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月経管理アプリのFlo Health、シリーズC資金調達で欧州フェムテック初のユニコーンに

Techable / 2024年8月13日 16時30分

AmazonのCTOであるWerner Vogels氏によって、生成AIと並ぶ2024年の注目分野と予測されたフェムテック。これまで資金調達が困難だった分野だが、7月にはヨーロッパのフェムテックとして初めてのユニコーン企業が誕生した。

Flo Health、欧州フェムテックとして初のユニコーンに

月経管理アプリ「Flo」を運営するイギリスのFlo HealthがシリーズCラウンドで2億ドル以上を調達し、評価額が10億ドルを超えたことを7月30日に発表したのだ。

今回のFlo Healthユニコーン入りはフェムテック分野での大きな節目となったが、同社の設立者が全員男性であることから「この分野でさえ、男性の方が成功しやすい状況があるのでは」といった指摘がなされ、議論も起きている。

月経管理・妊活・妊婦用の3つのモード

120人以上の医師と専門家が開発に携わったというFloは一般に「月経管理アプリ」とされるが、実際には月経トラッキング、妊活、妊婦用の3つのモードで使用可能だ。

月経管理アプリとしては、正確な月経周期や身体に起こり得る70以上の症状を追跡およびモニタリング。妊娠を望むユーザーに対しては、そこから得た情報に基づきさまざまなアドバイスを提供。カレンダーやアシスタントの機能を使って妊活に利用できる。妊婦向けの「妊娠モード」では週ごとに胎児の成長トラッキングや産婦人科の予約リマインダーなどでサポートを行う。

専用チャットスペース「Secret Chats」では、ほかのFloユーザーと交流できるSNS的側面も。匿名で会話に参加できる安全な環境で身体の悩みを打ち明けるなど、ユーザー同士の相互支援が可能だ。

さらに、2023年に新しくリリースされた機能「Flo for Partners」により、情報をパートナーとシェアすることも可能。科学的な根拠に基づく女性の身体情報をわかりやすく説明することで、パートナーの理解を促す仕組みだ。画像や動画、クイズなどを通じて学習できるという。

医療関係者とも連携、性に関する正確な情報を提供

また、Flo公式サイトには「For Clinicians」(医療関係者用)ページも設けられている。医師を含め医療関係者にとって、限られた診察時間では患者に正しい情報を提供するのが難しいという状況があるのだが、Floの利用を勧めることで次の診察までのフォローが可能だとしている。

「リプロダクティブヘルスに関する誤った情報は、数え切れないほど多くの女性の健康を害している」として、患者の知識不足を示すデータをまとめている。

これによると93%の人が「月経の全過程を正確に把握できない」、63%の人が「“普通”の月経周期とは何かを知らない」とのこと。また、アメリカの18歳から24歳までの女性のうち、約6割は月経についての情報をSNSから取得しているという。

しかし、ネットの情報は玉石混交だ。不正確な情報に惑わされる人が後を絶たない中、5000件以上のエビデンスに基づく情報をフル活用し、リプロダクティブヘルスおよび性に関する正しい健康教育を施すという。

また、Floは「Health Library」で多数の記事を掲載。月経周期や妊活、LGBTQ+などのさまざまなトピックについて正確な情報発信を行っている。

個人情報漏洩に関する疑惑、カナダでは集団訴訟が進行中

「世界中で3億8000万人が利用している」という自社アプリが多数のユーザーに選ばれる理由として「正確な予測」と「医学的信頼性」、「プライバシー」の3つを挙げるFlo Health。しかし、過去にはユーザーの個人情報の漏洩について報道・指摘されたことがある。

2019年2月にウォールストリートジャーナルが「 ユーザーはセンシティブな個人情報をアプリに提供。そしてアプリはそれをFacebookに伝える」と題した記事を公開した。ユーザーの許可なく個人情報を漏洩しているとされた「人気アプリ11種」に、ClueやFloなどの月経管理アプリが含まれていたのだ。

この報道を受けてFTC (アメリカ連邦取引委員会)が捜査を開始、2021年1月にFloに問題を指摘。「情報開示をユーザーに通知すること」、「情報を渡した第三者に対して、その情報の破棄を指示すること」、「個人情報の収集に関して、ユーザーに虚偽の報告をしない」などの条件で和解が確定している。

ただしこの時、Flo Health側は許可のない漏洩を認めていない。リリースでは「当社はいかなる不正行為も行っていません。今回の和解は、訴訟にかかる時間と費用を回避し、この問題を過去のものとして決別するためのものです」とした。Floにとっては過ぎたことでもユーザーにとってはそうではないようで、カナダでは今年3月にFloに対する集団訴訟が進行を許可されている。

今後は新興国でのユーザー数増加目指すFlo、日本語サイトも

Flo Healthは、7月のシリーズCラウンド完了とあわせて、成長株投資企業General Atlanticとの連携を発表した。

2024年6月時点で約7000万人の月間アクティブユーザーと約500万人の有料会員を抱えるというFlo Health。共同設立者兼CEOのDmitry Gurski氏は、グローバルな向社会的プログラムを通して10億人の女性にリーチすることを目指すとコメント。

このプログラムは、インドやインドネシア、ナイジェリアなど66ヵ国でFloプレミアムの無料アクセスを提供するもの。これらの新興国でもすでに1200万人近い女性が恩恵を受けているという。

なお、Floの日本語版公式サイトも用意されている。8月13日時点ではトップから「プライバシーとセキュリティについての詳細」に飛ぶと英語表記になる状態。日本語の情報量はまだ足りない印象だが、今後Floが日本への本格進出に着手する可能性は十分に考えられる。

参考:Flo Health

(文・澤田 真一)

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