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“折り畳み”構造の浮体式洋上風力タービンで、発電コスト・スペースを削減|米Aikido、400万ドル獲得

Techable / 2024年7月31日 12時0分

風力発電に必要不可欠な風車。これを地上で運用する際は「風が安定して吹いている」「風邪を遮る障害物がない」といった条件をクリアする必要があり、国によっては適切な土地が限られてしまい、広範囲の設置が難しいというケースもある。

ならば、それを海上に浮かべてしまおう。そのような発想で近年開発が盛んになっているのが「浮体式風力発電」である。アメリカ・サンフランシスコに拠点を置くAikido Technologies(以下、Aikido)は曳航が可能な風車を開発し、注目を集めているようだ。

クレーン船いらずの海上浮体式風車

Aikido が開発するのは「組み立て構造」の浮体式風力タービンと、浮体式風力タービンを水平に輸送できる半潜水型プラットフォームだ。同社のタービンは海上に浮かべることを前提にしているうえ、移動時は折り畳める。船を使った曳航も、この構造のおかげで容易になるという。

組み立て構造を採用する利点は他にもある。折り畳める設計により、造船所や港湾施設での占有スペースを2/3削減することが可能。風車のプロペラを取り付けるためにクレーン船を導入する必要はなく、それだけコストも削減されるだろう。

上の動画を見ると、海上にありながら風車を寝かせられるからこそ、橋の下を通過できることが分かる。これが起立している状態では、橋をどうにか迂回するしかないだろう。

メキシコ湾で実証実験

Aikidoは、ビル・ゲイツ氏が立ち上げた気候変動イノベーション財団Breakthrough Energyのフォローシッププログラムに選出されて以来、世界中の投資家の目に留まるようになったという。

今年4月にはエネルギー関連会社のChet Morrison Contractorsとの開発・製造提携を締結。まずは出力100kWのミニチュア版プロトタイプを製造し、実証実験を今年中に行うとしている(プレスリリース)。

ちなみに、実証実験を行う場所はメキシコ湾。ここはハリケーンが発生するエリアとしても知られている。浮体式発電装置は、果たしてハリケーンや台風を乗り越えられるのか。そうしたことも含めて注目する価値はあるだろう。

シードラウンド400万ドル

そうした計画を見越して、各国のベンチャーキャピタルが立ち上がった。今年6月、AikidoはAzolla Ventures主導のシードラウンドで400万ドルの資金を得ることに成功した。Propeller Ventures、Sabanci Climate Ventures、Cisco Foundation、Anthropocene Venturesなどがこれに加わっている(プレスリリース)。

AikidoのCEOであるSam Kanner氏は、以下のように述べている。

「米国、英国、その他のヨーロッパ及びアジア諸国を含む洋上風力発電の先進国が設定した脱炭素化目標を達成するには、浮体式風力発電を10年後までに商業化する必要があります。当社の技術は、コスト削減、物流の簡素化、浮体式風力発電システムの確立において大きな変化をもたらすものと考えています」

また、今回の投資企業であるPropeller VenturesのReece Pacheco氏はこのようなコメントを出している。

「私たちは、Aikidoにとってのチャンスに興奮しています。Aikidoのチームは優秀です。風力発電市場は巨大で、それ故にタイミングが重要。Aikidoの技術は、業界が直面している最も重要な課題、すなわちコスト効率、時間的制約、スペース効率に優れた方法で巨大な構造物を建設する方法を解決します」

折り畳める巨大風力発電装置が、やがては我々人類にとって常識的な光景の一部になるかもしれない。

参考・引用元:
Aikido
Morrison

(文・澤田 真一)

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