10年後には22校減少するという試算も 県立高校の将来構想 少子化でどうなる? 《新潟》
TeNYテレビ新潟 / 2024年12月15日 20時2分
県教育委員会は10年後の2034年度には県立高校の数が、いまより22校減少するという試算を明らかにしました。なぜこのような試算が出たのか。取材しました。
◆生徒2人の授業
阿賀町唯一の高校、県立阿賀黎明高校です。
行われていたのは3年生の政治経済の授業。選択授業とはいえ、教室に生徒は2人だけです。
Q)同級生って何人いますか?
〈生徒〉
「いま12人です。少ないですよね」
全校生徒47人のいわゆる小規模校。少子化により、「定員割れ」が続いています。
◆「教育の質を保障するために」
この小規模校の存続に大きくかかわる議論がいま県内でなされています。
〈県教育庁 石橋弘光 高等学校教育課長〉
「子どもの数が急激に減少するなか教育の質を保障するためには現在の学校数を維持していくことは困難であり、みなさま方には県立高校の将来構想の策定の趣旨について理解いただくとともに魅力と活力のある学校づくりに向けて忌憚のないご意見をいただきたいと思います」
県教育委員会が説明したのは適正な学校規模や統廃合の考え方を盛り込んだ「県立高校の将来構想」です。
◆10年後に22校減の試算
説明によると、ことしの春に中学校を卒業した生徒の数は1万8309人でしたが、10年後の2034年は1万3928人、さらに5年後の2039年には1万730人に減る見込みです。
現在の全日制の高校を維持した場合、単純に計算して1校あたりが募集する学級数は2039年には1.6学級になります。
小規模校が増えると―
〈県 佐野哲郎 教育長〉
「高校の場合は学ぶ学科の数が非常に多いということもあり、それなりに先生を配置しなければならないが規模があまりにも小さすぎると十分な先生を配置できないという状況がありますので」
高校では日本史や世界史、物理や化学など専門的な科目が増え必要な先生の数が増えます。
それぞれの学校に適正な数の先生を配置をするためにも、来年度募集する86校から10年間で22校減らした64校が数字上は望ましいと県教育委員会はしています。
説明を聞いた人は―
〈中2と小5の親〉
「(生徒数が)少なければきめ細かい指導をしていただけるのかなと思うのですが、やはり競争させたいなというのが親の私の気持ちなので(同級生の)人数が多いほうがいいなと思っています」
〈中3と小3の親〉
「(統廃合は)仕方がないと思います。かと言って(学校が)減ることで保護者としては遠くまで通わせることが大変」
◆「高校がなくなればさらに少子高齢化が加速」
県教委が示した「将来構想」。
定員割れが続く阿賀町唯一の阿賀黎明高校。
統廃合の対象となった場合、懸念されるのは「教育の場の確保」だけではありません。
〈阿賀町教育委員会 遠藤佐 教育長〉
「小学校と中学校があったとしても高校がこの町にないとなるとそもそもここに住まなくて別のところに住んだ方がいいのではないかという考えを持つ保護者も中には出てくるのかなと考えている」
高齢化率が50パーセントを超える阿賀町で、もし高校がなくなればさらに少子高齢化が加速してしまうのではないかという懸念があるのです。
◆「当面は高校を残すことも」
このような懸念に対しては―
〈県 佐野哲郎 教育長〉
「地域によっては地理的な条件それは公共交通機関との関係もあるが、その場所には高校を残すのがベストだろうと思うのであれば、生徒数が少ない状況であっても当面は残していくということになると思います」
そこで高校で導入されたある取り組みがあります。
◆遠隔授業で先生不足解消の可能性
2人の生徒が見つめる先にあるのはモニター。行われていたのは「政治経済」の授業です。
新潟市の県立新潟翠江高校で行われている授業を阿賀黎明高校が映像で受信する、「遠隔授業」です。阿賀黎明高校の先生は後ろで見守っています。
Q)先生は授業しない?
〈阿賀黎明高校 小島一大 教諭〉
「そうですね、配信授業の補助というかたちで付いています。教員が足りずできない科目もありますのでそういったときに対応するシステム」
阿賀黎明高校には政治経済の担当の先生がいません。遠隔授業を導入することで小規模校の先生不足の問題を解消する可能性があるということです。
〈生徒〉
「どんなところでも受けられるのがいいかなと思うのですがちょっと電波が不安なところもありますね」
「人数少ない学校だしこうやって勉強の機会がもらえるならこういうのもありかなと思っています」
県は離島や中山間地域の地理的条件や学びのセーフティーネットの確保の観点から、あえて存続させる小規模校もあり得るとしています。
県教育委員会は、各地での説明会などを実施していて、来年2月の有識者会議に再度、「将来構想」を示すことにしています。
当事者である子どもたちにとって何が望ましいのか、その視点での議論も求められます。
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