【特集】「国家プロジェクトになる」 新潟~上越地域の高速鉄道計画は動き出すか 背景には羽越新幹線の構想も 《新潟》
TeNYテレビ新潟 / 2025年1月3日 18時3分
2024年に話題となった出来事や注目されたニュースの記事をお伝えしています。今回は2024年4月に放送・配信された新潟市と上越地域をミニ新幹線などで結ぶ「高速鉄道計画」についてです。
新潟県は3月に最大2100億円となる4つのルート案の工事費を示しました。国家プロジェクトになるとされるこの計画、新潟を経由して日本海側を結ぶ羽越新幹線構想も見え隠れします。(一部を除き内容は取材当時のものです)
4ルート案について大学生は
新潟大学の鉄道研究部。鉄道を愛するメンバーが集まり、部員は50人を越えます。
彼らに、新潟県が描く「高速鉄道計画」について議論してもらいました。
「糸魚川案で直江津対面乗り換えができたら、一番いいですよね」
「いいね!」
県が示した4つのルート案をめぐり、議論は白熱。一方で、まちづくりも重視しています。
部員の池澤悠さん
「まちの今後を担うというので鉄道をどう敷くかは本当に重要」
部長の森田初穂さん
「全部の沿線自治体が納得できる案じゃないと。案が凍結しては意味がない」
2つの新幹線を高速鉄道で結ぶ
新潟駅と東京駅を結ぶ「上越新幹線」。
上越妙高駅や糸魚川駅と、東京駅を結ぶ「北陸新幹線」。
今回の計画は、この2つの新幹線を高速鉄道で結び、アクセス性を高めることが狙いです。
車社会の新潟
車社会の新潟。
県の調査では、新潟と長岡で暮らす95%が上越まで車で移動すると回答しました。
羽越新幹線が念頭に
しかし、新潟県の花角知事は、この高速鉄道計画について、青森市から富山市まで新潟県を通って日本海側を結ぶ「羽越新幹線」が念頭にあるといいます。
長岡駅に線路が敷かれていないスペースが
実はJR長岡駅には11番線ホームの向かいに、線路が敷かれていないスペースがあります。
「羽越新幹線」の布石とも言われます。
「国家的な課題」
県はおととし、「高速鉄道ネットワークのあり方検討委員会」を設置。
新潟~長岡~上越を高速鉄道で結び、県全体の人の流れや物流を活発にしたいといいます。
新潟県 花角知事
「日本海側の国土軸ができていない。高速道路も今、新潟と山形の間で切れているわけです。国には国家的な課題だと受け止めてもらいたい」
新潟県交通政策局 太田 勇二 局長
「新潟県の一体性を考えた時、下越と上越は時間的に遠い。所要時間を短くして一体性を持たせ、県全体で拠点性を上げたい」
新潟と上越を結ぶ高速鉄道は4つの案が挙げられ、3月26日の委員会では、それぞれの案の工事費が示されました。
長岡と上越妙高の間にミニ新幹線
<1>
長岡駅と上越妙高駅にミニ新幹線を走らせる案
工事費1,200億円
新潟駅~上越妙高駅が37分短縮
長岡と糸魚川の間にミニ新幹線
<2>
長岡駅と糸魚川駅との間にミニ新幹線を走らせる案
工事費1,500億円
新潟駅~糸魚川駅が55分短縮
信越線を改良
<3>
信越線を改良して特急を走らせる案
工事費2,000億円
新潟駅~上越妙高駅が27分短縮
ミニ新幹線と特急を併用
<4>
ミニ新幹線と特急を併用する案
工事費2,100億円
新潟駅~上越妙高駅が40分短縮
「ノープランでは次の新幹線の対象にならない」
巨額のため、国への働きかけが欠かせない巨大プロジェクトとなります。
高速鉄道ネットワークのあり方検討委員会 大串葉子委員長
「国家プロジェクトになるので秋田、山形をにらんで路線を考えていく。(北陸新幹線が)大阪まで延伸されたあと新潟県がノープランでは、さあ次の新幹線はどこですか、となった時に対象にならない」
新潟県鉄道発祥の地・直江津
新潟県で初めて鉄道が通った、上越市の直江津地区。
この「鉄道発祥の地」に、高速鉄道がやってくることを心待ちにする人たちがいます。
直江津鉄道振興会です。
「鉄道」や「駅」を起点としたまちづくりを考えてきました。
特急しらゆきは減便
北陸新幹線の開業後、直江津駅前のにぎわいも落ち込んだといいます。
さらに、新潟方面とつながる特急「しらゆき」は2022年に減便。
病院は富山や長野へ行く
直江津鉄道振興会 事務局 丸山岳人さん
「病院も直江津からだと、富山大学の病院に行ったり長野の日赤に行ったりとか」
「新潟県は分断されている」
直江津鉄道振興会 石田秀男会長
「いくら直江津が鉄道発祥の地だといっても、新幹線のレールから外れてしまうと衰退してしまう。今は新潟県が2つに分断されている。地元の人にとってこの案は困るとか、この案は是非我が地方には良いとか、こういう論議がこれから始まると思いますね」
需要や費用対効果などを議論
日本海側ならではの雪や風の影響。在来線との両立、路線の黒字化など課題も多くあります。
高速鉄道の一大プロジェクトは動き出すのか。
新潟県は2024年度内をめどに、実現した場合の需要や費用対効果などを議論の上、検討結果をまとめる方針です。
(2024年4月11日「夕方ワイド新潟一番」で放送、同月ニュース配信)
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