【CEOインタビュー】“ゲーム要素”がプロジェクト刷新の鍵に|スクワットでトークン獲得の「Wellxy」、12月にTGE予定
Techable / 2024年9月3日 11時0分
“アジア最大規模”をうたうWeb3グローバルカンファレンス「WebX 2024」が、8月28・29日の2日間にわたってザ・プリンス パークタワー東京にて開催された。
Techable編集部が会場で特に注目したのは、DePIN(分散型物理インフラストラクチャネットワーク=Decentralized Physical Infrastructure Networks)だ。ブロックチェーン技術を活用して現実世界のインフラストラクチャやリソースを分散化・トークン化する新しい概念として発展している。
たとえば「Snap to Earn」プロジェクト「SNPIT」(スナップイット)は、「写真を撮るだけでトークンを獲得する“Game-Fi”*プラットフォーム。同じくゴールドスポンサーとして出展したGOLFINは、コースを回ったりゴルフゲームをプレイしたりしてトークンを獲得するDePIN。9月にNFTセール、10月にアプリリリースを予定している。
DePINは、インフラネットワークをユーザーが分散的に構築・維持することで運営コストを大幅に削減できる特長があり、ユーザーはその報酬として暗号資産(仮想通貨)を得る仕組みを持つ。アイデア次第で多様な分野に応用できることから、企業の新たなビジネスモデルの開発においても注目されているキーワードのひとつだ。
スクワットでトークン獲得の一挙両得アプリ「Wellxy」「Workout and Earn」というキャッチコピーを掲げた「Wellxy: Jetpack Squat」は、“スクワットしてトークンを獲得”できるアプリ。運動不足の自覚はありつつもなかなか習慣化できない層にとっては、またとないコンテンツだと気になったので、会場のブースで話を伺ってみた。
話を聞かせてくれたのは、「Wellxy」アプリを運営するRapanui社CEOのChung Hayun氏。Rapanuiは法律上シンガポール企業だが、Chungさんをはじめ韓国出身のチームがソウルを拠点に事業を展開しているという。アプリも韓国語と英語で展開されている。
新CEO、Game-Fiを最重要視してプロジェクトを一新――こちらのアプリと企業はいつ頃立ち上げられたのでしょうか。
Chung:この会社と「Wellxy」プロジェクト自体は、2021年に始まったものです。ですが、2023年に私が前CEOの女性から技術開発部門を譲り受けて、CEOに就任しました。その後、今年の2月に私が当社ビジネスを刷新したんです。ブランド名は変えませんでしたが、コンテンツは完全に新しいものになりました。
私が改革するまでは、このプロジェクトはヘルスケアに重点を置いていました。でも、私はブロックチェーン業界で最も重要なのはGame-Fiだという考えだったので、プロジェクトにゲーム要素を追加しました。
新しいコンセプトは、「スクワットで稼げる」というもの。スクワットで「ミネラル」というゲーム内ポイントを獲得します(宇宙服とジェットパックで宇宙を探索するというゲームなので、宇宙探索によって「鉱物」を獲得するため)。獲得したミネラルは将来的に当社アプリ内でトークンに変換可能になります。
AIベースのモーションセンサーが体の動きを検知――スクワットの回数は具体的にどうやってカウントされるんですか?
Chung:まず、スマホを椅子か何かに置きます。するとスマホのカメラがユーザーの体の動きを感知して、スクワットの回数を数えてくれます。カメラは人体を線と点で捉えて動きを検知します。
画面の右側に「ボール」が見えるでしょうか…今、実際にプレイしてみましょう。
これがアプリの画面です。スタートボタンを押すとゲームプレイが始まります。今スクワットしてくれている彼女は当社のメインデザイナーです(笑)。ゲームに登場するキャラクターたちをデザインしてくれました。
画面右側にバーとオレンジ色のボールが見えますね。ボールの中にある数字が減っていくので、4秒以内に1回スクワットしなくてはなりません。スクワットすることでキャラクターが先に進み、落ちてくる岩を回避したいときは、どちらかの腕を出して横移動します。
判定は「Good」と「Perfect」があり、バーの一定位置より下までボールを下げる…つまりスクワットでお尻を下げると、「Perfect」と判定されます。
――スクワットの深さが十分じゃないといけないんですね。浅すぎるとカウントされない?
Chung:「Miss」と判定されてライフが減ってしまいます。3つのライフがすべてなくなるとゲームオーバーです。
スクワット回数が多いほど、ゲーム内でキャラクターが進んだ距離も増加します。この距離に応じて「ミネラル」を獲得します。たくさんスクワットすればそれだけ距離が稼げるので、獲得ミネラルが多くなります。
トークン生成イベントは12月の予定――ゲーム内通貨であるミネラルが将来的にトークンに変換できるようになるんですね。
Chung:はい、今年の12月を目指しています。まだメインネットワークを選定していなくて、トークン生成イベント(TGE)もまだ行っていないんです。ですが、おそらくメインネットワークにAubtrumやそのほか検討中のところを選んで、その後TGEを予定しています。
――ユーザーは運動不足も解消できてトークンも稼げて一挙両得ですが、Wellxyはどのように利益を出しますか?
Chung:アプリ内ストアでキャラクターやアイテムを購入可能です。たとえばバッテリーのアイテムを購入して装備させると、キャラクターがパワーアップします。
このパワーアップによって、スクワット回数が同じでも、初期装備キャラクターに比べてより遠くまで到達できるようになります。キャラクターの速度が速くなるんですね。たとえば、1回のスクワットで初期装備キャラは30メートルしか進めませんが、強化キャラは同じ回数でより遠くまで行けます。
――現在、アプリのユーザー数はどれくらいですか?
Chung:現時点では2万人くらいでしょうか。ただ、当社はまだマーケティングやプロモーションを一切行っていない状況です。企業としてまだかなりのアーリーステージなので。将来的にはバラエティに富んだプロモーション活動を展開したいですね。今頑張っているところです。
日本語にはまだ対応していませんが、日本語ローカライズはマストだと考えています。日本市場はとても重要で…日本の皆さんは当社のコンセプトをきっと気に入ってくれると信じていますから、ASAPで進めたいと思います。
*Game-Fi(ゲーミファイ):ゲーム(Game)と金融(Finance)を組み合わせた造語。ゲームにDeFi(分散型金融)の要素を掛け合わせたブロックチェーンゲーム全般を指す。ゲームをプレイすることで稼ぐ仕組みはゲームごとに特徴がある。
(取材/文・Techable編集部)
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