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スイスJEKTA、水陸両用航空機への“燃料電池”搭載でZeroAviaと提携|航続距離・積載量の増加に期待

Techable / 2024年8月15日 12時30分

水素を使用して電気・熱を発生させる「燃料電池」は、次世代のクリーンなエネルギーとして近年注目を集めている。

商用車や船舶、鉄道などあらゆる分野で実用化が進んでおり、最近ではトヨタの欧州部門がコカ・コーラ、エア・リキードらと提携し、水素燃料電池を搭載した長距離トラックの試験運用を開始したという。

燃料電池市場のさらなる拡大が見込まれるなか、スイス拠点の水陸両用航空機メーカーであるJEKTAは今年7月、英国・米国を拠点に航空機向け水素燃料電池エンジンを開発・製造するZeroAviaとの提携を発表した。

JEKTAが開発を進める水陸両用航空機「PHA-ZE 100」の派生モデルとなる“燃料電池コンセプト”の航空機にZeroAviaの燃料電池発電システム技術を採用し、実証する方針だ。

JEKTAの水陸両用航空機「PHA-ZE 100」

2021年に設立されたJEKTAは、電気駆動の水陸両用航空機を開発するスタートアップ。航空専門家、経験豊富な技術者、国際ビジネスに精通した幹部で構成されている。

同社が開発中のPHA-ZE 100は、ゼロエミッションを謳う水陸両用航空機。バッテリーまたは水素燃料電池からエネルギーを供給される電気モーターを動力源とし、バッテリー駆動による初期飛行耐久時間は1時間、予備飛行時間は30分を見込んでいる。

飛行だけでなく、沿岸水域や水路での運行も可能で、高さ1.2メートルまでの波に耐えうる。滑走路を走行する際は、標準の格納式車輪付き着陸装置を使用する。

JEKTAは航続距離と積載量を増やすあらゆる可能性を模索するなかで、ZeroAviaの燃料電池発電システムの採用に至ったという。

燃料電池の搭載で航続距離・積載量の増加へ

ZeroAviaの燃料電池を搭載したPHA-ZE 100は、航続距離が最大500kmまたは600km、積載量が最大1トンに増加し、機体の能力がさらに向上すると予想されている。より長いルートを運航するオペレーターにとって大きな助けとなるだろう。

また、最大20,000時間の寿命を実現する水素燃料システムによって、運用・保守のコストを削減できるのもポイント。今後JEKTAとZeroAviaは緊密な協力を通じて、インバーター、その他の電子部品、水素タンクなどを含む統合型の燃料電池発電システムを開発し、認証を取得する予定だ。

19人乗りのテストベッド航空機で試験飛行を実施

2017年設立のZeroAviaは、さまざまな市場に対応するべく水素電気推進・燃料供給ソリューションに注力している。2025年末までに9~19席の航空機で300マイルの航続距離、2027年までに40~80席の航空機で最大700マイルの航続距離の達成を目標に掲げている。

ZeroAviaはすでに、 水素電気エンジン「ZA600」のプロトタイプを19人乗りのテストベッド航空機に搭載した試験飛行を実施済みだ。今年4月のリリースでは、最大20席の航空機に向けたZA600の認証作業が進行中であると明かした。

現在、ZeroAviaは世界的な水素インフラプロジェクトにも関与しており、約20の空港と提携して、ルートの採用をサポートするのに必要な運営コンセプトと水素燃料補給エコシステムを模索中。また、オンサイト水素生成用の電解槽、水素パイプライン技術、空港環境での航空機燃料補給装置のテストも先駆的に行っている。

JEKTAのCEOであるGeorge Alafinov氏は、これらを効率的な地域水陸両用航空ネットワークをサポートする重要なコンポーネントと見ているという。今後PHA-ZE 100への燃料電池発電システムの最適な設置と、オペレーター顧客とのインフラ開発の検討といった両面でZeroAviaと緊密に協力する意向を示している。

参考・引用元:
ZeroAvia NEWS
ZeroAvia
JEKTA

(文・Haruka Isobe)

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