まずはインドでサービスをローンチした南アMindZu社のエドテック市場アプローチ
Techable / 2024年6月11日 12時0分
TechableではこれまでにナイジェリアのuLessonや南アフリカのFoondaMateなど、アフリカのEdTechスタートアップを紹介してきた。アフリカビジネスパートナーズによる寄稿記事にもあるとおり、若者の人口が増加しているアフリカ大陸では「教育×テクノロジー」の分野に注目が集まっている。
uLessonもFoondaMateもアフリカの教育格差解消を目指し、低価格で誰でもアクセスできる教育アプリを展開している。同様のEdTechスタートアップが現地で活況だが、南アフリカのケープタウンに拠点を置きつつ、まずはインドでアプリをローンチしたユニークなスタートアップがある。その名もMindZu(商号が「MindZu」、正式名称はAngaza Ltd)だ。
MindZu社は、「独学のディズニー」を目指して2019年に設立されたeラーニングプロバイダー。主に発展途上国の学習者を対象に教育コンテンツを提供する。
アニメとゲームで学習のモチベーションアップMindZuが展開するアプリMegaMathは中学校と高校の数学をカバーするもの。オリジナルのファンタジー世界でカラフルなキャラクターが冒険を繰り広げるコンテンツだ。ユーザーは、「悪者にさらわれた友達を救出する」ことを目指してゲームを進めることで楽しみながら学習できる。ユーザー没頭させ、独学のモチベーションを高める設計が特徴だ。
同アプリは“革新的な教育コンテンツ”としてユーザーに認識され、2020 Global EdTech Startup Awards (GESAwards)でファイナリストになるなど、ユニークなアプローチが高評価を受けた。
ただし、残念ながらMindZu社のアプリは現在休止中の様子である。再開について問い合わせたところ、同社から明確な回答は得られなかったものの、同社公式サイトトップでは「アプリは間もなく再び利用可能になるので、それまではYouTubeチャンネルでアニメーション動画を楽しんでほしい」という情報がまもなく更新された。ちなみに同社YouTubeチャンネルでは、三角法や統計などを扱うヒンディー語と英語の動画を300本以上視聴可能だ。
南ア企業がインドでサービスローンチの理由MindZuは、Godfrey Parkin氏とKaren Parkin氏、Khalaf Rashid氏、Kwang Lee氏の4人によって2019年に設立されたEdTechスタートアップ。数十年にわたって教育やエンジニアリング、クリエイティブ、商業の分野でそれぞれリーダーシップを発揮してきた共同設立者たちは、教育への情熱とオンライン学習の可能性を引き出すことへの情熱を共有している。
上述のとおり、南アフリカのケープタウンを拠点とするMindZuが数学学習アプリMegaMathを最初に立ち上げた場所はインドだった。潜在市場が大きく、教育ソリューションに対する需要の伸びが見込まれ、先進的な教育技術を提供するには魅力的な市場だったからだ。
南アフリカではなくインドでのローンチについて、CEOのGodfrey Parkin氏はGoodThingsGuyのインタビューで「低価格設定を徹底したことで利益は非常に薄い。そのため、確実に需要のボリュームポテンシャルのある市場に投入する必要があった」と回答している。世界一の人口を抱えるインドでは、モバイル教育を受け入れる巨大な市場がすでに存在するのだ。
なお2019年のこのインタビューの時点では、スポンサーやビジネスパートナーの協力を得てインドに次ぎアフリカでもサービス展開予定だと語っていた。MindZuは株式非公開のブートストラップ企業だが、プレシードSAFEラウンドで資金調達中との情報もある。また、2022年の投資家向け資料では、アメリカでのサービスローンチや多言語展開、AI学習管理システム開発などを目標に掲げていることがうかがえる。
「最も恵まれない環境にある人にもアクセスできる数学教育」を提供することでアフリカの教育格差解消に貢献しているMindZu社。平等に高等教育の機会を得られることによって人々が経済的な階級から解放されれば、将来の職業選択の自由にもつながる。エドテック各社が市場のシェア獲得に挑むなか、同社のアプリ運営再開も楽しみに待たれるところだ。
引用元:MindZu
(文・Mickey Ohtsuki)
危険と言われる南ア・ヨハネスブルグを拠点にアフリカ南部を飛び回って帰国後、199x年代から産業翻訳のフリーランスを始め、2000年からテクニカルライター/Webライター業も開始。世界各地のスタートアップには、ちっぽけな探求者たちが巨大な既存勢力と戦うロマンがある。『なんでも評点』筆者。
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