防犯カメラ映像からAIで銃を検知|米ZeroEyes、小規模企業・個人住宅向けにもサービス提供を開始
Techable / 2024年9月17日 18時0分
米国では銃による事件が後を絶たない。最近の事案としては、7月にドナルド・トランプ前大統領が東部ペンシルベニア州で演説中に撃たれる暗殺未遂があった。また、9月上旬には南部ジョージア州の高校で銃撃事件が発生し、生徒と教員の計4人が犠牲になった。そのほかにも、ショッピングセンターやドラッグストアといった不特定多数の人が日常的に利用する場所でも銃撃あるいは銃を使った強盗事件などが発生しており、銃の浸透が脅威となっている。
社会から銃を一掃することは難しいなかで、米ZeroEyesは銃による悲劇の抑制に貢献するソリューションとして、カメラがとらえた映像からAIで銃を検知するというプラットフォームを手がけている。同社はこのほど、小規模の企業や個人住宅向けにもサービス提供を開始した。これにより、「監視カメラを1台しか設置していない」といった小さな店舗や公園などでも、既存のカメラをそのまま活用してリアルタイムでの銃検知を利用できるようになった。
AIで映像をスクリーニング、銃を検知ZeroEyesは、設置したカメラがとらえた映像を人工知能(AI)でスクリーニングして銃を検知するプラットフォームを手がけている。すでに米国42州の多くの顧客に利用されているが、これまでは政府機関や教育機関、コミュニティ施設など大口の顧客を相手にしていた。そして今回、家族経営の商店やガソリンスタンド、小さなレストラン、託児所など、そして個人住宅でも利用できるようになった。
同社のプラットフォームでは、カメラ内部にコンピューターを搭載するIPカメラ(ネットワークカメラ)の映像をリアルタイムに分析することができる。店舗などに設置されているカメラは多くの場合、監視や記録に使われているが、そうしたカメラにソフトウェア「ZeroEyes One」をインストールすることで、銃を検知して警察にすぐさま通報するというアクションにつなげられる。同社によると、この手のサービスは初という。
専門スタッフがレビューし通報具体的にどのように機能するのか。ZeroEyes Oneでは、映像の中に銃が含まれていないかを正確に特定する自社開発のアルゴリズムを活用している。100万もの画像を使ってAIモデルを訓練しており、1秒あたり3万6,000フレームを分析する。
AI分析で銃が検知されると、その映像はすぐさま同社のオペレーションセンターと共有される。センターには、軍や警察などで働いた経験のあるスタッフが365日24時間常駐している。AIがフラッグを立てた映像をスタッフがレビューし、脅威が差し迫っていることが認められた場合、警察や顧客の連絡先にすぐさま通報する。
スタッフは、現場の状況や銃の種類、最後に銃が検知された場所、銃を所持している人物の特徴などを伝える。そうした緊急通報は、検知からわずか3〜5秒以内に行われるという。銃が絡むシーンでは一刻を争うことが往々にしてあり、即座にアクションにつなげることで事件の抑制につなげる。
未然に防ぐことに重点銃撃で最も避けたいのは死傷者の発生だが、一度事件が発生すると現場の管理者はその他にも多大なコストを払うことになる。たとえば、現場がショッピングセンターであれば、施設を運営する企業は物理的な損壊や顧客の喪失、評判の低下、保険料の増大、さらには従業員の維持の問題などに直面するとZeroEyesは指摘する。
犯罪対策として監視カメラを導入している例は多いが、ZeroEyes Oneではそうした既存の監視カメラを利用できることも大きい。監視カメラを設置していない場合は、ZeroEyes側で用意することも可能だ。
同社公式サイトによると、ZeroEyes OneはIPカメラ15台以下が対象で、サブスクリプション制(1、3、5年)となっている。費用は利用するカメラの台数によって異なり、1年契約の場合、1台の月額利用料は230ドル。3年契約で月額200ドル、5年契約で同190ドルとなる。カメラの台数が増えるほどに、1台あたりのコストは下がる。
小規模店舗にとっては決して安いとはいえない設備投資かもしれないが、銃の脅威を回避できるのであれば、その価値は十分あるのではないか。実際、米国の社会ではさらなる安全の確保に走る動きは顕著で、同社のサービスの利用は増えている。
2023年の同社の売上高は、前年比300%増だったという。また、同年だけで同社のサービスを通じて10件以上の逮捕につながったとしている。
参考元:
PR Newswire
(文・Mizoguchi)
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