【特集】ボディビルで世界へ 工場で働きながらトップを目指す31歳の女性 世界の強豪が集まる大会に出場 カメラが密着 《新潟》
TeNYテレビ新潟 / 2024年12月29日 20時2分
新潟市内の工場で働きながら世界のトップを目指している女性がいます。
三条市の鈴木果奈さん。彼女が取り組むのは鍛え上げた肉体の美しさを競う、ボディビルです。
ことし11月、東京で行われたプロの大会に臨みました。世界から強豪が集まる舞台は、世界を目指す彼女にとっての大きな関門でした。
ことし、大会までの鈴木さんにカメラが密着しました。
◆工場では部長として働く
鈴木果奈さん。新潟市西蒲区の工場で働く31歳です。
彼女が働く、内山熔接工業。
金属加工を中心に多くの有名企業の製品を扱う、新潟が誇る“ものづくり企業”です。
鈴木さんはこの会社で部長として、生産管理の仕事を任されています。
◆もう1つの顔はボディビルダー
仕事を終えた鈴木さんが向かうのは、地元のトレーニングジム。
鈴木さんが持つ「もう1つの顔」は「……鍛え上げられた全身の「筋肉美」を競う、ボディビルの選手なのです。
◆片手でも40キロを軽々と
背中のトレーニング。重さ50キロの「ラットプルダウン」を軽々と持ち上げます。
そしてこちらは「ラテラルロー」。
なんと、片手で40キロのウェイトを持ち上げているのです。
◆トレーニングは食事にも
鈴木さんのトレーニングは食事でも……。
工場内にある、カフェテリア。ひと月500円で食べられるという豪華なランチに、社員は舌鼓を打ちます。
この日のメニューは鮭のフライや鴨南蛮うどん、そして中華丼とおいしそうなものばかり。
同僚と昼食を取る彼女の食事はというと……。
【鈴木果奈さん】
「ほぼ(毎日)、一緒です。鶏むね肉、ブロッコリー、そしてオクラ、ゆでたまご、そしてご飯」
「意外と慣れます」
筋肉のために、徹底した食事管理をしていました。
◆ボディビルの大会で優勝も
2022年7月、新潟で開催されたボディビルの大会で、優れた筋肉を披露し、初優勝。
その勢いで11月に行われた全国大会「ジャパンプロ」でも、初出場で5位に入賞。華々しいデビューを飾りました。
◆上司の反応は
ボディビルの世界で活躍する鈴木さんについて彼女が働く内山熔接工業の内山常務は……。
【内山熔接工業 内山直人常務】
「正直、最初に聞いた時は驚きしかなかった。今回こそはチャンピオン目指してがんばってもらいたいが、どうしても試合が近くなるとピリピリし始めるので、彼女ができないことがあれば、私のほうでフォローしていきたいなと思います」
隣の席で働く同僚、笠原さんは……。
【同僚の笠原さん】
「結果残せるだけの実力があるみたいなので楽しみですよね」
同僚からの応援。その思いは「鈴木さんのファン」そのものです。
【鈴木果奈さん】
「仕事を休んでまで行く日もあるので、申し訳なさもあるので、やってやりましょう、頑張りましょうと(同僚の応援が)モチベーションになっています。結果を残して帰りたいという思いがある」
◆ボディビルに興味を持ったのは7年前
三条市に在住の鈴木さんは3きょうだいの末っ子として誕生。
小さい頃から活発な子どもだったといいます。
中学時代は陸上部に所属していましたが、高校以降は部活動をすることなく、普通の学生生活を送っていましたが7年前、あるきっかけで、ボディビルの世界に興味をもちます。
【鈴木果奈さん】
「地元の後輩が別のボディコンテストで新潟大会で優勝したとSNSで見たんです。趣味でジムに通ってた時期もありましたが、筋肉の大会があるとは知らず、後輩がきらきらしているのが羨ましくて……顔がかわいいのに体がバキバキの人が輝いている姿を見て、そこから興味を持ったのが始まりだったと思います」
◆家族の支えに感謝
「ボディビル」の世界で活躍する娘の姿を、母・道代さんは……。
【母の鈴木道代さん】
「ジム行って鍛えているんだなあと、まさか大会に出るとは思わなかった。体を動かすのが小さいころから好きなんです。上に兄が2人いるのでその中でもまれてたくましくなったと思いますね」
「やりたいことやって、本人が幸せなら、私にとっても幸せなこと……私にできるのは掃除と洗濯と、鶏むね肉の買い物……大量消費なんでね」
【鈴木果奈さん】
「母が支えです……母が家事全般をやってくれるので競技に専念できるので感謝しています」
◆トレーニングは独学
ボディビルを始めて4年になるという鈴木さん。トレーナーを付けることなく、自分の力だけで、トレーニングを積みます。
おととし、新潟での大会で優勝したことがきっかけとなり、その年の秋にプロになった鈴木さん。
プロになったことで、アマチュアでは出場できなかった国際大会に出場することが可能になりました。
しかし、プロとして挑戦した去年。トレーニング中のケガが原因で、思うような結果を得ることができませんでした。
【鈴木果奈さん】
「勢いで行けるかなと思っていたのが、現実は世界の壁は髙かった……全然足元にも及ばない結果だったのは実際悔しくて、去年についてはいい思い出ではなかった」
鈴木さんが目指しているのは、世界。筋肉の量や形をより極めていかなければいけません。
さらに、ボディビルには、ほかにも磨かなければいけない要素がありました。
【鈴木果奈さん】
「ポージングも重要。筋肉の大きさ以外にもポージングが重要になってくるというのもプロになって思い知らされたというのもあるので、課題はポージングの練習量。筋トレ以上にことしはポージングもきちんとやっていこうかと」
◆大会まで1か月
大会まで1か月を切ったこの日。ジムにおじゃますると……。
Q)3ヵ月で何キロくらい絞れたんですか?
【鈴木果奈さん】
「10キロ」
Q)(腕の筋肉を見て)相当すごいと思いますけど。
【鈴木果奈さん】
「まだ、お腹はもうちょっと…まだ多い。もうちょっと薄くなってくれると…」
「トレーニングは重量を追わずに高回数で、息が上がる・心拍数を上げることに切り替えたので」
鈴木さんの、夢への挑戦。第一関門は、11月に東京で行われる「ジャパンプロ」。
日本全国から、世界を目指すプロが集まる大会です。
【鈴木果奈さん】
「夢は海外に行って、海外の選手と並ぶこと。一番いいのは表彰台の真ん中に立ってオリンピアのカードを持ち上げている姿を見せられたらいいですが、せめて結果で勝ちたいと思っています」
◆筋肉量だけでなく美しさも
体を絞るため、食事にも変化が。
仕事中のランチタイムでは……。
Q)今日のメニューは?
〈鈴木果奈さん〉
「卵白と鶏むね肉とえのきの蒸し焼きとカボチャ。ごはん(米)をやめたのは10月ぐらいかもしれません」
Q)あとどれくらい絞るんですか?
〈鈴木果奈さん〉
「数字で言ったら3キロくらい絞りたいですね。でも、もう20日くらいしかないので…。どうでしょう。あんま考えすぎちゃうとストレス溜まっちゃうので、考えないようにしています」
世界のプロ選手と肩を並べるためには課題をクリアしていかなければいけません。
鈴木さんが出場する、ビキニというカテゴリーは筋肉量だけではなく、美しさも求められます。
ヘアスタイルやメイク、ウォーキングやポージングも審査の重要なポイントだといいます。
◆大会2週間前
鈴木さんは、課題のひとつでもある、ポージングの練習を行っていました。
「右のひざ、1センチこっち。右手、もう1センチ下」
「歩くとき人差し指がちょっと強い」
「Face to the back」
ポージングの指導をしているのは、自身も選手として活動している、トレーナーの北良乃さん。
Q)指1センチとか、足何センチとか、そんなに細かいんですか?
〈トレーナー 北良乃さん〉
「そんなに細かい。客観的に選手のバランスがよく見える関節のポジションや角度にもっていかないと。これをなかなか1人でやるのは難しくて……」
5年前から筋肉の見せ方やポージングを中心に鈴木さんのサポートをしています。
〈トレーナー 北良乃さん〉
「成長ぶりで言うと体は明らかに成長しているんですけど、メンタル面、その辺はまだ一緒に歩まないといけないです。順位がどうであれ、彼女が納得できる試合になるように全力で力を貸していきたいと思います」
◆目指すは「ファーストコール」
世界で活躍するプロ選手が集まる、日本最大規模の大会、「ジャパンプロ」。
初挑戦した去年、鈴木さんは思うような結果を出すことができませんでした。
〈トレーナー 北良乃さん〉
「去年の大会では、入賞というかファーストコールに呼ばれていないので、ラインナップみたいなのに呼ばれなかったっていうのが初めてだったので、悔しさが残っているのでファーストコールへの思いは強い。入賞はしたい」
ファーストコール。
最初に呼ばれる上位入賞候補者8人です。
ここで呼ばれなければ上位入賞の可能性はほぼなくなります。
去年の悔しさを胸に、鈴木さんはこの、「ファーストコール」を目指します。
〈鈴木果奈さん〉
「まずは去年のリベンジとしてファーストコールに呼ばれて入賞したいっていうのがまずありますね」
「あとは本当にステージを楽しむということを考えています」
◆国内最大級のボディビルイベント
ことし11月22日から3日間開催された「ジャパンプロウィークエンド」
大会中はアマチュアのコンテストや、イベントも開催され、会場は盛り上がりました。
プロ選手と交流する機会もあり、ファンにはたまらない時間です。
プロ選手の中には世界大会に出場した選手も。
〈ウユンガ・ベッダ選手(モンゴル)〉
「日本でのプロ大会は初めてだけど、明日の試合は頑張りたい」
前日入りした鈴木さんも気合い十分です。
Q)気持ち高まってきましたか?
〈鈴木果奈さん〉
「高まりまくってます!テンション爆上がりです!」
準備は万全。
いよいよ、鈴木さんの挑戦が始まります。
◆大会当日
鈴木さんのカテゴリーにエントリーした選手は総勢26人。
全世界で開催されるプロ大会の常連が名を連ねています。
【ナタリー・コルサリ選手(ギリシャ)】
「ジャパンプロを楽しみたいし、ベストを尽くしたいと思っています。どんなことがあっても楽しんで最高の時間を過ごしたいと思います」
【倉地美晴選手】
「去年も大会に出場しているんですけど、去年もらったフィードバックだったりとか去年の自分に与えた課題とかの答え合わせが出来たらいいかなと思っています」
彼女たちが目指しているのは、アメリカ・ラスベガスで開催される最高峰の世界大会、「オリンピア」。その出場権を手に入れられるのは、たった1人です。
いよいよ、オリンピアへの道に続く、幕が開きます。
与えられた時間の中で、選手たちは思い思いのパフォーマンスで審査員にアピールしていきます。
そして、鈴木さんの登場……。
どうやら満足のいくパフォーマンスを披露できたようです。
【鈴木果奈さん】
「時間が足りなかったー。大丈夫だったかなー。でも、すごい気持ちいいかもしれない!いい興奮はした!」
◆ファーストコールに選ばれず
そしていよいよ、「ファーストコール」の時間。鈴木さんは「51」番。
次々と番号が呼ばれますが……
審査のコールに「51」番はありませんでした。
最終順位は16位。鈴木さんは「ファーストコール」に選ばれることができませんでした。
ファーストコールに選ばれなかった理由について良乃さんは……
【北良乃さん】
「フレーム(体)の大きさは十分海外選手とも戦えると思うんですけども、ステージの強い照明に対して、鮮明な筋肉の質感がまだまだ感じられなかった。それに比べて上位の選手たちはそのフラッシュ・ライトにも負けないくらいの筋肉の存在感・溝を演出されて魅せれていて筋量がある。今日みたいな負け方が(オリンピアに)行くために必要だと思います。負けを重ねてでも一緒に歩んでいきたいと思います」
◆「負けを糧にして」
〈鈴木果奈さん〉
「コンディションも結構上がってきたというのが自分でもあったので、結構自信というのがある状態で臨めたんですけど、ボロ負けでしたね。今回も。悔しいです。諦めずに、今日の負けを糧にして取り組んでいきたいと思います。くじけないで、諦めず頑張ります」
鈴木さんは2月に行われる大会に向けすでに動き始めているそうです。
そこでもオリンピアへの道へのチャンスがあるということで、鈴木さんの夢への挑戦は続きます。
(2024年12月10放送「夕方ワイド新潟一番」より)
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