バッグに入れて持ち運び可能、折りたたみ式電動スケートボード「Linky 2.0」
Techable / 2024年5月25日 18時0分
日本では、電動なしだろうとスケボーで公道を走ることはできないが、海外では電動スケートボードが移動手段として人気のようだ。従来のスケートボードよりもスピードが速く、コントロールしやすいため、オーストラリアやアメリカヨーロッパなどではスケートスポーツの代替品として人気がある。
Future Market Insightsのデータによると、電動スケートボードの世界市場は2023年には20億6,120万米ドルに達し、2033年には36億9,140万米ドルに達する見込みとか。今後もCAGR6%での成長が予測されている。
折り畳んでバッグに収まるLinky 2.0数多ある電動スケートボード製品のうち、今回紹介する「Linky 2.0」はちょっと珍しいタイプの製品だ。折り畳み可能なため、乗らない時にはバッグに入れて持ち運びができるのだ。クラウドファンディングサイトKickstarterにて実施されたプロジェクトでは、1700万円以上の資金を調達した。
電動スケートボードの機能はそのままに、折り畳んでバッグにすっぽり収まるLinky 2.0は、5.8kgという超軽量を実現。バックパックに収納すれば車や飛行機、バス、電車などにも持ち込むことができ、旅先や移動先で広げて使えるというわけだ。
日々の通勤はもちろんショッピングやレジャーなど、都会でも大自然の中でも重宝するだろう。また、スケーターでなくとも、ネットで乗り方を学べば誰でも簡単にコツをつかむことができるという。
開発はイタリアの古都を拠点とするスタートアップLinky 2.0を開発したのはイタリア中央部の小さな自治体ファレローネで誕生したLinky Innovation。2016年、パオロさんとクリスチアーノさんを中心に、当時30代前半だった5人の創業者によって設立された。
2014年の夏、「旅行に行きたい」という思いと、日々の通勤のために持ち運び可能な乗り物の必要性を感じたのが開発のきっかけだった。翌年の秋にはLinkyの軸となるアイデアとチームがまとまって、木製のプロトタイプ製作に取りかかり、サイズや走行性、携帯性の検証や評価に乗り出したという。
しかし、マーケティングやクラウドファンディングの経験不足が原因で、初代の折り畳み式電動スケートボードのキャンペーンは目標金額を達成することができず、成功しなかった。
その教訓を活かしてマーケティングを学び、Linkyの生産にこぎつけるための資金を調達。折り畳み可能という効率性と耐久性がユーザーに評価され、「Linky 1.0」で成功を収めることができたそうだ。
Linky 1.0から2.0への進化1.0からLinky 2.0へとさらなる進化を遂げるべく、研究開発チームは約4年の歳月を費やしてきた。Linky 1.0ユーザーからのフィードバックを受け、折り畳みできる最大の特徴はそのままに、自家用車の代わりに使用できる本物の“乗り物”を提供することを目指した。Linky 2.0は、外観に大きな変化はないものの、技術的またUX的観点からは飛躍的にアップデートされている。
Linky 2.0は街中のあらゆる環境に対応するため、以前の83ミリホイールより軽量な全地形対応の105ミリホイールに変更。安定性を高めながら80グラムの軽量化に成功した。
性能を上げるためにパワートレインシステムを全面的に見直し、従来のシングルモーターからデュアルドライブに変更。バッテリーの電圧を26Vから36Vに上げるなどしてシステムを効率化した結果、1回の充電での航続距離が25%伸び、バッテリー重量は約10%の軽量化を実現した。
最高速度は時速28キロから42キロへと大きく上昇させつつ、衝撃に対する耐性を高め、ブレーキと加速性能を安定させた。リモコンや専用アプリの利便性も改善されている。
また、環境とコミュニティへの配慮から製造工程を見直し、自国イタリアでの部品調達にシフト。Linky 1.0ではすべての部品を中国から調達していたが、Linky 2.0では部品の80%がイタリア製。ボード部分にはヨーロッパの木材とバイオプラスチックという持続可能な素材を使用し、ゼロエミッションを目指しているそうだ。
日本ではスケートボードは公道を走行できないが、2023年4月には自動配送ロボットが公道を走れるようになったし、同年7月には電動キックボードの規制緩和が行われている。Linkyが移動手段として日本でも使用できる日も、いつか訪れるのかもしれない。
引用元:
Linky Innovation
Kickstarter
(文・根岸志乃)
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