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毎年替わるゴルフ賞金女王争いの顔ぶれ 稲見萌寧と小祝さくらが「今年強い」理由

THE ANSWER / 2021年9月23日 10時33分

4月に同組で回った稲見萌寧(左)と小祝さくら、2人の強さはどこにあるのか【写真:Getty Images】

■「THE ANSWER スペシャリスト論」女子プロゴルファー・北田瑠衣

「THE ANSWER」が各スポーツ界を代表するアスリート、指導者らを「スペシャリスト」とし、第一線を知る立場だからこその視点で様々なスポーツ界の話題を語る連載「THE ANSWER スペシャリスト論」。女子ゴルフでツアー通算6勝を挙げた北田瑠衣(フリー)は「THE ANSWER」スペシャリストの一人を務める。2006年から10年連続でシード権を保持した実力者。ゴルフ界のトレンドやツアーの評論、自身の経験談まで定期連載で発信する。

 今回のテーマは「稲見萌寧と小祝さくらはなぜ強いのか」。今季8勝で東京五輪銀メダルにも輝いた賞金ランク1位の22歳・稲見、5勝で同2位の23歳・小祝。毎年のように賞金女王争いの顔ぶれが替わるツアーで、今、最も勢いのある2人の強さはどこにあるのか。ゴルフをあまり知らないライト層のファンにもわかるよう、北田がキャラクターの違う2人の共通点や長所を解説し、ジュニア世代が学べるポイントにも触れた。

 ◇ ◇ ◇

 2人とも他の選手より対応力があると思います。小祝選手が勝った8月のCATレディースはグリーンのスピードが速かった。苦戦する選手もいる中、小祝選手と稲見選手が競り合いました。毎週試合をしていますが、コース、天気、風などへの対応力、我慢が必要です。しっかり計算しながら自分のプレーができているように見えました。

 彼女たちの若さであれだけの対応力、経験値があるのは凄いこと。調子がよくなくても上位にいられるし、ショット、パットがかみ合った時はしっかり優勝している。2人に強さを感じます。あとは365日、24時間ゴルフのことを考えている。もちろん、他の選手も考えているとは思いますが、稲見選手は優勝した翌日も普通に練習している。「ショットがうまくいかない」とか言いながら(笑)。「え!?」って驚きますし、尊敬しますね。

 2人は強い向上心があり、常に高い目標を追いかけています。他の選手も練習はしています。でも、2人はただ漠然と優勝したいだけじゃない。口には出していないと思いますが、明確な高い目標があるはずです。それは夢ではなく、自分が絶対に叶えたい目標。それに向けて練習量、質を計算しながらやっているのだろうと思います。1勝でも凄いことですが、1勝は通過点なんだと感じます。

 個々に見ると、小祝選手は総合的に安定感があり、凄い集中力もあります。自分を高める力が凄い。優勝争いに動じない。CATレディースではリーダーボードを見なかったと言っていました。難しいコースコンディションの中でスコアを伸ばして優勝。最終18番できっちりバーディーを獲ったところに強さを感じました。

 どちらかというと内に秘めるタイプで、自分から「絶対に勝ちます」という発言もあまりしない印象です。「頑張って優勝できたらいいですね」というスタンス。だから、プレー中と後の雰囲気もガラッと変わるし、コメントを聞いていても面白いですよね。

 稲見選手が優勝した昨年のスタンレーレディスで、私はラウンドリポーターをしていました。インタビューでは「ショットも全部入れるつもりだった」と話していました。それを聞いた時、「この子凄いな」と思いましたね。少し強気で「絶対に勝ちます」と有言実行するタイプ。優勝した直後は忙しくなるのですが、私がインスタグラムで祝福のコメントを送ったらきっちり返してくれる。そういう姿も凄いなと感じました。


入れ替わりの激しい女子ツアー、年間通じて活躍するには【写真:荒川祐史】

■「入れ替わりの波に乗れない選手も多い」、年間で活躍するために必要なこととは

 賞金女王を争うトップ選手の顔ぶれは毎年のように替わっているかもしれません。一昔、二昔前と比べると、シード選手の入れ替わりも激しい。賞金総額が上がっていることもありますが、賞金シードのカットラインの金額も年々上がっています。飛距離も伸びてコース自体も難しくなっている。ゴルフのレベルが上がっています。

 若い選手は勢いがありますが、入れ替わりの波に乗れない選手も多い。まず年間30試合以上に出場するツアーの環境に慣れることが大切です。今の選手は仕事もゴルフ、趣味もゴルフ。それはそれで凄くいいことですが、上田桃子選手など長年活躍している選手は料理教室に通ったり、何か趣味をつくったりしている。練習量も大事ですが、気分転換も大事。少しゴルフを忘れる時間をつくることが、長くツアーで活躍する秘訣かなと思います。

 私がレギュラーツアーに出るようになった時は、最終日翌日の月曜も練習していました。クラブを握っていないと不安。ただ、疲労の度合いが変わってきます。25歳くらいの時、よく先輩プロに「ゴルフ以外に趣味を見つけたら?」「月曜くらいは休んだ方がいいよ」と言われていました。そこで犬を飼い始めてリラックスできました。若い時はがむしゃらに練習して、少し疲れ具合が違うなと思った時にそういうことを考えたらいいと思います。

 3月から11月までのシーズンで好調を維持するために大切なのは、自分を立て直す力です。調子が悪くなっても、それ以上悪くならないようにする。今はコーチに習う選手がほとんど。アドバイスを自分で理解して、取り入れるべきかどうかを自分で判断する。今の自分には合わないと決めるのも自分です。

 全て言いなりになるのではなく、メリットとデメリットを理解した上で修正していく。試合は毎週続くので凄く難しいですが、まずは自分のゴルフを見失わないことが大事だと思います。何が正解なのか、スイングは人それぞれなので明確にわからないもの。クラブも違えば、身長も、体のつくりも違う。だからこそ、調子が悪くなっても立て直せる力が必要だと思います。

 中学生、高校生が真似できるところと言えば、ゴルフの練習をしっかりした上でゴルフ以外の運動をするのもいいかもしれません。稲見選手はオフにキックボクシングをしていました。リフレッシュしつつ、トレーニングにもなる。全てゴルフに繋がっています。自宅でも一日の目標として10分でもいいので集中してパットを打つ。10回連続カップインしないと終わらないとか。地道な努力が必ず自分のためになっていきます。

 もう一つ、これからプロを目指す子どもたちに伝えるとすれば、絶対に英語の勉強をした方がいいですね。私ができなかったので(笑)。世界で活躍したいと思う選手がどんどん出てきてほしい。ゴルフの世界を離れても自分のためになると思います。

■北田瑠衣/THE ANSWERスペシャリスト

 1981年12月25日生まれ、福岡市出身。10歳でゴルフを始め、福岡・沖学園高時代にナショナルチーム入り。2002年プロテストで一発合格し、03年にプロデビュー。04年はニチレイカップワールドレディスでツアー初優勝し、年間3勝で賞金ランク3位。05年には宮里藍さんとペアを組んだ第1回女子W杯(南アフリカ)で初代女王に。06年から10年連続でシード権を保持した。男女ツアーで活躍する佐藤賢和キャディーと17年に結婚し、2児のママとして子育てに奮闘中。(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)

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