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「ここで出してくるか」 連覇狙うバスケ琉球、選手も驚いた“超ロースコア”決着を導いた奇策

THE ANSWER / 2024年5月16日 17時3分

A東京に対して組織的な守備を見せた琉球。昨季王者らしい勝負に徹する戦いぶりだった【写真:B.LEAGUE】

■CSクォーターファイナル第3戦、A東京に競り勝ち4強進出

 バスケットボールB1リーグは年間優勝を決定するチャンピオンシップ(CS)がスタートし、初戦となるクォーターファイナルでは昨季王者の琉球ゴールデンキングスが敵地・有明コロシアムに乗り込み、アルバルク東京と熾烈な争いを繰り広げた。2戦先取・最大3試合が行われるシリーズで、琉球は10日に行われた第1戦を2度のオーバータイムの末に81-80で先勝するも、11日の第2戦に69-73で敗戦。そして1勝1敗で迎えた13日の運命の第3戦、連覇を狙う王者は「守備の徹底」で勝機をたぐり寄せ、58-57という“超ロースコア”の試合を制した。

 それまでの2戦より明らかに両者がタフに守り合う展開となった試合は、第1クォーターを終えて12-9と、3試合の中で初めて両者のクォーターごとの得点が15点を割った。インサイドまで進入し、フィールドゴールだけでなくフリースローでも加点をしていくA東京に対して、琉球の桶谷大ヘッドコーチ(HC)はこのシリーズでなかなか見せなかったゾーンディフェンスで対抗を始める。追いかけるA東京が攻めあぐねる時間が訪れた。

「桶さん(桶谷HC)、やり手だな……と。ここで出してくるかと。でも、シーズン中もやってきたことではあったので、しっかりコミュニケーションを取って、ゾーンとマッチアップの切り替えの部分などは徹底できたと思います。(ゾーンディフェンスを組むと決まったのは)本当に、試合中のことなんです。試合前のミーティングとかじゃなくて、試合中にシグナルが出された感じです」

 予想外の采配が起きた瞬間を振り返るのは、在籍5季目となる琉球の小野寺祥太だ。ディフェンスでの嗅覚に優れたところを見せ、琉球の守りからのリズムを支える職人気質も持ち合わせる。この日は両チーム最多となる3本のスティールを記録するなど、相手の攻撃・反撃の芽を摘み続けた。

「ディフェンスを頑張るのは僕の仕事でもありますし、GAME2が終わってからしっかり映像を見直して、どこを対処するかを考えましたし、コートで体現できたと思います。(マッチアップをしていたA東京の)テーブス選手は突破力に優れたところがあるので、そこをしっかりと抑えられましたし、2ポイントのエリアでジャンプシュートを打ってくることについては(打たれても)OKとしていたので、決められても『大丈夫、大丈夫』と切り替えもできていたので、守りやすかったです」

■徹底された守備の割り切り、「深追いしすぎない」ことを徹底

 小野寺が言葉にした通り、この日の琉球のディフェンスは「割り切り」をコート全体で徹底していた。A東京のテーブス海やライアン・ロシターが2ポイントのエリアからのシュートを引き出しとして持っているものの、あえて打たせ、落とせばリバウンドを真っ先に狙い、決まった場合には仕方がないという割り切りがあった。

 その意図を、桶谷HCは次のように解説する。

「『オーバーコミットしない(深追いしすぎない)』ことが重要で、相手のビッグマンのゴール下でのシュート確率は高い。ただ、ガードの選手が打ってくる2ポイントのジャンプシュートなら40%ぐらいの確率になる。そこで追いすぎて(オフェンスリバウンドを)落とされると、60%から70%の確率で決められる、もしくはファウルになってしまう。そこはビッグマンたちも良いアジャストができたと思います」

 今季のA東京は、セカンドチャンスポイント(オフェンスリバウンドからの得点)がリーグ全体1位の1試合平均15.0点、ペイントエリアでの得点もリーグ2位となる同39.2点に達する。クォーターファイナルでの3戦ではいずれの試合でもこの平均を下回らせたことからも、守りを徹底することでA東京の長所を徐々に打ち消した琉球が、前述のとおり58-57で勝利し、セミファイナルへ駒を進めた。

 昨季のBリーグを制した琉球にしか、「リーグ連覇」の称号を追うことはできない。同日に行われた宇都宮ブレックスと千葉ジェッツの一戦で千葉Jが勝利し、次戦のセミファイナルが琉球のホーム・沖縄アリーナで開催されることが決まった。千葉Jは東アジアスーパーリーグ、天皇杯と合わせた「3冠」達成を狙うだけに、「連覇か、3冠か」という、より一層スペクタクルな戦いも予想される。

 小野寺はセミファイナルに向けた勝負のポイントについても、「守り」の意識を露わにした。

「(連覇については)あまり考えずに。シーズンを通して負けているチームですし、僕らはチャレンジャーとして、泥臭く、我慢して戦っていきたいなと思います。(千葉Jは)オフェンスの爆発力が凄いと感じていて、第1クォーターから大切になってくる。相手の富樫選手、スミス選手に、ファーストショットをいかに苦しく打たせるかが鍵だと思うので、徹底していきたいと思います」(荒 大 / Masaru Ara)

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