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子どもが「給食を食べているから安心」は危険 不足する栄養素も…あくまで1日3食のうちの一食で

THE ANSWER / 2024年6月20日 17時3分

今回は「学校給食」について

■連載「強い子どもを育てる ミライ・アスリートの食講座」第48回

 栄養・食事の観点からジュニア世代の成長について指南する、「THE ANSWER」の保護者向け連載「強い子どもを育てる ミライ・アスリートの食講座」。プロ野球・阪神タイガースなどで栄養サポートを行う公認スポーツ栄養士・吉谷佳代氏が講師を務め、わかりやすくアドバイスする。今回は「学校給食」について。

 ◇ ◇ ◇

 セミナーなどで保護者の方々とお話をしていると、学校給食があることで助かっている、という話をよく耳にします。

 学校給食の歴史を紐解くと、起源とされているのは18世紀、ドイツで貧困児童に対して行った食糧支援です。日本の学校給食の始まりは明治時代。山形県の私立小学校が、貧困児童を対象に無料で実施したことが始まりと言われています。

 日本ではその後、昭和7年に国の補助による学校給食がスタート。これを機に、子どもたちの健康維持、体格の向上と成長に寄与することを目的に、学校給食は全国に普及します。

 そして、戦後以降、子どもたちの体格は著しく向上。長く、その役目を果たしてきました。

 現在の学校給食の献立も、子どもたちの成長をサポートできるように設計されています。市町村の学校給食は、1日の必要摂取量の3分の1程度のエネルギーや栄養素が摂れるよう計算されているのが基本。また、現代人に不足しがちなミネラルは1日の必要量の2分の1は摂れるよう考えられています。

 全国の12都道府県の小中学校の児童生徒910人を対象に行った食事状況調査(2014年11~12月実施)によると、子どもたちは肉類、魚類、卵といった動物性食品は、給食でも家庭でもしっかり摂れていることがわかりました。

 一方、圧倒的に足りないのは、食物繊維のほか、カルシウム、カリウム、鉄といったミネラルです。特に休日は摂取量の不足が顕著。同調査によると、カルシウムは平日の33%に対し、休日は76%のお子さんが不足。カリウムも休日は51%の子どもたちが不足しているという結果が出ています。

 また、この調査から、栄養バランスに偏りのあるお子さんは、ふだんから野菜や果物をあまり食べていないことがわかりました。

■給食に頼りすぎないことも大事

 私が着目したのは、野菜や果物が不足するお子さんは穀類の摂取量も非常に少ないという点です。逆に野菜、果物をよく食べているお子さんは、穀類もしっかり摂れており、結果、バランスの良い食事が出来ていることがわかりました。

 以上の結果からお伝えしたいのは、「給食を食べているから安心」と、給食に頼りすぎないようにしましょう、ということです。

 どんなに学校給食の栄養価が優れていても、1日3食のうちのたった一食。例えば「牛乳や果物は給食で摂っているから、家では出さなくていいよね」というように、安易に外してしまうのは考えものです。

 むしろ「給食を軸に、1日3食でいかにしっかり食べるか?」と考えないと、結果、子どもたちに必要なエネルギー量や栄養素が足りなくなります。

 学校給食は、子どもたちの健康支援や食育をサポートするだけでなく、保護者にとっても、最高の食育の教材です。子どもたちが1日に食べられる量には限りがありますが、そのなかで何を食べなければいけないのか? どんな食材をどんな調理法で食べるとよいのか? 学校給食の献立にはそれらのヒントや情報がたくさん詰まっています。

 まずは、ご自宅での食事も学校給食を参考に組み立ててみることをおすすめします。ちなみに、子どもたちに不足しがちと言われるミネラルですが、カルシウムは牛乳や小魚、青菜など、カリウムは果物や野菜、海藻類やきのこ類に含まれます。

 何をもっと摂ればよいのか、少なくてもよいのかを見直すきっかけになるでしょう。

■スポーツをする子どもにとっては「運動前の栄養補給」に重要な役割

 最後に、スポーツを行うお子さんは、平日の練習やトレーニングは放課後や学校終了後に行うことがほとんどです。つまり、給食は「運動前の栄養補給」としての重要な役割も持っています。

 動くためのエネルギーやそれを回すビタミン、汗で失われるミネラルの補給など、運動をするために必要な栄養素を給食で摂る必要があります。つまり、給食が練習のパフォーマンスを左右すると言っても過言ではありません。

「大きくなれるように、強くなれるように、給食もしっかり食べようね」と、子どもとの会話のなかで、さり気なく促してあげることも大切です。(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)

長島 恭子
編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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