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下肢の動きを真似た“自然な歩行”を実現|医療用外骨格「XoMotion」、カナダでの販売承認を取得

Techable / 2024年10月2日 16時0分

麻痺や運動障害のある患者向けに設計された装着型の機器“医療用外骨格”。調査会社Research and Marketsのレポートによると、今年約10億9,000万ドルが見込まれている医療用外骨格の世界市場は、2035年には87億ドルに拡大することが予想されている。

脊髄損傷、脳卒中、神経疾患の患者を支援する医療用外骨格「XoMotion」を手がけるカナダのHuman in Motion Robotics(以下、HMR)はこのほど、カナダでのXoMotionの販売許可を得たと発表した。カナダを皮切りに、米国やアジア、EUなどでも販売許可を取得してグローバル展開を目指すという。

産業界や軍事分野で導入進むパワードスーツ

パワードスーツ、アシストスーツなどとも呼ばれる外骨格は、電動アクチュエーターや空気圧などを利用して人の動きをサポートするものだ。

こうした外骨格はすでに介護・農業・製造・建設などの業界で導入が進んでおり、現場のスタッフは外骨格スーツを着用することで重いものを楽に持ち上げたり、ひざや腰などへの負荷を減らすことができるという。

医療用外骨格も基本的には産業向けのものと同様の働きをする。大きく異なるのは、装着する人が自分の力で立ち上がったり歩いたりすることが困難なことだ。

HMRのXoMotionは、下肢に障害を抱えている人向けに設計されている。下肢の動きを真似でき、患者とセラピストの両方にとって直感的で使いやすいものとなっている。

XoMotionの特徴の一つは自律的にバランスが取れることだ。装着者は人に支えてもらわなくても一人で立って歩けるなど、安定性が確保されている。前進するだけでなく、横にステップしたり、しゃがんだりするなど多様な動作も可能だ。

なおHMRのウェブサイトによると、XoMotionは身長約152〜193センチ、約100キロに対応。ホットスワップ(電源を切らずに交換)可能なバッテリーで連続使用できる。

リハビリ介助者のサポートにも

XoMotionを装着するのは障害を抱えている人だが、XoMotionはリハビリを支援するセラピストをサポートするものだ。セラピストはリハビリ中、患者が転倒しないよう踏ん張って支えたり、動かない足を持ち上げたりと、文字通り患者の体を支える。

まさに力仕事だが、患者がXoMotionを使用することで介助者の身体への負荷が減り、患者のケアに集中できるようになるという。

サイモン・フレーザー大学発のテックがベース

XoMotionはバンクーバーのサイモン・フレーザー大学で開発された自立型外骨格のプロトタイプを元に開発されたものだ。XoMotionの商業展開、そしてヘルスケア部門向けにロボットを活用した他のソリューションを開発するため、2016年に設立されたのがHMRである。カナダ・バンクーバーに本社を置き、韓国・ソウルにもオフィスを構えている。

同社は昨年、シリーズAラウンドにて約1,000万ドルの資金調達を実現。今回販売許可を得て、現在はカナダ国内のリハビリステーションや研究施設へXoMotionを提供している。また、ゆくゆくは一般向けにも提供する予定だ。

麻痺で意のままに動き回れないというのは、朝目が覚めてキッチンに行ってコーヒーをいれて飲む、訪問者を迎えるために玄関に行ってドアを開ける、といった日常のささいな行動も制限されるということだ。だがXoMotionを使用すれば、再び動く自由を手に入れることができる。その意義は障害を抱える人はもとより、家族にとっても大きいだろう。

参考・引用元:
Cision Canada
Human in Motion Robotics

(文・Mizoguchi)

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