半導体非破壊検査のオランダ・Nearfield InstrumentsがCラウンド資金調達
Techable / 2024年7月30日 20時0分
2022年頃までは深刻だった半導体不足が、昨年から徐々に解消に向かっている。「2024年問題」(供給過剰)が懸念されていた今年は、場回復への転換期となりそうだ。今後は需要と供給がともに増加する好循環が期待され、2025年にはさらに力強い回復が見込まれる。
Grand View Researchによると、世界の半導体市場は2024年から2030年にかけて年平均7.9%で成長し、2030年には1752億ドルに達する見込みだ。一方で、半導体の製造プロセスには課題も残っている。微細な構造をもつ半導体チップには精度の高い検査が求められるが、従来の技術ではナノスケールの欠陥や異常を見逃す可能性がある。
そこで注目を集めているのが、オランダの研究機関から誕生したスタートアップNearfield Instrumentsによる半導体製造向けの計測技術だ。
オランダの研究所から誕生したスタートアップNearfield Instrumentsはオランダ応用科学研究機構(TNO)から派生した企業だ。TNOは科学技術の応用研究を行っており、その一部として半導体の検査技術を開発していた。こうした技術を商業化するため、2016年にNearfield Instrumentsが設立された。オランダ第二の都市ロッテルダムに本社を構え、韓国・華城市にも2021年に設置した開発拠点を有する。
7月18日には、シリーズCにて1億3500万ユーロの資金調達を発表。複数の著名な投資家の主導によるラウンドで、Nearfield Instrumentsの将来性と技術力の高さが評価された。今回の資金調達は欧米の半導体製造装置市場において過去5年間で2番目に大きな規模とされている。
同社共同設立者兼CEOであるHamed Sadeghian博士は、「今後10年間における計測・検査需要の増大に対応できる体制を整えている。(中略)半導体装置業界における重要なプレーヤーとしての地位を強化する」とコメントした。
最先端「非破壊」検査で半導体内部を測定、問題を早期発見Nearfield Instrumentsの検査装置には、QUADRAとAUDIRAという2つの主力製品がある。
AUDIRAは、半導体の内部構造を壊さずに検査する装置で、いわゆる「非破壊」検査を行うもの。X線検査や超音波検査のように、内部をスキャンして欠陥や故障部位を特定することができる。
一方のQUADRAは、半導体の「表面」を高い精度で測定する外観検査装置である。光を使ってチップの表面をスキャンし、非常に小さな欠陥や異常を見つけることが可能だ。7月9日に発表したリリースによると、従来のシステムと比べて画像処理速度は160倍以上を誇るという。
公式ホームページによると、Nearfield Instrumentsの技術は半導体製造の現場で大量処理と高精度を両立している。工場の製品検査ラインが高速で動きながらも、細かい部分まで見逃さずにチェックしているようなものだ。半導体製造における品質向上と同時に製造過程での無駄を省けるため、環境負荷の軽減にも繋がる。
また、同社では従業員の多様性も重視。20以上の国や地域を出身とする国際色豊かな職場では、仕事を楽しむ姿勢とオープンな姿勢、大胆さと行動力がバリューとされている。急成長を続けるNearfield Instrumentsは、現在もエンジニアをはじめ各種ポジションでの人員増強中だ。
引用元:
PR Newswire
Nearfield Instruments
(文・Ryohei Umeta)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「最後のフロンティア周波数」テラヘルツ技術が高速通信と非破壊検査を変革する ~特許とスタートアップ企業からその社会的役割を分析~
PR TIMES / 2024年11月21日 14時45分
-
「第65回電池討論会」出展・講演に関するお知らせ/電池の発火を未然に防ぐ世界初「インライン全数検査用 電池非破壊画像診断システム」
PR TIMES / 2024年11月18日 16時45分
-
メルク、ユニティSCを買収完了 半導体業界向けにオプトロニクス製品提供を強化
PR TIMES / 2024年11月15日 17時40分
-
日立ハイテクと東京大学が半導体分野における高分解能Laser-PEEMの実用化に向けた共同研究を推進
PR TIMES / 2024年11月10日 21時40分
-
<展示会出展のお知らせ>ZEISS、「日本ダイカスト会議・展示会2024」に出展 大型アルミダイカストの高精度非破壊検査ソリューションを紹介
@Press / 2024年11月8日 10時30分
ランキング
-
1相鉄かしわ台駅、地元民は知っている「2つの顔」 東口はホームから300m以上ある通路の先に駅舎
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 6時30分
-
2「築浅のマイホームの床が突然抜け落ちた」間違った断熱で壁内と床下をボロボロに腐らせた驚きの正体
プレジデントオンライン / 2024年11月22日 17時15分
-
3三菱UFJ銀行の貸金庫から十数億円抜き取り、管理職だった行員を懲戒解雇…60人分の資産から
読売新聞 / 2024年11月22日 17時55分
-
4ジャパネット2代目に聞く「地方企業の生きる道」 通販に次ぐ柱としてスポーツ・地域創生に注力
東洋経済オンライン / 2024年11月22日 8時0分
-
5会社員が考える“テレワークのデメリット” 「会話不足」「公私の切り替えが曖昧」を超えた1位は?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月22日 7時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください