【解説】commのCMに吉高由里子起用 モバイル覇権争いは資本力勝負のフェーズに【湯川】

TECH WAVE / 2012年11月19日 8時0分


[読了時間:4分]

 DeNAのモバイルコミュニケーションアプリ「comm」が女優吉高由里子さんを起用したテレビ・コマーシャルを始めた。ユーザー数1億人年内達成に向け快進撃を続けるNHN Japanの「LINE」への対抗策とみられる。このことは、次の2つのポイントを明らかにしている。



 1つは、モバイル時代の覇権争いのキープレーヤーはどこも、メッセージングなどのコミュニケーションアプリが覇権争いの主戦場であると認識した、ということ。ソーシャルゲームは確かに高収益ビジネスである。とはいっても社会がゲーム愛好者で埋め尽くされるようにはならない。ゲームアプリでリーチできない層が大半である。モバイル時代の覇権を狙うのであれば、より多くのユーザーにリーチできるサービスを手がけなければならない。そう認識したからこそ、DeNAは勝負に出たわけだ。

 国内市場は確かにLINEが圧倒的に有利だが、世界のモバイルコミュニケーション市場は60億人市場ともいわれている。中国Tencentは「WeChat」で2億人を、NHN Japanが「LINE」で年内に1億人を取ったとしても、世界的に見ればまだまだ手付かずの市場だ。特に途上国ではテキストメッセージよりも音声通話機能が重要といわれる。音声通話機能に注力した「comm」にも可能性は十分にある。



 2つ目に明らかになったことは、キープレーヤーが資本力を使って本気のマーケティングに乗り出したということだ。LINEも世界の各市場におけるユーザー数の自然増に目配せしながらも、一気に市場を押さえるべきタイミングと判断した市場に対しては広告・マーケティング予算を投入している。



 

マネタイズ先送りアプリ量産時代の終焉





 この2つのポイントが明らかになった今、次の2つのシナリオの可能性がある。



 1つは、過去1,2年の間に雨後の竹の子のように登場した「マネタイズ先送り」アプリには、今後資金が集まらなくなる、ということだ。



 ユーザー数を集めればマネタイズ手法はあとからいくらでもついてくるー。Googleもそうだし、Facebookも同様の考え方で機能強化を進めてきた。目先のマネタイズを優先しユーザー獲得スピードを落とすより、一気にそれぞれの領域でのデファクトスタンダードを目指したわけだ。



 モバイル領域は、どんなサービスが主要プラットフォームになるのか。それがだれにもまだ分からなかったから、多くのスタートアップがそれぞれの領域でマネタイズ先送りアプリに挑戦してきたのだし、ベンチャーキャピタルもそうしたアプリに対して多額の出資を続けてきた。ARや写真、音声、動画などをベースにした、無料のソーシャルアプリが次々と登場してきたのが、過去1,2年のネット業界の状況だった。

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