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インド発・深度300mの潜水に対応可能の無人潜水艇開発スタートアップEyeROVが資金調達

Techable / 2024年8月28日 8時0分

水中ドローンや遠隔操作ボートなど、水場で活用するテック製品の開発が世界各国で進められている。

それまでは訓練を受けた潜水士でしか調査できなかった海底や転覆した船舶などを、ROV(小型無人潜水艇)が調査することにより、コストを削減できると同時に二次災害の発生を防止することも可能になった。

こうした水中向けの次世代テクノロジーを開発する企業が続々と登場する中、インド・コチに本社を置くEyeROVは、様々な用途で使えるROVや海洋ロボットを開発している。同社のプロダクトはインドの「平等な経済発展」に大きく寄与するという。

ダムの水路トンネルゲートの点検に活用

以下はあくまでも一例だが、ダムのメンテナンスにはROVが欠かせない。貯水の上の部分はともかく、貯水の下となると潜水士を潜らせても要補修部分が見えない可能性があるからだ。

しかも、ダムの貯水は時として深度100mに達することもある。そこまで潜ることができる潜水士は、なかなかいないだろう。そこでROVの出番である。

EyeROVは実際にそのような現場を経験しているという。同社の商用水中ドローン/ROV「EyeROV TUNA」に画像ソナーを搭載し、ダムの水路トンネルゲートの点検を実施したのだ(参考)。

粘土を含んだ濁った水のため調査は難しかったようだが、2つの周波数を持つ画像ソナーを使い、フロアとシルビーム(梁として使用される部材)エリアの全体的な状態を把握した。こうした点検作業をしなければ、ダムは貯水機能に欠陥を孕んでしまい、本来のパフォーマンスを発揮できなくなる。

浸水パイプラインの点検にも

もう一つ、EyeROVが実際に請け負ったプロジェクトを解説したい。

原油、天然ガス、ジェット燃料などを遠隔地に送り届けるパイプラインは、老朽化すると内部のコーティングがはがれて損傷や漏れが発生してしまう。そこでパイプライン調査にEyeROVの製品が投入され、パイプライン内の破片の蓄積と腐食のサイズを正確に測定した(参考)。

これを潜水士が行うとしたら、極めて危険な作業になってしまう。しかし、ROVであればどのようなトラブルが発生したとしても、人命が失われることはない。それまで命がけだった点検作業が、EyeROVの製品により安全な仕事になるだろう。

原子力潜水艦よりも深く潜れるROV

ダムのメンテナンス、石油パイプラインの点検だけでなく、橋などの交通インフラの建設、港湾施設の拡張、海底の調査、救助活動などにもEyeROVの製品を用いることができる。現にEyeROVは上述のEyeROV TUNAだけでなく、インド海軍向けに開発したEyeROV TROUTという製品も用意している。

これは深度300mに対応するROVで、防衛分野での活用を期待されている。なお、アメリカのバージニア級原子力潜水艦の最大潜航深度は公表数値で250m。EyeROVの製品は、潜水艦よりも深い水深で稼働することができるのだ。

その他にも自律型水上ボートEyeROV iBOAT ALPHA、深度50m対応の水中カメラEyeROV NEOPIA UW-50、そしてそれらの製品が収集したデータを解析するプラットフォームEVAPも提供している。

1億ルピーの資金調達

先日、EyeROVはUnicorn India Ventures主導のプレシリーズA投資ラウンドで1億ルピー(約1億7,700万円)の資金調達を完了した。今回の資金を元手に、EyeROVは中東への進出も計画しているという(参考)。

現在、EyeROVは石油精製大手Bharat Petroleum、タタグループ、インド沿岸警備隊をはじめとした30超のクライアントを抱えている。2016年の設立から今日まで各種インフラ整備の現場に赴いてきた同社だが、今後は中東諸国の巨大港湾施設や石油パイプラインなどでその名前を見かけることがあるかもしれない。

参考・引用元:EyeROV

(文・澤田 真一)

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