【特集】元日の地震で被災住宅が約1万5000棟の新潟市 復旧は今後どうなる 地震から2年半で復旧した札幌市の取り組みとは 能登半島地震から半年《新潟》
TeNYテレビ新潟 / 2024年7月7日 19時1分
能登半島地震から半年が経ちました。
いま被災地はまちづくりを絡めた「復興」を考える段階に移りつつあります。
過去の震災で他の都市はどのように復興したのか。
札幌市の事例からヒントを探りました。
◆自宅が液状化の被害を受け「半壊」
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新潟市西区の牧野陽子さん、自宅を解体することに決めました。
〈牧野 陽子さん〉
「私たちの子どもも含めて4世代が住んでいた家なので思い出の多い家になります。落ち込んでいてもしょうがないので前に向かっていこうかなということで」
自宅は元日の地震で液状化の被害を受け「半壊」の判定を受けました。
ただ電気・ガス・水道が止まっているため近くのアパートで夫と2人で暮らしています。
〈牧野 陽子さん〉
「罹災証明が半壊でしたので公費で解体していただけることになりましたので。中の荷物全部出さなければいけないのでまだ7割ぐらいしかいっていないがそれを片付けている」
建物の解体を選んだのは牧野さんだけではありません。
◆解体される建物も
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全面改修が提案されている坂井輪中学校。
このエリアのまちづくり協議会で会長を務める梶原宜教さんです。
中学校から歩いてすぐの場所では、別の建物の解体が行われていました。
〈梶原 宜教さん〉
「まさにあれは取り壊しが終わったところです」
Q)何があったのですか?
〈梶原 宜教さん〉
「床屋さんです。いたたまれないというか、ここに住まなければならない我々からすれば どうなるのかなっていう不安感はあります」
◆液状化対策の着工まで数年かかる見込み
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元日に発生した能登半島地震。
県内で2万1000棟の建物が被害を受け、このうち液状化の被害が相次いだ新潟市はおよそ1万5000棟にのぼっています。
新潟市はその後、住民説明会を開催。
各種支援制度を用意して住宅の復旧を進めてもらいながら、地域を液状化しにくくするための事業を行う方針を示しました。
現在調査や設計の検討を行っていて、着工までに2、3年かかる見込みです。
また、事業には住民の合意が必要となります。
〈梶原 宜教さん〉
「液状化対策この地域でやってもらいたいですよ。でも非常に難しいのがそれぞれの家主が同意しなければならないでしょ。その中で一軒いなくなってしまったりするじゃないですか」
◆事業を円滑に進めるには
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建物の解体や一時的な避難など、コミュニティが変化することで「住民合意」が難しくなることを懸念しているといいます。
〈新潟大学 災害・復興科学研究所 卜部 厚志 教授〉
「先行してやってうまくいったところ、うまくいかなかったところ。都市の事例はたくさんあるのでそういったところからうまく新潟市も学んでうまく進められるようにすることが必要かなと」
どうしたら事業を円滑に進められるのか……..
◆札幌市の場合
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一つの例としてあげられるのが北海道・札幌市です。
2018年9月、胆振東部地震が発生し、特に札幌市清田区の里塚地区では液状化で甚大な被害が出ました。
〈札幌市 佐々木 将仁 防災計画担当係長〉
「一番は急がなければいけないということですね。時間をかけてしまうとなかなか地域のコミュニティが再生できない離れた人が戻ってこないという事例が今まで全国の災害で知見としてあったので」
とにかくスピードにこだわったという里塚地区。
大量の土砂の流出や2メートルを超える地盤沈下など個人での対応には限界があることが明らかだったため、札幌市は早い段階で行政が介入して工事を行うことを決定。
液状化のメカニズムや被害の規模が新潟市と札幌市では違うため単純な比較はできませんが、被災から3か月後には住民合意をとりつけ、2年半後に対策工事を完了させたということです。
〈札幌市 佐々木 将仁 防災計画担当係長〉
「行政だけでなく地域の住民の方で組織いただいた里塚の復興委員会という組織があったがその方たちが住民側からの意見を取りまとめていただいて一緒にやっていったことがポイントとなります」
◆住民が自発的にまとまる
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また、住民が自発的にまとまって委員会を設置。
地域の要望を取りまとめて市に伝えるなど、住民と行政を橋渡しする役割を担ったといいます。
◆大学が事務局として住民をつないでいく
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新潟大学の卜部教授も住民同士がつながることは効果的で大学としてその手伝いをする準備があるといいます。
〈卜部 教授〉
「被災された自治会の自治会長さんに奮闘いただくのもなかなか大変なので、我々の大学が事務局としてみなさんをつないでいくという最初のきっかけをやり始めようというのが半年(いま)の計画です」
◆地震から半年経ち状況の変化も
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自宅の解体を決めた牧野さんです。
同時に、再びこの場所に家を建て直すことも決めています。
〈牧野 陽子さん〉
「地域の方にたくさん助けていただいて相談にも乗っていただいて今日があると思っているのでできればここに新しい家を建てて少しでも恩返しができればいいなと思っています」
被災直後は近くに住む人同士で連絡を取り合い、助け合ってきましたが、半年が経ち、状況の変化も感じているといいます。
〈牧野 陽子さん〉
「半年経つと向いていく方向というか、それぞれ修繕される方とか建て直す方とか引っ越しされる方とかいろいろいらっしゃいますので、少しずつコミュニケーションというか共有する部分が少なくなってきているのかなと思います」
◆住民アンケート作成
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復興に向けては地域のつながりも重要になることから、協議会ではアンケートを作成し、まずは住民のいまの考えを共有しようと考えました。
〈梶原 宜教さん〉
「個々の住民が行政側に電話すると必ず文句になる。だから文句じゃなく受け止めてもらうために自治会とかまちづくり協議会とかそういう組織の担当部署がフォローするのが一番いいのではないかという気がするんですよね」
◆復興に向けて
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坂井輪中学校はシンボルだと梶原さんは語ります。
〈梶原 宜教さん〉
「ものすごい愛着があるんです。私どものシンボルですよね。いい方向に変わればいいのですが……」
能登半島地震から半年。
被災地ではいま、復興に向けて住民がつながり始めていました。
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