ノマドになりたい人が増えた今だからこそ「フリーエージェント社会の到来」を読み返してみる�【湯川】

TECH WAVE / 2012年4月28日 7時0分


[読了時間:4分]





 フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか。最初にこの本を手にとったのは今から10年も前のことだ。当時、某マスコミに勤めていた私に対し、そのときの上司が「今、読んでいる本によると、君のような生き方が今後社会の主流になるのだそうだ」と言って、この本を見せてくれた。



 この本を手にとって私は2つのことで首を傾げた。1つは、上司が私の生き方をフリーエージェント的だと認識していたということだ。正真正銘のサラリーマンだったのに(笑)。



 アルバイトから正社員への抜擢という当時は異例中の異例の形で入社した経緯や、入社後も金融記者という花形出世コースには目もくれずに当時はマイナーな産業とみられていたネット産業の専門記者を目指していたこと、気に入らない命令に対して「じゃあ会社辞めます」とすぐに口にすること、などから、「こいつはサラリーマンじゃない」と思われていたのかもしれない(笑)。 もう1つは、この本に書かれてあることが今後日本でも本当に起こるのだろうか、ということだ。いい大学を出ていい会社に入る、ということがすべての人の目標と思われていた時代。大企業に勤めていないということは、自分の意思で勤めていないのではなく、大企業に雇ってもらえないという結果に過ぎない。そんな風な認識が一般的な時代だった。この本で書かれてあることはアメリカに限定された話じゃないのか。とても近い将来、日本にこのような時代の変化がくるとは思えない。それがそのときの感想だった。



 あれから10年。今日、われわれが経験している日本社会の変化は、当時米国が経験した社会変化と似ているのかもしれない。そう思ってこの本を読み返してみた。



米国も、もともとは家族的経営だった





 この本は、1956年にフォーチュン誌の編集者だったWilliam H. Whyte, Jr.が出版したThe Organization Manという本に対比する形で書かれている。The Organization Manー。文字通り「企業人」という意味だ。「企業人」こそが1950年代の米国社会を象徴するキーワードだった。企業の中に自分のアイデンティティを一体化させ自我をある程度抑える代わりに、決まった日に決まった額の給料という安定を手にする、という生き方だ。この本は七ヶ月間に渡ってベストセラーリストにランクインし、数十年に渡って米国の大学の課題図書にリストアップされている。

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