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土作りや収穫、作物の配送も。“モジュール式”の自律型農業用ロボット「Amiga」

Techable / 2024年7月9日 15時0分

「自律型農業用ロボット」といえば、大規模農園で運用するものとイメージされがちかもしれない。実際には、中小規模の農園も自律型ロボットの導入を強く望んでいるだろう。

だが、それらの多くはまだまだ大型で、しかも高コスト。第二種兼業農家(副業農家)が気軽に導入できるものではない。そうした事情を抱える農家にとっては、米カリフォルニア州のスタートアップfarm-ngの開発した「Amiga」が強い味方となりえる。これは、あらゆる用途に適合することができる小型農業用ロボット。ハード、ソフト共に自在なカスタマイズができる製品だ。

何でもこなせるモジュール式ロボット

耕作、収穫、施肥、農薬散布、除草、運搬。農業という仕事はさまざまな作業をこなさなければならない。たとえば、それぞれの役割に特化した自律型ロボットというものは小規模農家にとっては現実的な選択肢だろうか。そうではなく、外装部品の付け替えであらゆる用途に投入できるロボットを作ったほうがより現実的ではないか。

AmigaはクラウドベースのAIを活用し、農地内での自動走行を実施できる農業ロボット。遠隔操作にも対応する。しかし、Amigaの最大の持ち味は「モジュール式」という点だろう。走行に最低限必要な部品だけの状態を見れば、重量113kgの「ただの四輪電動車」である。しかし、これにはあらゆるアタッチメントを装着することができる。

ダンプボックス、計量シードドラム、堆肥散布機、カメラ、GPS装置、リフトアームなど、用途ごとのアタッチメントが用意されている。それらを全て揃える必要はないが、逆に全てのアタッチメントを用意してさまざまな作業を1台でこなすという考え方もできるかもしれない。

ソフトウェアもカスタマイズ可

以下の動画では、Amigaの活躍ぶりを確認できる。
畑の畝(うね)の幅に合わせてAmiga本体の幅を変えることが可能で、AIによる自律走行に頼らずとも車体に座席を搭載して自分で運転する方法も用意されている。大規模農園から面積の小さいビニールハウスまで、あらゆる場面にAmigaが投入されている。

あるいは、畑にこだわらず舗装道路での運搬作業に回しても構わない。動画内には、どちらかと言えば農業ではなく土木工事か建設現場と思われる場面も出てくるが、そこでもAmigaが活用されている。

以上は車両のカスタマイズの話だが、Amigaはソフトウェアのカスタマイズも可能としている。Amigaを制御するソフトウェア「farm-ng OS」のAPIはオープン、そしてアプリのカスタマイズをノーコードで実施できる特徴を有している。

そんなAmigaの車両価格は、基本セットだけなら1万2,990ドル。そこから仮に座席(354ドル)とダンプボックス(2,378ドル)を追加して小型ダンプカーに改造した場合、かかる費用は1万5,722ドル。日本円換算で約250万円である。

1,000万ドルの資金調達に成功

そんなfarm-ngは今年1月、シリーズA投資ラウンドで1,000万ドルの資金調達に成功した。ラウンドを主導したのはAcre Venture Partnersで、この企業は食料分野に従事するスタートアップへの投資に特化していることでも知られている。

AgFunderNewsの記事によると、この時点でfarm-ngは100台以上のAmigaを農家に対して納入しているという。この100台は、もちろん全てが同じ作業のために投入されているわけではないはずだ。それぞれの作業に適した改造が施され、さまざまな条件の場所で稼働しているのだろう。

AIを駆使した自律走行ができる小型農業用ロボットとして、そしてあらゆる使用場面を想定できる汎用車両として、日本でもAmigaが普及する日が来るのだろうか。

参考・引用元:
farm-ng
AgFunderNews

(文・澤田 真一)

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