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【特集】「妻は認知症」 “認知症カフェ”で見つけた居場所 夫婦の日常から見えてきた必要なサポートとは 《新潟》

TeNYテレビ新潟 / 2024年6月29日 17時55分

TeNYテレビ新潟

妻は認知症 高齢夫婦が通う「認知症カフェ」

ネイルをして笑顔を見せる井上秋江さん

うすむらさき色に染まっていく指先に笑顔がはじけます。

新潟市中央区にある「オレンジカフェしもまち」。

認知症の患者やその家族、地域の人が集まり、月に1度悩みや情報を共有する「認知症カフェ」です。

ここに1年半ほど通っている井上秋江さん……アルツハイマー型の認知症を患っています。

妻を支える夫 二人三脚の日々

秋江さんの夫・浩さん

秋江さんを支えるのは夫の浩さんです。

二人三脚で認知症と向き合っています。

手を取り合って50年 3年前に妻に変化がー

井上夫妻の新婚旅行の写真

1973年に結婚した浩さんと秋江さん。

ともに笑い、ともに泣き、常に手を取り合って50年間歩んできました。

しかし3年ほど前から秋江さんに変化が……

その日の「日付け」が分からなくなることが増え、一緒に認知症の検査を受けたところ、秋江さんは初期のアルツハイマー型認知症であることが分かりました。

夫・浩さん

「日にちや時間の感覚が一番先に失われるのが特徴。その兆候は見られる。「きょう何日だ?」と何度も聞いたりする。時間の感覚がなくて、朝食・ 昼食・夕食の感覚がない。そうなると家事ができない」

記憶障害や判断力の低下などの症状がでるアルツハイマー型認知症。

現在の医療では薬で進行を遅らせることが主な治療法とされています。

認知症と診断されてからは、秋江さんに代わって浩さんが家事を行っています。

2030年 高齢者の7人に1人認知症か

認知症患者数の推計

厚生労働省の研究によると、おととし2022年時点で認知症の患者は443万人。

患者の割合が今後も一定であると仮定すると、2030年には523万人を超え、65歳以上の7人に1人が認知症になると推計されています。

全国では認知症をめぐり事件・事故も―

視聴者提供

こうした中ー

6月5日、物件の購入をめぐり、東京都内に住む認知症の80代の女性が1600万円をだまし取られる事件が発生しました。

また、ことし2月には、神奈川県で認知症の疑いがある70代男性が線路に立ち入り、列車が運転を見合わせるなど、認知症をめぐる事件や事故が相次いでいます。

認知症の診断後 家にこもりがちになった妻

診断当時を振り返る秋江さん

3年前、認知症と診断された秋江さん。

当時大きなショックを受けていたといいます。

夫・浩さん

「秋江はしょっちゅう出かけてばかりいたが、認知症だという話を宣告されてから、パタッと行かなくなった。これはまずいことしたと思った」

妻・秋江さん

「えーっていう…ショックはショックですよね」

幼稚園の先生として65歳まで子どもたちと接していた秋江さん。

退職後は趣味のコーラスなどに毎日のように出かけていく活発な女性でした。

しかし、認知症と分かると、家にこもりがちになったといいます。

記者

「外にも出る気分になれなくなってしまった?」

妻・ 秋江さん

「引っ張り出されているって感じ」

医師は

みどり病院・成瀬聡院長

これまで認知症の治療にあたってきたみどり病院の成瀬聡院長は、早期発見、そして進行を遅らせるために、孤立させないことが重要だと指摘します。

みどり病院・成瀬院長

「他者との交流が大事。一人でいると刺激がないので認知症が進んでしまう。いまは治すというよりは、認知症があってもなくても普通に暮らしていけるような社会を作ることが重要。それは、医療だけではやれない。介護だけでもやれない。家族だけで診るのも大変。そういう人たちが連携しながら見ることが大事」

「認知症カフェ」のメンバーとお花見会へ 取り戻す笑顔

お花見会に参加した井上夫妻

そこで……

夫の浩さんは積極的に秋江さんを連れ出すようになりました。

そのときに出会ったのが認知症カフェ「オレンジカフェしもまち」です。

この日は近くの公園でお花見をします。二人の会話にも花が咲きます。

妻・秋江さん

「楽しいです。おいしいし。おせんべいもお団子もいただきました。むしゃむしゃと」

ふさぎがちだった秋江さんも、認知症カフェに通うようになり次第に笑顔が戻ってきました。

人生の最後を考えるゲーム 妻の願いとは……?

認知症カフェの様子

認知症カフェでは毎回特別講師を招き、病気や人生について考える時間を設けています。

この日は理学療法士によるセミナーです。

余命半年になったとき何を大切にしたいか選んでいくゲームです。

「意識がはっきりしている」や「いい人生だったと思える」など様々なカードの中から、秋江さんが最後まで残した一枚は……「家族と一緒に過ごす」でした。

妻・秋江さん

「お世話になりっぱなしできっといくと思うので、ありがとうと言って逝くこと。そのときに周りにいてくれる人がいるといい」

症状が進行しても最後まで感謝の気持ちを持ち続けたい……秋江さんの願いです。

難病を抱えた夫 尽きない不安も……

不安を語る浩さん

ことし81歳になった浩さんです。

右足に難病があり、いつまで家事を続けられるかーこれからも妻を連れて出かけることができるのかーといった不安は尽きません。

夫・浩さん

「いまのままで続くならいいが、私が何もできなくなったら、この生活は維持できないわけだから、それがどうしたらいいのか」

妻・秋江さん

「自分自身が認知症なんだということは分かってはいる。よろしくお願いします。頼りにしてます」

手を取り合いあしたも明るく前を向いて過ごしていくためにー

認知症を理解し、寄り添ってくれる家族や周囲のサポートが欠かせません。

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