インドネシア発CO2排出管理プラットフォームJejakin、企業の環境活動を可視化|B Corp認証済み
Techable / 2024年10月21日 12時0分
気候変動が世界的に深刻化している今、CO2排出削減は企業が果たすべき社会的責任でもある。一方、「環境に優しい企業」を名乗るには、それを裏付ける正確なデータが必要不可欠だ。
インドネシアのJejakinは、企業がCO2排出削減にどれだけ貢献しているのかを可視化・リスト化するプラットフォームを運営。同社は、政府からも期待をかけられる環境スタートアップである。
今年5月には、PT ITM Bhinneka Power、Indogen Capital、SMDV、East Venturesなどから合計270万ドルの新規資金を調達したことを発表。この資金をプラットフォームの機能強化に活用するとした。
同社は、 Arfan Arlanda氏、Sudono Salim氏(CGO)、Andreas Djingga氏(COO)、Haris Iskandar氏(Chief of Sustainability and Climate Change) ら4人によって2018年に設立された。2023年10月にはB Corporation認証も取得している。
Jejakinが主力製品とするプラットフォームは、「CarbonIQ」「CarbonAtlas」「CarbonSpace」の3種類。概要を順番に見ていきたい。
Scope1から3まで排出量を可視化する「CarbonIQ」「CarbonIQ」は、企業が消費する電力や燃料などを管理し、それにともなうCO2排出量を算出・管理できるプラットフォーム。Scope1(燃料消費や製品製造による直接排出)、Scope2(電力などの消費による間接排出)、Scope3(サプライチェーンの上流・下流での排出)まで、分類別の排出を管理できる。
CarbonIQの使い勝手は、公式サイト上で疑似的に体験可能だ。1か月分の電力消費でCO2をどれだけ排出したかなどを追跡することで、削減可能な部分の検討にも役立つ。
CarbonIQは、インドネシア国内の大企業各社ですでに採用済み。公式サイトの「Usecase」には、国営通信企業Telkomsel、国営銀行Mandiri、同国有数の財閥サリム・グループの経営する都市銀行BCA、外資系飲料企業ダノン、ライドシェア大手Gojekなどが名を連ねている。
名の知れた民間企業のみならず、国営企業や官公庁もJejakinのユーザーであり、同社は現職大臣の後押しも受けている。事業内容を紹介する動画に冒頭から登場する人物は、インドネシアの観光・創造経済大臣Sandiaga Uno氏。2019年のインドネシア大統領選挙では副大統領候補として立候補した大物政治家だ。
インドネシアは魅力的な観光地であるが、それ故に多くの温室効果ガスが排出されていることをUno氏自ら説明している。この動画にはほかにもGojekのサステナビリティ責任者Tanah Sullivan氏、リゾート事業を展開するPlataranグループの創設者Yozua Makes氏も登場。企業による温室効果ガス排出削減の重要性を訴えている。
また、「CarbonAtlas」はAIと機械学習を活用したデジタルMRV (Measurement, Reporting and Verification:温室効果ガス排出量の測定・報告・検証) システム。
人工衛星やIoTセンサー、スマホアプリのリモートセンシング技術スタックやドローンを組み合わせ、森林の炭素貯蔵量・降水量・生物多様性などさまざまなデータをモニタリングする。ホットスポットを検知して大規模火災の予防なども可能だ。
インドネシアでも気候変動問題に対する企業の関心は高く、企業による植林事業が活発に行われるようになっている。Jejakinの顧客やパートナーと共同で植えた100万本以上の木をモニタリングするCarbonAtlasによって、植樹が単なるパフォーマンスではなく周辺地域にもたらすプラスの影響を把握できる。
「CarbonSpace」はCarbonIQおよび CarbonAtlasと連携したJejakin統合アプリで、企業および関係者が気候変動対策に直接貢献できるようにするというもの。一覧にある環境活動プロジェクトから選んで「カートに入れる」で購入可能なマーケットプレイスだ。
また、上述した国営通信企業Telkomselの付与ポイントを使ってマングローブの木を植林できるプラットフォームも構築している。Telkomselは単なるユーザーにとどまらず、Jejakinとの協力事業も展開するパートナーだ。
参照:
Jejakin
経済産業省資源エネルギー庁
環境省
(文・澤田 真一)
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