ウェアラブル機器は、すでに製品になっているものもある。たとえばアメリカのBarking Labs社は「スマート首輪」を販売。アプリと連動して、歩数や睡眠を自動的に記録してくれるという。
日本でも「PetVoice」という首輪型の機器があり、愛犬に着用させれば食事回数、水飲み回数、トイレの回数に始まり、活動量、安静時呼吸数に至るまで見守ってくれる。
さらに、愛犬の「心」をモニタリングする「イヌパシー」なる製品まである。心拍リズムと犬の気持ちを関連付けて分析するアルゴリズムは、日米で特許取得済みだ。
こうしたペット用ウェアラブル機器の市場は、今後も拡大が見込まれている。Grand View Researchの調査報告によると、市場規模は2023年(27億ドル)から2030年まで年平均14.3%で成長する見込みだ。
DogLogに話を戻すと、CEOのLynn氏は、みずからレビューやメールなどへの返信も担当している。実際、Google Playのレビューには、同氏の名前入りの返信がいくつも見られる。まさに「顧客の声を聴いている」姿勢がみてとれるのだ。
活況のペット市場、トレンドアプリの行く末に今後も期待したい。
参考・引用元:DogLog
(文・里しんご)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
犬を飼育する世帯数は、猫を飼育する世帯数の2倍!?ペットに関するアンケート調査を行いました
PR TIMES / 2024年7月10日 10時45分
-
ベルシステム24、気圧予報に基づく体調管理アプリ「頭痛ーる」にて獣医師監修のペット向け新機能を実装
PR TIMES / 2024年7月8日 14時45分
-
交通事故で入院「愛犬の世話はどうする?」 ペットを預けた費用は賠償の対象か【弁護士が解説】
まいどなニュース / 2024年7月7日 8時32分
-
「首輪つけ、わき腹を蹴る」という愛犬しつけ法…「訓練なのか、虐待なのか」韓国で激しい論争
KOREA WAVE / 2024年7月7日 7時0分
-
3位トイ・プードル、2位MIX犬…一番飼われている犬種ランキング1位は?「外見が好き」「性格が好き」
まいどなニュース / 2024年6月24日 20時0分
ランキング
-
1「マジかw」「すごいことなってる」 お笑い芸人が米オーディション番組で日本人初快挙を遂げる
ねとらぼ / 2024年7月17日 16時9分
-
2「笑み男」の正体はあの名作ADV!35年ぶりのシリーズ完全新作『ファミコン探偵倶楽部 笑み男』8月29日発売決定
インサイド / 2024年7月17日 22時41分
-
3グーグル「Chrome」深刻度“高”の脆弱性10件に対応するアップデート
ASCII.jp / 2024年7月17日 13時0分
-
4「酔っていました」 MLBオールスターの国歌斉唱に「ひどい」と批判 歌手が謝罪
ねとらぼ / 2024年7月17日 10時5分
-
5「絶対みんなでやりたかった」 30年ぶりの新作「らんま1/2」“異例の声優続投”に大きな反響 林原めぐみ「業界でも奇跡」
ねとらぼ / 2024年7月17日 19時34分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)